たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

働く・有償性・技術 <大阪北部地震から5カ月 技術系ボランティア大奮闘>を読みながら

2018-11-09 | 災害と事前・事後

181109 働く・有償性・技術 <大阪北部地震から5カ月 技術系ボランティア大奮闘>を読みながら

 

災害列島日本では、常に災害を意識しておく必要があるわけですが、現実にはそうとは限りません。災害発生はあるとき、ある地域で起こり、被災した人は決して忘れることはないでしょう。でも、それ以外の人は情報としてはその怖さ、悲惨さを認識しますが、あまりに情報が過剰なためか、なかなか備える意識が育たないように思うのです。

 

本来、国・地方の行政がしっかり対応すべきことが少なくないと思うのですが、たとえば国会の状況は相変わらずお粗末な議論に熱中しているようです。その意味では、アメリカ政治・議会などにおけるトランプ現象を笑えないでしょうね。

 

今回の臨時議会でも、内閣改造を受けて、熱心な質疑?は片山、桜田両新大臣の資質や活動に集中しているようで、重要議案などは上の空の状況です。これは野党を構成する立憲民主党などだけの問題ではないと思います。一つは、自民党・公明党も野党時代は同じようなことを繰り返していた国会討議のあり方の問題ではないかと思います。もう一つは、大臣を任命する今回は安倍首相ですが、歴代の首相と与党との関係に問題があると思うのです。

 

アメリカ政治は決して民主制の見本となるわけではないですが、参考になるところもあるように思うのです。私自身よくわかっているわけではないですが、閣僚の選任について、上院に承認権限?があってその公聴会で資質をみる、まあいえば公開のフィルターを通す独立の手続があるようですね。やはり閣僚になるべき人は、その所管する分野について相当通暁していること、過去に不適切な行為がないことなど、とくにチェックされる必要があると思うのです。

 

それは通常、臨時を問わず、議案と関係なく、国会で審議されるべき物か疑問です。衆議院との違いを問題にされる参議院、あるいは両議員で構成するメンバーで、大臣の資質や行為を審議すればいいかと思うのです。そうすれば、論考勲章とかを理由に、仕方なく大臣にするといった、国民にとって大変迷惑な事態は、多少とも回避できると思うのです。今回の片山、桜田争議は、繰り返して欲しくないものです。幸い、毎日新聞は、今日の記事に一面も触れていませんでした。

 

と災害対応を取り上げるのに、冗長な前置きをしてしまいました。

 

さて本題は、今朝の毎日記事<くらしナビ・ライフスタイル大阪北部地震から5カ月 技術系ボランティア大奮闘 プロ集団始まり、活動拠点「茨木ベース」>です。

 

災害ボランティアは、少しずつ各地でその活動が評価され、受け入れがスムースになっているかと思いますが、それでもちょっと技術的な経験・知見が必要な作業となると、危険であったり、杜撰な内容となって、かえって問題を生じることになりかねません。

 

記事では<6月に起きた大阪北部地震から今月で5カ月。各地で災害が相次ぎ、業者が多忙になったことなどで壊れた自宅の修復が手つかずの被災者も多い。追い打ちをかけるように9月の台風21号で、壊れた屋根を覆ったブルーシートが飛ばされるなどした。建築関係者らの技術系災害ボランティアの大半は他の被災地に転進したが、大阪府茨木市では指導を受けた一般の人がボランティア活動を担い、応急処置にあたる。現地を訪ね、技術系災害ボランティアの支援活動を取材した。【御園生枝里】>と、そういった分野のうち、屋根の応急措置を取り上げています。

 

今年は台風の当たり年で、屋根の損壊は各地で起こったようです。そのためか修理を依頼しても業者の派遣は順番待ちでなかなか対応してもらえない状況にあるようです。

 

ところで、屋根の材質・葺き方なども最近は多様化していますね。その中で和風建築が激減し、当然、瓦屋根も田舎は別にして、あまり見かけなくなったと思います。そうすると、瓦職人も自然に減少しますね。瓦屋根を葺く作業を少し見たことがありますが、やはり相当の経験と技術を要するでしょう。またそれ以外の材質でもやはりプロでないとできないでしょう。

