日々の日本舞踊

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長唄「静と知盛」とは_その1

2017-09-06 22:18:16 | 歌舞伎舞踊 坂東流 坂東扇菊 日本舞踊

長唄「静と知盛」は、能楽『船弁慶』を歌舞伎化し、

それを更に舞踊化した作品です。

《先ず、能の船弁慶は》

作者は観世小次郎信光と考えられる、室町時代の能楽、五番目物です。

前段 子方- 源義経 ワキ - 武蔵坊弁慶(ワキツレ 義経の従者三人) アイ - 大物浦の漁師 前シテ - 静御前 

間狂言 アイ - 大物浦の漁師 ワキ - 武蔵坊弁慶(ワキツレ 義経の従者三人) 子方 - 源義経

後段 子方 - 源義経 ワキ - 武蔵坊弁慶(ワキツレ 義経従者三人)  後シテ - 平知盛

という作品構成ですが、

《歌舞伎の方では》

序=義経、弁慶の登場 

破=静の舞 

急=知盛の怨霊 

というようになります。


《さて、長唄「静と知盛」は》
能楽『船弁慶』を歌舞伎化し、それを更に坂東三津之丞の発案により舞踊化された作品で、昭和19年初演されました。
 
能仕立ての優雅な衣裳、能面のような化粧、手には能に用いる扇の一種中啓(ちゅうけい)を持っています。義経に求められて、別れに舞を見せます。
舞い描くのは四季の京都の名所を綴る歌詞に乗った「都名所」です。
悲しい舞の最後に恋しい人からの烏帽子が落ちてしまい、思わず形見にと抱き締めて返そうとしますが、義経はそのまま与えるのでした。静は名残りを惜しみ、憂いの思いで花道を引っ込んで行きます。
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《静の舞—歌詞》
〽️その時静は立ち上がり。時の調子を取りあえず。
『渡口の遊船は。風静まって出ず』
〽️波濤の謫所は。日晴れて出ず
『立舞うべくもあらぬ身の 袖うち振るも恥しや』
〽️春は曙 しろじろと 雪と御室や地主初瀬 
花の色香にひかされて盛りを惜しむ諸人が 
散るをいとうや嵐山  
花も青葉の夏木立 茂り鞍馬の山越えて 
泣いて北野の時鳥
ただすの森の秋立ちて 涼しき風に乙女子が
手振り優しき七夕の 都踊りのとりなりは
その名高尾や通天の 紅葉恥かし紅模様 
野辺の錦も冬枯れて 竹も伏見の白雪に 
宇治の網代の川寒み あさる千鳥の音も鳴きつれて 
吹雪に交り立舞うも 朝まばゆき朝日山影 
静は名残り惜しまれて 涙にむせぶ御別れ
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