180529 リーダーとしての資質・識見・品格 <森友学園、加計学園問題 首相、説得力欠く>を読みながら
毎日朝刊余録では<明治の末に「円形デッドボール」という球技が…>という書き出しで、当時すでに流行になったドッジボールの意味合いを踏まえながら、モリカケ問題での安倍首相の対応をダブらせています。
たしかにドッチボールは私が小学生の頃も人気がありましたし、いまでも人気があるようです。投げたボールに当てられないよう、身をかわしたり、それを予想して玉突きではないですが、反対方向の仲間に投げて相手の背後から狙うなど、いろいろ子供ながら戦術を考えるのも楽しいかったように思います。
ところが余録によると<「ドッジ=dodge」は「身をかわす」「避ける」という意味である。むろん球だけではなく、質問や責任追及を巧みにすり抜ける意味でも用いられる。>とのことで、それがモリカケ問題における安倍首相の答弁ということのようです。いや、その前々段階といって良い、<記録文書の改ざん・隠蔽(いんぺい)、説明の食い違い>といった官僚の対応も含まれるのでしょう。
しかし、それは<質問や責任追及を巧みにすり抜ける意味>といった「巧み」さが見られるのでしょうかね。
<愛媛県文書の首相と加計学園理事長の面会情報が自分らの捏造(ねつぞう)だという学園側発表>について<こんな重大な“背信”にも、首相は「コメントのしようがない」と怒る様子もない。>としつつ<かわし上手にもほどがある>と評しています。これはかわし上手といえるのでしょうか。横綱の品格が問われる白鵬ですが、それ以上に総理の品格を疑わざるをえず、日本国の総理として恥ずかしい限りです。
<首相を球から守るために犠牲になったのは役人の規律や矜(きょう)持(じ)、公文書への信用、行政への国民の信頼だった>し、<民主主義の統治の中枢を改ざん、隠蔽、見えすいたウソまみれにした政治指導者の責任である。>という点は正鵠を射ています。それはドッジボールでうまく身をかわしたり、質問から巧みにすり抜けることととは違うレベルではないかと思うのです。「ドッジ」ボールに失礼です。
愛媛文書について、「伝聞の伝聞」として信憑性も疑義を呈すること自体は、一般論として許容されるでしょう。しかし、ことは加計学園の担当者が獣医学部の新設をめぐって愛媛県・今治市の担当者に首相と加計氏が面談して話し合ったことなどを説明したことを認めつつ、それが虚偽だったというのですから、それだけで2重の意味で問題でしょう。
少なくとも盟友ともいうべき加計氏が経営する加計学園担当者が首相の名前を無断で使って学部新設を有利に進めることをやったということです。その意味では、その後の県市を同行して柳瀬首相秘書官などと会談や資料提供した一連の流れも、虚偽説明による誤導と言われてもやむを得ないのではないでしょうか。
しかも虚偽説明であるにもかかわらず、担当者の責任が問われたか明らかでありません。担当者が勝手に首相の名前を持ちだし、それを責任者の加計氏に報告もしないという組織であれば、加計学園自体、極めていい加減な組織と非難されても仕方がないのではないでしょうか。
実態は野党が追及するように、安倍首相と加計氏が、日大アメフト部前監督のように背後で指示したか、コーチのように直接指示したかで、実際に柳瀬首相秘書官や加計学園担当者が実働部隊で動いたのかもしれませんが、今のところ明白な証拠は出ていないようです。今後野党のこれまでのような追求(ほとんど見ていないので、ほんとはコメントできませんが)ではこれ以上、事実が明らかになるのかわかりませんね。
毎日記事<クローズアップ2018集中審議 森友学園、加計学園問題 首相、説得力欠く>では、国会議論を整理しながら、次のような指摘をしています。
<28日の衆参予算委員会で安倍晋三首相は、愛媛県文書に記載された学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長との面会を改めて否定し、「森友学園」への国有地売却問題でも自身や妻昭恵氏の関与はなかったと強調した。「新事実はない」と強調して幕引きを図りたい首相だが、矛盾点を指摘する野党の追及は続き、疑惑の払拭(ふっしょく)には至っていない。>
加計学園が虚偽説明を認めたことから、県文書の正確性が裏付けられたことになりますね。そのことから<県文書には、学園側の説明として「2月25日の面会を受け、柳瀬(唯夫)首相秘書官から資料提出の指示あり」との記載や、面会時に学園側が首相に提供した資料を基に文部科学省がアンケートを実施したと読める部分もある。学園側は面会を前提にしたうその情報を県や愛媛県今治市に提供し続けていたことになる。>加計学園と県・市の動きとして、柳瀬首相秘書官や文科省の動きには、県文書に残した正しい説明内容が虚偽だったとするとはたして整合性があるか疑念は残るでしょう。
<今治市は獣医学部の校舎建設費(約192億円)の半額までの補助を決め、県もうち31億円を負担する。>このことを福山氏は<政府をだまして事業をやろうとした犯罪的行為に等しい>と糾弾していますが、これは論理の飛躍があるのではと思います。ただ、市・県が巨額の補助を決めた経緯を詳細に検討して、上記の誤導がどう働いたかによっては、福山氏の指摘が妥当する余地もあるかと思います。
他方で、福山氏の糾弾に対して<首相は「透明なルールにのっとって特区の民間議員が判断した。特区の認可と私が加計氏と会ったことは関係ない」と切り返した。>のだとしたら、質問の内容をすり替えて答弁しており、首相の説明責任を果たしたとは到底いえないでしょう。ま、福山氏の質問があまりに大上段に構えすぎて、安倍首相に適当な逃げ道を作ってあげたのかもしれないというのは少しきついでしょうか。
このブログを書き終えようとまとめをかく段階で、相手方弁護士から電話があり、40分近くさまざまな協議をしたため、何を書こうとしていたのか、はっきりしなくなり、福山氏のような怒りから発する問題提起とは異なりますが、この内容の結末もあいまいになったまま、終わりとします。
また明日。
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