時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

僕はビートルズ  を読み返してみた

2019年10月16日 | 漫画・アニメ、そして特撮

 

 

かつてこのブログで取り上げたことのあるコミック「僕はビートルズ」。

単行本を持っていたのだが、実は途中の2冊が抜けていた。

つまり「歯抜け」で持っていたのだ。

最近、歯抜けだった2冊を改めて入手し、晴れて全巻そろったことになったので、いつか第1巻から読み返してみようと思っていたのだが、「いつでも読める」と思うと、ついついのびのびになっていた。

先日、「そういやこの作品、今全巻が我が家にそろっているんだよなあ」などと思って、何気に第1巻を手にとって数ページだけパラ読みしてみた。

すると、やはりグイグイ最初から引き込まれてしまった。

元々、私にとって大の好みの題材。

結局あっという間にハマり、1冊読み干してはすぐに次の巻を読み、結局その日のうちに全10巻読み干してしまった。

 

本当にこのコミックは途中までは面白い。

いや、私にとっては厳密に言えば、ラスト以外は本当に面白い。

ラストまでの途中経過の中で、ツッコミを入れたい個所は多々あったにしても・・・だ。

そう、中盤以後には、ポツポツと矛盾個所も出てはくるのだが。

 

だが、特に序盤は、はっきり言って読み始めたらやめられなくなる。

ビートルズが好きな人なら特に。

作品のあちこちに、ビートルズ関連の小ネタが散りばめられているし、登場人物のキャラクターにも、ビートルズのメンバーのキャラがうまく投影されてもいる。

ビートルズファンなら、読んでてニヤリとさせられる個所は多いはず。

ある程度ビートルズに詳しければ、特に。

 

 

最初にラストを読んだ時の印象は強く私の中に残っていて、良く覚えてもいたので、今回読み返していて、ラストに近づけば近づくほど、「あ・・もうすぐ、あの結末がやってくるのか」と思うと、ラスト手前で読むのをやめようかなとも思ったりもした。

 

でも。。なかなかそうもいかないよね。

ラストまでしっかり読み返してしまい、またもやモヤモヤした思いが私の中に・・。

とはいえ、それはわかっていたこど。なので、最初に最終回を読んだ時ほどの拍子抜け感はなかったのが救いだった。最初に読んだ時の免疫があったぶんだけ。

 

 

 

ビートルズを崇拝する平成の若者のロックバンドが、ふとしたことから、ビートルズがデビューする1年前の昭和の日本にタイムスリップしてしまうことで物語が展開していく、この作品。

 

彼らは平成のビートルズコピーバンドだから、ビートルズの楽曲は全て知っている。

演奏力に関しては、本家にひけをとらないほどの自負も持っている。

そんな彼らが、まだ世の中にビートルズという存在がなかった時代・・しかも、ビートルズがデビューする1年前の日本に現れたのだ。

 

バンド内でポールのポジションであるマコトは思う。

もし自分らが、ビートルズの曲を、自分らのオリジナルということにして、ビートルズがデビューする前に発表してしまったら、ビートルズはどうするだろう。

きっと、ビートルズならそれ以上の曲を新たに作るに違いない。マコトはそれを聴いてみたいと思うようになった。

 

メンバーの一人、レノンのポジションのレイは「そんなことは許されない。」と反発し、一時バンドを離れる。で、ひとりでオリジナル曲を作るようになる。

 

ジョージのポジションのショウは、マコトの考えに葛藤を感じ、罪悪感に悩みながらも、結局はマコトにつきあう。ビートルズになるというより、演奏や歌は自分ら自身の表現なのだということで。

 

リンゴのポジションのコンタは、昭和30年代の日本にタイムスリップした後は、その時代で伴侶らしきものを見つけ、家庭人に収まっていた・・。

 

タイムスリップした彼らは、ビートルズがまだデビューしていない昭和の日本で、上記のような状況で生きていくことになる。ファブ4というバンド名で。

 

世の中にタイムスリップものは多数あるが、こんなタイムスリップものは他になかった。

設定が斬新だったし、犯罪まがいの音楽活動で彼らはどうなっていくのか。

やがて、デビュー前のビートルズのメンバーは、ファブ4の曲を耳にすることになるが、その時のビートルズの反応は?

