たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

タケノコ畑と竹林

2013-03-29 | 農林業のあり方

藪跡や筍生える薔薇の側

子規と言えば大好物の柿の句が浮かんでくるが、筍も結構季語にしている。これもそうだ。ところで、これは新居の庭にでも生えてきたタケノコだろうか。

俳句心の乏しい身としては、このタケノコの生育地が竹林か畑か、あるいは庭か、少し気になった。それぞれ森林、農地、宅地(雑種地)などといった具合に取扱が異なるが、誰がどのようにこれを決めるのだろうか。一見、誰でも容易に判断できそうだが、不思議なことが起こるのも世の常かもしれない。ある不動産競売事件で発生したトラブルだ。

ある不動産について、一方が竹藪・山林だといい、他方がタケノコ畑・農地だといって真逆の結論を言い合ったケースだ。しかも一方は裁判所、他方が農業委員会というから興味深い。わが国の農地制度がいくら改革を重ねても克服できない隘路の一つがあるように思える。

事件は、まず競売開始決定があり、執行官、評価人が現況調査をした結果、手入れのなされていない竹やぶだとして、現況地目山林と報告・評価した。さらに裁判所が地域の農業委員会に現況等を照会したところ、現況地目が農地(畑),買受適格証明書が必要との回答があった。一方が非農地、もう一方が農地と反対の結論が出た。

執行裁判所は、追跡調査をしたが、結局、農業委員会の回答どおり農地として売却実施処分を行い、買受適格証明書を提出したXのみが入札して、同人に売却許可決定が出された。その後Xは虚偽有印公文書作成,同行使,競売入札妨害容疑で起訴され、有罪となった。

裁判所は、刑事法廷で、丁寧に事実認定した上、農地法上の「農地」の定義を普通に解釈して、Xを断罪した。Xは当の農業委員会会長であり、なんと裁判所に虚偽の回答することを指示した上、自ら適格者として落札したのである。Xの解釈が振るっている。「他の地域では山林(竹やぶ)かもしれないが,A町では竹の子が取れるので,竹の子畑として農地になる。」と委員会事務局に指示して回答させたのである。しかも当該土地はXが実質経営するグループ会社所有地であった。

いろいろXや弁護人が主張しているが、判決書上は苦しい弁明だ。事件の顛末・本筋を見る限り、当然の判決のように思う。なぜこのようなことが起こるのであろうか。X個人の問題だけに帰することができないように思う。散策路をこの辺りからもう少し藪の中に入ってみようかと思う。


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1 コメント

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Unknown (めぐみ)
2013-05-09 00:21:50
はじめまして!めぐみっていいます、他人のブログにいきなりコメントするの始めてで緊張していまっす(o^-^o) ウフッ。ちょくちょく見にきてるのでまたコメントしにきますね(*・・*)ポッ

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