たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

おむつどうする? <紙おむつ下水処理に懸念の声><廃プラのリサイクル>を読んで

2019-03-23 | 廃棄物の考え方

190323 おむつどうする? <紙おむつ下水処理に懸念の声><廃プラのリサイクル>を読んで

 

紙おむつは便利ですね。赤ん坊もお年寄りも、その世話をする家族、関係者にとってありがたい文明の利器でしょうか。紙おむつができたのはいつころでしょう。

 

だいたい「紙」おむつといっていますが、材質はほとんどが紙ではなくプラスチックですね。ともかくウィキペディアによると<便などが付着したら新品に交換し、再使用を前提としない市販のおむつである。素材として必ずしも紙のみが使われているわけではないこともあり、紙おむつという呼称は適しているとは言い難いが、習慣上そう呼ぶ人は少なくない。かつての使用素材は紙や綿であったが、1980年代以降は高吸水性ポリマーや不織布を使用するなどの工夫により、布おむつを凌ぐ性能を有するようになっている>と80年代以降とのこと。

 

それまでの布オムツは赤ん坊だとまだましですが、大人の場合大変だったでしょうね。そういった不便さから解放された多くの人にとって紙おむつはなくてはならないものとなっているでしょう。むろん私もその一人でしょうね。

 

でもいま海洋汚染で問題となっているマイクロプラスチック(MP)の観点からは、これまでの紙おむつ利用状況を礼賛できない状況にあることは以前から懸念されてきました。

 

毎日の今朝の記事<プラスチック危機紙おむつ下水処理に懸念の声>では、この問題の対応策として国交省が検討している処理方法とその新たな懸念を取り上げています。

 

まずその使用量が驚くべき数字ですね。

<国交省が2月に公表した推計によると、おむつの使用人口は現在の661万人から2040年は779万人に増加、使用量は年間142億枚になる。>このほとんどが紙おむつでしょう。

 

現在紙おむつは一般廃棄物として自治体で収集、多くは焼却処理で減量化して最終処分場に埋立しているのでしょうね。

記事では、その<介護関連施設などへのアンケート調査では「収集場所への運搬」が大きな負担となっていた。>といったところでも利用者側の問題となっているとのこと。普通の家庭でも、燃えるゴミがかさばり、収集回数が頻回必要とされる要因の主たる原因は紙おむつではないかと思うのです。

 

焼却処理の段階でも大きな問題を抱えています。

<水分を多量に含む使用済みおむつは燃えにくく、焼却炉を傷めることや温室効果ガスを発生させることも問題となる。>

 

この運搬と焼却が問題として(その前提が妥当かどう議論したのでしょうね)、国交省が検討しているのが次の画期的な?対策案です。昔から提示されてきたディスポーザー方式の現代版かなという印象です。

<国交省は22年度までのガイドライン作成を目標に、下水を利用したおむつの処分方法を検討している。家庭や施設に下水とつながる専用装置を設置したうえ、装置内で(1)おむつから汚物を分離。汚物だけ下水に流しおむつはゴミとして回収(2)おむつを破砕し固形物のみ回収。排水は下水に流す(3)おむつを破砕しそのまま下水に流す--の3案だ。>

 

最近の高層マンションの人気(もう終わった?)の背景には、あらゆるエンターテインメント施設が完備し、マンション団地で生活が完結し、部屋の中はハイテク家電などで便利さで満たされている、それが需要者から求められているという状況があるようです。このような需要にそったものとして、国交省案は妥当な対応かもしれません。

 

この点、当然ながら批判的な見解が紹介されています。

<東京農工大の高田秀重教授(環境汚染化学)は「・・・おむつは紙だけでなく、プラスチックを原料とする不織布やテープ、高分子吸水材で構成される。それらが破砕されれば、MPとして流出する恐れがあるためだ。>

 

紙おむつはまさにMPの塊というか、少なくとも発生源でしょう。それを破砕するなんてことは、あのディスポーザー方式以上に問題意識のなさを感じます。下水道に流せば、後は処理施設でちゃんと処理して、河川や海に排出してくれると国交省は公共下水道の建前を言い張るかもしれませんが、MPは下水処理でどう処理するというのでしょう。

 

また東京都区内のように、<汚水と雨水を同じ管で流す「合流式下水道」>では雨が降ると、適切に対応できない処理施設も通さないわけですから、余計問題です。

 

他方で、メーカーではMP問題に着目して、研究が始まっているようです。

<ユニ・チャームは16年から、鹿児島県志布志市と共同で使用済みおむつから再生パルプを取り出す実証実験を始めた。回収したおむつをオゾン水溶液で洗浄、殺菌。パルプと高分子吸水材を取り出して再利用し、不織布などは固形燃料などに再生する。処理後のパルプは、新品と同等の衛生品質を確保している。>

 

再生トイレットペーパーのように、再生紙おむつが普及するといいのですが、高度なプラスチック材料を使っているので、前者と比べて難易度がぐっと高まるでしょうね。

 

紙おむつの使用を削減、というのは実際やっている人には困難を強いる話で、便利なプラスチックを含まない別の材料で紙おむつを作ってもらうことに期待したいところでしょうか。

<動植物を原料とするバイオマス素材や生分解性素材といった代替プラスチックの積極的活用も同時に求められている。【塩田彩、野村房代】>というのは私も理解しつつ、難題だと感じています。ただ、よほどの合理的な適切な処理データが提示されない限り、国交省案には賛成できません。

 

ところで、今朝の毎日記事には<論点廃プラのリサイクル>が取り上げられ、廃プラ処理、再利用について、熱・エネルギー回収を促進する立場と、温暖化対策上、燃焼自体を抑制し、さらに再利用のリサイクルが実効性に乏しいことからプラスチック包装の利用抑制、代替物の利用を提案する立場とが、それぞれ論陣を張っています。

 

私自身、プラスチック包装の商品を日常的に使っている手前、後者の立場に手を上げると、「我が身を抓って人の痛さを知れ」といった非難を受けそうです。現実的には前者の立場が穏当かもしれません。しかし、あえてやはり後者の動きをより進める社会になって欲しいと望みたいです。

 

今日はこれにておしまい。また明日、といいたいところですが、明日は出張でブログはお休みです。月曜日から再開。

 

ところで、このブログのプラットフォーマー?でしょうか、331日におしまいということで、ブログを継続する場合別のところに移転するよう、以前からメールが届いています。

4月以降継続するか決めかねています。マンネリとなっているので、ちょうどいい機会だからしばらくブログを休止してはどうかと思ったりしています。fbも3年くらい休暇?をとっていますので、そちらにご挨拶するかもしれません。

 


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