Bamboo(てのりぐま)日記

子どもの成長とお出かけの記録。気が向いたら好きなものの勝手レビューをします。毒も吐きます。月の最後は読書記録で締めます。

4月度月報

2013-04-30 00:04:30 | 読書
今月は6冊。
通勤電車の中だけで、案外たくさん読めました。

===

1.サンネンイチゴ 笹生陽子さん 角川文庫

笹生さんの小説は面白い。読みやすい。

中2女子が主人公。
心の中では、正義感にあふれ、大人にも言いたいことを言えるスーパー少女なのだが、
現実は、ごくごく平凡なおとなしい子。
そんなふつーの子が、
いつの間にか、自分の殻、周りの殻を打ち破って、自分のコアな部分を自分でつくっていきます。

笹生さんの小説のテーマは、心の成長ですかね。


2.ポプラの秋 湯本香樹実さん 新潮文庫

主人公の父親が主人公が7歳のときに死んでしまいます。
その事実を、主人公は、なかなか受け入れられません。

父親の死で呆然としている母親と主人公は、ポプラの木に導かれるように住まいを変えます。
ポプラ荘に引っ越した後、いろんな闇が主人公の心に忍び寄ります。
不安、恐れ、再婚した母への反発、そういったものが丁寧に描かれています。泣けます。

父の死と主人公が向き合っていく機会を、ポプラ荘の大家のおばあちゃんがつくってくれました。
主人公は、天国にいるお父さんにせっせと手紙を書いて、おばあちゃんに預けるのでした。

20年後、おばあちゃんの葬式で、はじめて出会う人達との会話と、
そして、20年前に母が書いた手紙。手紙に書いてある、父の死の真実。
人と人とのつながりのすばらしさがつまった小説です。

大人の場合、夏の庭よりこちらの作品のほうが感情移入度が高くなりそう。


3.エンジェル・エンジェル・エンジェル 梨木香歩さん 新潮文庫

ちょっとぼけてしまったおばあちゃんと、そのお世話をするコウコ。
コウコのところは新仮名遣い、おばあちゃんのところは旧仮名遣いでかかれます。うまいな。

コウコの話とおばあちゃんの話は最初は全然つながっていないのですが、
読み進めるとどんどん近づいていき、最後は2つが見事に融合します。

梨木さんの作品は、(裏庭もそうだったけど、こちらも)魂の救済がテーマなんだと思う。
すごく日本的に感じます。


4.夜中に犬に起こった奇妙な事件 マーク・ハッドンさん 小尾芙佐さん訳 早川書房

自閉症である主人公から見えている現実世界の描き方が、とても印象的な作品です。
たくさんの知らない人の中に放り込まれてしまうと、
五感からの情報を捌ききれなくなってしまい、叫ぶことで自分をリセットする、
なんてところもすごいリアル。

訳者(小尾さん)の力量がすごいのだとおもいます。
アルジャーノンも、夏への扉も、心理描写がとても丁寧で読み応えがあります。


5.プリズムの夏 関口尚さん 集英社文庫

年上の女性に恋をする高校生2人組。
彼女は実はうつ病で、生きることをやめようとしていた。
まっすぐにすすむ2人と、彼女との関係はどう進んでいくのだろう。
2人は彼女を救えるのか。

あのラストはきれいだとは思うが、
あれでうつ病の人が救われるのかがちょっと疑問ではある。


6.風のダンデライオン 銀河のワールドカップガールズ 川端裕人 集英社文庫

銀河のワールドカップの前日譚。高遠エリカが主人公の物語。
彼女がなんで翼(テレビでは翔)や三つ子の悪魔といっしょにサッカーをするようになったのか
というところを扱っています。
女子が、小学校高学年くらいから感じ始める男子とのいろんな違い。それがエリカの心に波紋を広げます。
エリカ自身がそういったものとどう向き合って消化していくのか、といったところが面白いですね。
エリカの人物描写が、テレビより全然深くってよいです。

高学年の女の子におすすめ。


以上です
コメント
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