ビートルズにとっては、まだ自分らが作ってもいない、あるいは浮かんでもいない、「やがて自分らが作ることになるビートルズソング」を聴いて、どうするのか。どうなるのか。

 

こんな「引っ張り」で、読者はグイグイ引き込まれていくのだ。

 

ビートルズデビュー前の日本において、ビートルズの曲、サウンド、ノリ、スタイルで現れたファブ4は、極めて斬新であった。

当時の日本では、誰も彼らのようには演奏できなかった。

また、誰も彼らのような曲を作ることもできなかった。

ただ、彼らは未来人であり、当然戸籍もない。プロフィールが謎に包まれたままの、レコードだけの存在としてデビュー。ビートルズの曲がそうであったように、ファブ4のレコードは瞬く間に人気を集める。

英語で歌う彼らのレコードは、やがてイギリスでも話題を集めるようになる。

もちろんファブ4の曲は、ビートルズの曲だ。「抱きしめたい」「イエスタデイ」などの。

しかも、ファブ4のその曲は、ファブ4のオリジナルである・・・ということになっていた。

きっと・・デビュー前のビートルズのメンバーも聴いたに違いない。

そう、まだ「イエスタデイ」も「抱きしめたい」も作ってなかったビートルズも。

 

このあと、物語は衝撃的な展開を迎える。

それは・・・ビートルズはデビュー前に解散してしまった・・という話をマコトたちは聞かされたことだった。

今後どうなる?

ファブ4は?そしてビートルズは?

 

あまりにネタばれになりすぎるので、これ以上のことは書かないでおく。

 

こうなってくると、最初にこの作品を読む人は、続きが気になってしかたないはずだ。

 

 

先が気になって、読むのをやめられない作品なのだ。

 

 

だが・・・ラストが・・。

そこまでは、読み進めながら「おいおい、これはないだろう」とか「矛盾してるんじゃないか?」とか「あれはどうなったんだ?」とか思いながらも、先の展開が気になって、読み進むことができたし、本当に面白かった。

題材も斬新だったので、ラストは個人的に残念でならなかった。

 

 

ラストに関しても、ここでは当然書かないでおく。

 

ただ個人的に言えるのは、他の展開、他の終わらせ方もあったのではないか・・・と思えてならないということ。

 

 

この作品には、賛否両論あったらしい。特にラストが。

 

そりゃそうだろうなあ。

 

 

もちろん、ラストを含めて、この作品のファンも大勢いると思うし、この記事で書いてることはあくまでも私の個人的な思いでしかない。

 

なまじ、かなり熱中して読んだし、コミックも全巻集めたし、絵柄も好きだし、ビートルズも好きな私だけに、余計にこの日記のようなことを書いてしまったのだと思う。

 

しかも、全巻を読み返してもみて。

 

ただ、何度も書くが、ラスト直前までは不滅の傑作と呼びたいぐらい面白く、発想・着眼点は素晴らしい作品だと思う。それは間違いない。

なので、良いテーマだったのに、もったいないなあ・・・というのが、私の正直な感想だ。

 

 

タイムスリップものというと、現代人が過去の時代に行って織田信長に会ったり、坂本龍馬に会ったりするパターンが多いが、デビュー前の若き日のビートルズに会うというパターンの作品は、日本では他にないのでは?

 

イギリス人の書いたタイムスリップ作品なら、ありえるかもしれないけど。

 

 

ちなみに・・もしも私がタイムスリップしてビートルズの誰かに会えるなら、殺される前のジョンの前にタイムスリップして、1980年の12月7日(つまり、射殺される前日)までに、ニューヨークを一時でいいから離れてほしいと伝えたい。極秘で。

良ければ、日本なら奥さんの母国だし、日本では銃は所持できないし、お忍びで人目につきにくい軽井沢あたりにでも身を隠してほしいと伝えたい。

もちろん、その際、あの犯人を日本への入国禁止にすることは言うまでもない。

ジョンの射殺犯人は、当時のジョンの住んでたアパートのまわりをうろちょろしていたそうなので、しばらくはニューヨークを離れるか、あるいは人にあまり知られない場所に引っ越してほしいと伝えたい。

理由を聞かれて、私が未来人であることをジョンが信じてくれるかどうかは別にして・・。

もっとも、私が未来人であることを信用してもらわないと、私の伝えることを真に受けてもらえそうもないが・・。

 

とりあえず、こんなタイムスリップなら、誰にも迷惑をかけず、それどころか全世界の音楽ファンに貢献できるのではないか。

歴史を変えてしまうことにはなるけど、ジョンとポールが2人とも長生きするという、「変わってしまった歴史」も楽しみではある。

 

 

 


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4 コメント

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Unknown (鮎川愛)
2019-10-17 04:29:11
これは、かわぐちかいじ先生による漫画作品の中でも異色作ですね。

かわぐちかいじ先生も、担当編集者もビートルズ熱烈ファンだからこそ協同で完成させた傑作です。

実は私は、この作品は、まだ読んでいないのです。

タイムスリップ物語も、ビートルズも、かわぐちかいじ先生も全て大ファンであるにも関わらず…。


そして最終回だけは、私より先に読破した友人に尋ねて知りました(笑)


