子供の頃にあったおもちゃで、車掌さんカバンというのがあった。
おもちゃ屋で売られていたのだろうが、なぜか私はお菓子屋でも見かけたような気がする。
もしかしたら私の記憶違いかもしれないが。
ただ、お菓子屋ではそういう「カバン」系のパッケージに入ったお菓子の詰め合わせセットみたいなものは売られていたように思う。
それを私が入手したことがあったかどうかはさだかではない。
もしかしたら入手したことがあったのかもしれないが、なかったのかもしれない。
もしあったとしたら、お菓子屋で売られていた以上、その箱の中にはいくつものお菓子がつめこまえていたのだろう。
どんなお菓子が入っていたかは全くわからない。
箱はもちろん紙製だったと思う。雑誌の付録みたいな。
ただ、それとは別に、おもちゃ屋でも売られていた車掌さんカバンは、箱の中身はお菓子ではなかったのだろう。中には、電車の車掌さんにつきもののおもちゃが入っていたはず。
私自身が入手したかどうかはさだかではないのだが、そういうカバンの中に、駅の改札で駅員さんが持ってた「改札ハサミ」みたいなおもちゃは見かけた気がする。
だとしたら、その箱の中にはおもちゃの切符なども入っていたのだろう。
おもちゃの「改札ハサミ」を手にして、おもちゃの切符に穴をあければ、気分は改札の駅員さん・・・というわけである。
そのおもちゃ箱の中にほかにどんな玩具が入っていたのかはわからない。
だが、その「改札ハサミ」は、そのおもちゃ箱の目玉だったように思う。
ちょっと調べてみたところ、玩具屋で売られていた車掌さんカバンのセットの中には、腕章やホイッスル、車掌さん帽子などが入っていたらしい。
なるほど!
腕章、帽子、ホイッスル、改札ハサミ、切符・・・これらが入っていれば確かに気分は駅員だね。
これさえあれば、電車ごっこ、車掌さんごっこができた・・・ということだろう。
私は車掌さんに憧れたことは子供の頃にはなかったような気がするが、でも、こういうカバンには惹かれていたし、ほしいと思ったことはあった。
だが、実際に入手したことがあったかどうかのはっきりした記憶は抜け落ちている。
とりあえず、そういうセットの箱にはやたら惹かれていたのは確かだ。
よくクリスマスシーズンになると、厚紙で作られたサンタブーツの中にお菓子がつめこまれているセットを見かけたし、そういうのを見かけるたびに欲しかったのは確か。で、車掌さんセットのお菓子詰め合わせセットにも惹かれたのだろう。
要するに、あの箱に惹かれていたのかもしれない。
そういう「詰め合わせセット」がお店では、よく天井からつりさげられて売られていた。
けっこう目立った。
あの箱の中に何が入っているのだろう・・・という興味もあったし、なにより箱そのものが玉手箱のように見えていたのだろう。
玩具屋で売られていた車掌さんカバンは中身がおもちゃだから、中にどんなおもちゃが入っていたかは、ある程度予想はしやすい。
だが、車掌さんカバンのようなお菓子詰め合わせセットだと、中にどんなお菓子が入っていたのかはまったく想像がつかない。
電車とは全く関係ないお菓子が入っていたのかもしれない。
だがそうなると、そのカバンが「車掌さんカバン」という設定であるという必然性があやふやだ・・。
ということは、問題は中身ではなく、あくまでもパッケージが売りだったということになるのだろう。
そう、確かにパッケージは大事。
クリスマスのサンタブーツでのお菓子詰め合わせセットにしても、中身は普通のお菓子だった気がするから。
車掌さんカバンみたいな玩具とかお菓子詰め合わせセットは、今では私はほとんど見かけない。
もうないのかもしれない。
そりゃそうだよね、駅の改札は自動改札になり、駅員が改札ハサミで切符に穴を入れる作業というのはなくなったから。
ということは、自動改札は駅員の手間をはぶいただけでなく、お菓子屋おもちゃの種類も減らしてしまったことになるのだね。
ところで・・・車掌さんカバンみたいな「お菓子詰め合わせ」セットを買ってもらった子供は、お菓子を食べ終わった後に、空になったパッケージ箱をどうしていたのだろう。
なんといっても、そのパッケージ箱こそがその商品の目玉だったと思うので、お菓子を食べ終わった後もその箱をしばらくはとっておいたのではないか。
ただ、その箱で何をして遊んだのか・・は、わからない。
なんにせよ、そういう子供にしても、やがてはそのカラ箱に飽きてほうっておいてる間に、親に捨てられてしまった・・・そんなケースは多いとは思うが。
でも、今そういう箱がまだどこかで保管されていたら・・・どんな値段がつくのだろう。
プレミア値段?
あるいは、ただのゴミ値段?・・・というか、その場合は、値段などつかないかもしれないが。
世の中には鉄道ファンの方は多いが、その中には子供の頃のおもちゃ「車掌さんカバン」に影響された方も、きっといるのではないだろうか。
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