http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090513/194508/
ネーミング良し。
DSだけでなく。あらゆるパーソナルデバイス(ケータイ、デジカメ、音楽プレイヤー、ワンセグ)の進化の方向か。
特に最後のハードからサービスの流れは、どのデジタル製品にもいえることなのでしょう。
以下引用
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この世界でも「プロ」の時代は終わるのか?
~「メイドイン俺」が垣間見せるゲームの未来像~
ふつうの人たちが、ゲームを作れる時代が、ついに到来しました!
「メイドイン俺」。プチゲームを自由に作成できるソフト。DS同士のワイヤレス通信やWi-Fiコネクションを利用し、ゲームを友人にあげたり、もらったりすることが可能。販売元:任天堂。4月29日発売。4800円(税込)。(c) 2009 Nintendo Co-developed by INTELLIGENT SYSTEMS 4月29日に発売されたニンテンドーDS用ソフト「メイドイン俺」を、ぜひ体験してみてください。わずか数秒で終わるミニゲームを、プレイヤー自身が作れてしまうソフトです。絵を描いて、音楽をつけて、それらを組み合わせることで、すぐにオリジナルゲームが作れます。
驚くべきは、そのシンプルさ。
「ゲームを作る」という複雑な作業が、小学生でも扱えるほどに簡素化されており、わずか数十分の作業でも、そこそこのゲームが完成します。いまの子供たちは、こうして小さな頃から「ゲームを作る楽しさ」を体験できるのですから、なんともすごい時代になったものです。
もっとも、ゲームを作るためのソフトの歴史は古く、ファミコンの時代から存在していました。家庭用ゲーム機初の本格的コンストラクションツール(ゲームを作るためのソフトの総称です)である「絵描衛門(デザエモン)」(販売元:アテナ)の発売は1991年。なんと18年も前に、同タイプのソフトは登場しています。以降も、たくさんのコンストラクションツールが発売されています。
とはいえ、正直、それらのソフトのことを、多くの方はご存じないでしょう。本格的なゲームを作るとなれば数十~数百時間を要するため、おいそれと手を出せるシロモノではなく、いわばマニアのためのアイテムだったからです。敷居が、とてつもなく高かったのです。
●本当にゲーム初心者でも作れてしまう
しかし「メイドイン俺」は違います。作れるゲームを「数秒で終わるミニゲーム」に限定したことにより、敷居が一気に下がっているのです。
ゲーム製作画面。やる気のある人は自分で絵を描けばいいし、そうでない人はありものの絵を利用してもいい。(c) 2009 Nintendo Co-developed by INTELLIGENT SYSTEMS そして同時に、これは羊の皮をかぶった狼でもあります。
本気でゲーム作りに取り組めば、アイディア次第で、とんでもなくハイレベルな作品も作れてしまう。もちろんBGMもつけられる(鼻歌を歌うだけで、それを音楽にしてしまう機能があるのです)。さらにいうと、なぜか4コママンガも描いたり、レコードを作ったりする機能も搭載されています。
作ったゲームは、DSのワイヤレス通信、あるいはWi-Fi通信を介して友達に配ることが可能。任天堂が主催するコンテストに応募すれば、優秀な作品は全国に広めることもできます。ふつうのゲームファンが、自分でゲームを作るのみならず、それをどんどん発表できる環境が、一気に整ってしまいました。
これは、ゲームの歴史において、きわめて大きな出来事です。
だって、誰もが「ゲームを作る楽しさ」を味わえるようになったのと同時に、その作品を「みんなに向けて発表する」ことができ、「それが評価される楽しさ」を体験できる環境が、ついに整備されたということですからね。
これは、ゲームビジネスの未来を左右する大事なファクターとなります。
極論をいってしまうならば、今後は、プロが作るゲームソフトが、次第に売れなくなっていきます。
だって、そうでしょう? インターネットが登場し、誰もが自分の意見を文章にして発信できるようになったら、雑誌や新聞などの文字情報主体のメディアは、徐々に苦戦するようになったじゃないですか!
テレビも同じです。放送メディアの人たちは、「映像は、製作するのに機材・資金・ノウハウが必要だから、わたしたちは大丈夫だろう」と考えていたかもしれませんが、いま、その牙城も崩れつつあります。誰もが動画をアップロードし、アマチュアの映像を楽しめる時代がやってきたからです。質は低くても、こっちのほうが私の趣味に合うなぁ……と思える作品が出てくることにより、プロの作品を視聴する時間は奪われていくからです。
誰もが情報を無料で(あるいは安価で)発信し、それをキャッチできる環境が整っていけば、「プロが情報を提供し、一気に提供する」という形で成立するメディアは、のきなみ苦戦することになる。これは時代の必然です。
テキスト、映像ときたら、次は「ゲーム」の番です。ゲームの作り手の方々は「ゲームは製作するのに機材・資金・ノウハウが必要だから、わたしたちは大丈夫だろう」と考えているかもしれませんが、その常識が崩れるのは時間の問題です。ふつうの人たちがゲームを作り、それをみんなに提供し、楽しませられるようになる時代がやってきているからですね。
●「ゲーム機戦争」ではなく、「サービス戦争」が始まる
だからいま、ゲームビジネス全体が、ふつうのユーザーが「気軽に作品を作る環境」および「それを発表する環境」を整えることに、力を入れるようになっています。
ニンテンドーDSでは、すでにパラパラマンガを作り、投稿できる機能を持つ「うごくメモ帳」があり、順次バージョンアップをしています。「大合奏!バンドブラザーズDX」では楽曲を投稿し、それをダウンロードして遊ぶことができるようになっています。そして、ついに実際にゲームを作れてしまう「メイドイン俺」が登場しました。
数十年にわたり、マシン性能の向上によって牽引されてきたゲームビジネスは、そろそろ転換点を迎えています。
現行のゲーム機が発売されて2~3年が過ぎ、そろそろ、次のゲーム機の話題が出てくる季節がやってきましたが、ハード面の性能を比較し、優劣を競うような形での「ゲーム機戦争」は、しばらく小休止になるでしょう。
なにしろ、「画質が上がれば、みんなが喜び、ユーザーが増える」という考え方が幻想であることも、そろそろ多くの人が気付いてしまいました。どんどん高画質テレビが普及しているのに、地上波テレビの放送は、かつてほど視聴率を取れなくなっているのと同じですね。
だから、従来のような形でハード面の性能を競い合うような「ゲーム機戦争」は、大きな意味を持たなくなります。かわりに、これからスタートするのは、アマチュア(や無名クリエイター、さらにはゲーム以外のコンテンツを提供しようとする人たち)の創作意欲を、きっちり受け止めるための環境を作れるかどうか? という「サービス戦争」なんですね。