「件の結末」は、かわぐちかいじ先生も担当編集者も、きっと悩みに悩み抜いて、そうなったのでしょうね。

私は、全体を通して読んでいないのですが、「件の結末」に対しても、だんぞうさんと同じく私自身でも納得できず、悩んでいます(笑)


ところで私も、タイムスリップするなら、やはり「80年12月8日、アメリカ合衆国ニューヨークシティ」ですね。

私の場合は、だんぞうさんと違い、「悲劇の事件数時間前」に、ジョン・レノンに“明日の新聞”を見せます。

そして、御自身に起きる数時間後の極めて非情な運命を知ってもらい、その日はヒット・ファクトリー・スタジオから帰宅しないように忠告しますね。


80年12月8日、ニューヨークは、冬とは思えないほど暖かったそうです。

そのために暗殺者は、その日、夜遅くなっても(午後10時45分頃)、ジョン・レノンの帰宅を外で待機することが出来たのです。

それから30分も経過していないのに、ロックンロール最高の英雄は、誰も知らない遥か遠くへ行ってしまいました…。
返信する
Unknown (だんぞう)
2019-10-17 13:52:46
あらら・・最初に結末を教えてもらっちゃったんですか?
それは痛い・・。
それでは、頭から読むモチベーションは中々上がらないことになるでしょう・・。

推理小説などを読む時に、その小説をすでに読んだ人から「結末の犯人」を聞いてしまったら、私ならその小説を読む気はしなくなりそうです(笑)。

まあ、本を読むのは面倒なので、結末だけ教えてほしい・・・そんな場合はいいかもですね。


>私は、全体を通して読んでいないのですが、「件の結末」に対しても、だんぞうさんと同じく私自身でも納得できず、悩んでいます(笑)


ならば、あえて読まなくてもいいかもですね。


>ところで私も、タイムスリップするなら、やはり「80年12月8日、アメリカ合衆国ニューヨークシティ」ですね。

私の場合は、だんぞうさんと違い、「悲劇の事件数時間前」に、ジョン・レノンに“明日の新聞”を見せます。

あ、その手がありますね。
その新聞が本物であることをジョンに信じてもらわないといけない。
難しいことかもしれませんが、彼の命を救うために、なんとしてもその新聞が本物であることを信じてもらわないといけないですね。

ジョンが殺されずに長生きする・・・そんな世の中を見てみたかったです。

長生きしてたら、「ビートルズアンソロジー」にジョンも参加したでしょうし、「グロウオールドウィズミー」を完成させることもできたでしょうに。


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Unknown (捨丸)
2019-10-17 18:52:32
残念ながらこのコミックは未読でして・・・と言うか、最近はあまりそっち方面にアンテナを張っていない事もあり、まるっきり疎い世界になりつつあります。
コミックというか漫画があんなに好きだったはずなのに・・・歳のせいとは思いたくないのですが・・・

分野は違いますが、映画でビートルズ絡みの作品が公開されてますね。
タイトルもズバリ「イエスタデイ」。

主人公の売れないミュージシャンが事故に遭い、昏睡から目覚めるとそこはビートルズが存在しなかった世界。
主人公はビートルズの楽曲でスターになってゆく・・・というストーリーらしいです。
映画評を見るとなかなか出来が良い作品のようで、特にビートルズや音楽に詳しくなくても楽しめるそうで、私も時間をみて観に行こうかな、なんて考えてます。

考えてみるといま常識のように存在しているものがなかったら・・・というのは時間ものの一つのジャンルなんですよね。
でも、「僕はビートルズ」にしてもこの映画「イエスタデイ」にしても、
音楽という切り口を使うことで、ストーリーにより拡がりを与えているように思います。

ちょっとお古いところでは「バックトゥザフューチャー」のプロムでのコンサートシーンが思い出されます。
そう、チャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」をマーティが演奏するくだり。

ちなみに世に出たのは、もちろん「僕は〜」の方が先です(笑)
返信する
Unknown (だんぞう)
2019-10-17 20:54:01
私も昔に比べたら読む漫画の量はかなり少ないです。
よく読む作品は限られてきてます。

イエスタデイという映画の存在、知ってます。かなり興味があります。
実はその映画の存在があるから、今回のこの記事を投稿したのです。
タイミング的に丁度良いと思いました。

その映画の存在を知った時に、真っ先に思い出したのが、この「僕はビートルズ」でした。

相通じるものがありますよね。
その映画がどんな結末なのか、楽しみです。

バックトゥザフューチャーでは、近未来でのギター奏法をして、「この時代には、まだ早い」とつぶやくシーンがあったような、、。
記憶違いかもしれませんが。
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