181126 人はいろいろ <映画「いろとりどりの親子」>と<障害者採用 国要請に35自治体応じず>などを見読みしながら
昨日でしたか朝のNHK番組で、<映画「いろとりどりの親子」>が一部紹介されていました。それはドキュメンタリー映画で、さまざまな親子の姿をそのまま描いていました。
たとえば、ろう者の子が親子で登場します。両親が手を焼いている姿も映っています。でもその子がアルファベットの文字盤のようなものを見せられ、一つ一つを知り、それを通じて両親と意思疎通ができるとみんなで大喜びです。ダウン症の子とか、自閉症の子なども似通った体験をしていました。
あるいは、手足が極端に短く車イスでしか移動できない男性。でも町の中を堂々と電動車イスで走り抜けています。それだけではありません、たしか大学教授だったように思うのですが、専門分野を教え、そして同じように障害のある女性と結婚し妊娠したことを両親と夫婦で祝っていました。普通の生活を成し遂げているのです。
映画化された著作の原作者はゲイで、長く両親から疎まれ、苦しみ、「普通」に生きることの苦しさ、難しさを体験する中で、他の人に感心をもつようになり、様々な親子を300組を取り上げたのです。映画は6組の親子をドキュメンタリータッチで描いたものです。
「体は不自由でも心は自由なのさ」と語っています。
「普通」を超えて、それぞれの個性を認め、いろとりどりであることを認め合う親子として、生きがいをもって生きているのです。
私自身が直面したときどうなるかわかりませんが、できればこういったいろとりどりの親子の一人になったり、それを自然に受け入れる一人になりたいと思うのです。そうではなく「普通」という冠付きの親子とか、家庭生活とか、職場生活とか、そういった意識をもつ人間の一人にはなりたくないと思うのです。
今朝の毎日一面には<障害者採用国要請に35自治体応じず 種別を限定>という記事が掲載されていました。
地味な記事ですが、上東麻子記者の「一隅を照らす」いい内容です(むろん多くの記者の協力があったのだとは思いますが)。
<全国都道府県の正職員採用試験の障害者枠で35道府県が採用を身体障害者に限定していた問題で、これらの道府県は2016年8月、厚生労働省から障害種別を限定しない「公正な採用選考」を要請されていたにもかかわらず、門戸を開いていなかった。>
むろん<障害者雇用促進法では、精神・知的障害者の雇用も義務づけている。>にもかかわらず、あえて身体障害者のみに限定した採用をしていた道府県が大半であったことに驚きとともに、やはりそうかと思ってしまいます。
障がい者と聞いてイメージするのは身体障害者が多いのではないでしょうか。いろいろな障害の人がいます。精神障害や知的障害でもいろんなタイプがいます。でもバリアフリーでも取り上げられるのはもっぱら身体障害者ではないでしょうか。精神・知的障害者の方々に多くの人の注意が払われているとは思えません。
記事にあげられたように、職員採用において自治体の対応がそのことを如実に示しているように思えます。国のほとんどの官庁が障がい者雇用において不正をやっていたわけですから、自治体においても同様な結果がでるのも当然かもしれません。国の場合も精神・知的障害者を雇用した例はほとんどなかったのではないかと記憶していますが、この点は明確でありません。
<厚労省障害者雇用対策課が総務省を通じ、都道府県や政令指定都市に要請した。・・・地方公務員の募集・採用について「身体障害者に限定することなく、他の障害者にも広く門戸を開き、能力・適性のみを基準とした公正な採用選考の実施」を求め、精神・知的障害者の雇用を促した。>というのですが、厚労省自身が不正をしていたのですから、どの程度本気で伝えたのか危ういですね。
実際、地方では<富山県の人事担当者は「特段それ(厚労省からの要請)を受けてしたことはない。他県もやっているところは少ないのでしていない」と話す。>というわけですから、厚労省が1通の通知くらいで、要請したといってもそれは通らないでしょう。
でも自治体によってまじめに障がい者採用に取り組んでいるところもありますね。<今年度から3障害に門戸を開いた島根県の担当者は「法改正に加えて要請があったことで、制度改正に至った」と明かす。>
ところで、11月22日毎日記事では<障害者採用常勤1200人 来年末までに 省庁計画で厚労省>とありますが、ここでは種別が示されていません。やはり心配ですね。厚労省がしっかりリードして自治体だけでなく国の対応について、常勤・非常勤の違いだけでなく、種別を示すべきでしょう。
私たちは、障がいがあること、それを多彩で多様な生き方として尊重し、社会で共に生きる道を歩むことこそ、自由平等と人権が保障された未来に向けた社会づくりの一環と考えて、戦後の憲法を大事にしてきたのではないかと思うのです。
むろん知的障害や精神障害のある人たちが仕事のできる場、仕事に就くことを支援する場、訓練機関など、まだまだその整備が追いついていない中、急に採用と言ったことが容易でないことも理解できます。どちらが先か鶏と卵ではないですが、対応が遅れている現状を把握して全般的に底上げが必要でしょう。
オリンピック・パラリンピックや万博も大事かもしれません。他方で、置き去りにしてはいけない問題について、映画「いろとりどりの親子」は異なる地平線で描きつつも、なにかを鋭く物語っているようにも思えます。
今日はこのへんでおしまい。また明日。
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