170601 東芝への疑問 <「破産前に報酬21億円」米WH元会長のモラルは?>などを読みながら
昨夜は早々と寝たのはいいのですが、漆黒の闇の中(といっても三日月でしょうかさほど暗くはなかったですね)目覚めて、あとはうつらうつらしながら、野鳥の楽しそうな鳴き声を子守歌のように思いながら、明るくなるまで目覚めたり眠ったりしました。
ユリ科の花はつぼみから見事に開花してくれると、見事というか、ほれぼれします。花も100種以上あると、それぞれ個性があって、すぐにしおれてしまうのもあれば、いつまでも元気に花を咲かし続けるもの、いったんは枯れてしまっても繰り返し咲いてくれるものなど、多様性があっていいです。ただ、土が悪いと、いっぺんでしおれてしまいかわいそうです。分譲地の土は、よほど配慮した業者でないと、いろんな土が混ざっていますし、土壌菌が生育するような土はわずかではないかと思います。わが家の土も、最初はミミズも見かけることがないほどでした。最近小さなのが出てきて、おう頑張って生きているかと思ったくらいです。やはり小指くらいの太さのミミズがうようよしていないと、土壌は元気もないですし、花の方もうまく育ちませんね。すこし時間をかけて土を育てていこうかと思っています。
さて、今日は財務諸表のチェックや総会運営などを議論していて、いつのまにか6時を過ぎ、書き始めたらもう6時30分です。これから1時間で、本日のテーマをどのくらい書けるかわかりませんが、東芝事件はこれまでも何回か取り上げてきましたし、最近も話題満載で、いつ取り上げようかと思いつつ、今日の見出し記事を見て、なにか割り切れない思いが募り、ともかくテーマにしました。さて、どこまでなにを書けるかはこれから書きながら考えます。
毎日記事<「破産前に報酬21億円」米WH元会長のモラルは?>は、NHKのニュースでも取り上げられていたと思いますが、この内容には釈然としない思いを抱く人は少なくないと思います。
<東芝の苦境の原因となった米ウェスチングハウス(WH)をめぐり、米国から驚きのニュースが飛び込んできた。同社の破綻直前まで会長を務めたダニー・ロデリック氏に、1年間で1900万ドル(約21億円)の報酬が支払われたというものだ。>
それもロデリック氏は<2012年にウェスチングハウス社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した。そして、16年6月に会長に昇格し、東芝の社内カンパニー社長を兼任していた。>のであり、その<経営のもと、ウェスチングハウスは米国内で4基の原発建設を進めたが、大幅なコスト増で経営が行き詰まった。巨額損失をめぐり、ロデリック氏が損失額を圧縮しようと部下に不当な圧力をかけたことも明らかになっている。>
その彼が会長就任の<同年12月にウェスチングハウスの米原発建設で巨額損失が明らかになり、2月14日付で東芝社内カンパニー社長を解職された。そして、ウェスチングハウスの破産申請の2日前の今年3月27日に同社会長を退任していた。>ということで、破産直前に巨額の報酬金を手にして、おさらばしているのです。
たしかにアメリカ企業の世界では、リーマン・ショック時、ウォール街の金融・証券会社は倒産ないしは生き残っても政府から多額の支援を得ていました。でも企業トップはもちろんトレーダーら金融事業の前線で活躍した人たちはロデリック氏のように多額の報酬を得て平気で受け取り、巨額のローン債務の返済で苦しむか職を失った多くの中間層の嘆きの声を全然気にしません。これがアメリカなんだと思うこともありますが、東芝のとWHとの関係では、ちょっと事情が異なると思っています。
WHを買収し、海外での原子力事業を展開しようと甘い皮算用をしていた東芝は、WHの底なしの空虚の事業計画を鵜呑みに、そして最終的には訴訟で争っていた、これまた杜撰きわまりない施工会社を買収するというWHの決定をロデリック氏が行うのを野放しにしていたのです。
その東芝が<株主総会決算見送り><東芝決算報告断念 上場維持へ正念場 月末期限の有報焦点>という最悪の事態を招いたのは、先の記事にあるように、<巨額損失をめぐり、ロデリック氏が損失額を圧縮しようと部下に不当な圧力をかけたことも明らかになっている。>ことが主要因ではないのでしょうか。WHが破産申請の選択を避けられなかったのは、事業採算性をまったく無視したロデリック氏の事業展開と施工会社買収が主たる要因であり、それに輪をかけ、その損失を隠蔽しようと不正処理を指示したという、意図的な犯罪性の疑いのある行為をしたロデリック氏に主な原因があるのではないのでしょうか。
そのロデリック氏がどのような委任報酬契約をしていたか知りませんが、委任事務を適切に遂行していないばかりか、背任の疑いすらありうるにもかかわらず、経営責任を問われず、巨額の報酬を手にするというのはいくらなんでも、アメリカの資本主義というか、企業経営のあり方に疑問を感じざるを得ません。
ここまではアメリカの企業の話ですが、それを買収し、統括すべきであったのは東芝本体ではないのでしょうか。いまなお、監査法人から適正意見がでないのは、このWHに対する東芝の認識・対応がリスク管理・ガバナンス・コンプライアンスのすべてにおいて、無視できないものだからではないでしょうか。ロデリック氏に対する巨額報酬金の支払いがまかり通ること自体、わが国の経営マインドとかけ離れすぎていませんか。
上記記事の後者では、<有報は監査法人の意見を得て財務局に提出する必要があるが、米原子力子会社の巨額損失を認識した時期の調査について、監査法人と対立しており、監査法人の意見を得られる見通しが立っていない。>という状態がずっと続いてますね。
WHの巨額損失を認識した時期について、もしかしたら志賀重範前会長以下一部の人しか知らなかったのかもしれません。いや志賀氏も知らなかったといっているのかもしれません。でもそれで通る話でしょうか。
3年前になりますか、不正会計処理が露呈したとき、すでにWHの巨額損失は少し調査すれば把握できたはずです。第三者委員会に調査対象から外させたこと自体、その認識の可能性が十分にあったと思えるのです。わたしが監査法人の担当者の立場であれば、仮に東芝が昨年暮れに巨額損失を初めて知ったと弁解しているのだとしても、とうてい受け入れられないものです。
さて東芝の<株主通信>では、<1. 原子力事業の抜本的見直し><2. メモリ事業の分社化と外部資本の導入>などをうたい、<4. 今後の東芝の姿>を目指しているということで、稼ぎ頭の半導体事業の分社化・売却が厳しい暗礁に乗り上げていることも、上場廃止の危機的状況も、まったく感じさせない姿を見せています。
それはたしかに企業として、将来を前向きにとらえる必要があり、一面では理解できないこともないです。しかし、ロデリック氏がこれまでとってきたWHの事業運営に加えて巨額の報酬の取得について、頬被りして、淡々と進めていっていいか、土光氏ならとても見ておられないと思うのですが、どうでしょう。
そろそろ一時間に近づいてきました。今日はこの辺で終わりにします。
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