 

このように職人・業者が減少していることに加えて、大阪北部地震被害では屋根の損壊が一部だったことも、業者が対応に苦慮している要因とのことです。

<修理を順番待ちする原因の一つは、瓦屋根を扱う業者の減少とみられる。業界団体の全日本瓦工事業連盟(東京都)によると、加盟店は約2600社で、瓦屋根の新築住宅が減るなどして10年前に比べて約1000社減った。連盟事務局は「東日本大震災や熊本地震では大きな被害を受けた住宅が多く、他地域の業者の応援も呼べた。だが大阪は一部損壊が多い。工事費がまとまった額にならず、応援を呼ぶには採算面で難しい」という。こうした状況はしばらく続きそうだ。>

 

そうはいっても豪雨なども頻繁に襲ってきたのですから、雨漏り対策は是非とも必要ですね。そんなとき救援隊となったのが技術系ボランティアの人たちだったのです。

 

<高所作業などの技術を持つボランティアの活動拠点「茨木ベース」から11人>の<ボランティアは命綱を設置して、夫婦に家屋の現状と作業について説明。その後、壊れた箇所をブルーシートで覆ったり、防水テープを張ったりした。>

 

ボランティアの人たちも、自分たちの領分をわきまえているようです。

<茨木ベースを運営するNPO「レスキューアシスト」代表の中島武志さん(41)は「私たちは業者ではなく屋根の修理まではできない。応急処置や、会話することで被災者の気持ちを和らげたい」と話す。台風の被害が火災保険の対象になる場合があるが意識していない人もおり、情報提供もする。>

 

でもこの種の作業となると、人数も限られているため、作業がどんどん進むというわけではないようです。

<1日当たりの参加者は平日が6~8人、休日が20~30人。ブルーシート張りができるのは1日に住宅1~2軒が限度という。先月29日までに延べ1919人のボランティアが計348件の作業をした。>

 

技術系災害ボランティアは、まだ組織作りとかネットワークが確立しているとは言えないようですが、それでも徐々に普及しているようです。

<技術系災害ボランティアの先駆けは、2004年の新潟県中越地震で被災した建設機械を扱う会社の関係者らによるボランティアのグループ(後の「SVTS風組」)とみられる。06年の長野県の豪雨災害で作業した。グループの関係者らは07年に起きた新潟県中越沖地震を受け、県内でパワーショベルや、木材を切るチェーンソーなどを扱うための講習会を開いた。そして11年の東日本大震災を機に「DRT-JAPAN」「OPEN JAPAN」などが活動を始めた。>

 

知名度が十分でなかったり、ネットワークが確立していないためか、受け入れ・連係して共同活動するはずの自治体がもたもたしているようです。

<兵庫県立大学大学院の室崎益輝教授(防災計画)は技術系災害ボランティアについて「活動形態が特殊だということで受け入れを渋る自治体もあったようだが、熊本地震からは、専門知識を持った人たちとの連携が進んだ。消防士らが参加するなど裾野が広がっている」とみる。一方で、「まだ連携に消極的な自治体もあり、行政には被災者を守る責任を果たすために、制度化も含めて積極的に技術系ボランティアとの連携を図ってほしい」と指摘する。>

 

奈良時代初め、行基が各地でボランティア作業を指導し、優婆塞、優婆夷を率いて率先して救済活動として、土木事業や救貧活動などをしたのは有名ですが、これからの社会、もしかしたらボランティアこそ、本当のはたらく意義を人に付与するのかもしれません。

 

AIの進展で、有償で仕事をする必要がなくなるとも言われることがあります。それは機械的な作業にとどまらず、専門職・技術職・文化芸術職を問わず。それで人はただ享楽にのみ生きがいを認めるかというとそうではないと思うのです。はたらくということばは、それによって「はた」が「らく」になることを意識することで安楽や幸福な気分を得られるのではと思うことがあります。

 

そんなことをふと思った今日の記事でした。今日はこれにておしまい。また明日。


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