「鏡獅子」その4はいよいよ獅子の登場です。
獅子の精が現われ、胡蝶とともに牡丹の花に遊び狂う。そこで獅子と牡丹ですが、
鏡獅子や連獅子など"石橋もの"の舞台には、必ず大輪の牡丹の花が飾られています。 獅子と牡丹は切っても切れない関係にあるようです。 獅子は、百獣に君臨する王といわれますが、その無敵の獅子でさえ、ただ一つだけ恐れるものがある。我身の体毛の中に発生し、増殖し、やがて皮を破り肉に食らいつく害虫です。しかし、この害虫は、牡丹の花から滴り落ちる夜露にあたると死んでしまいます。そこで獅子は夜に、牡丹の花の下で休みます。獅子にとっての安住の地がそこに在ります。本来は仏典から出た言葉で、これが"獅子身中の虫"といわれるものです。
胡蝶とともに牡丹の花に遊び狂う。これにはそんな意味があったのですね。 長唄の歌詞は「獅子の座にこそ直りけり」と締めくくっています。
※ 写真は国立劇場で開催された「扇菊会」で撮影されたものです。
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