海のように 空のように・・・

自分の趣味や、日常での感じたことを思いのままに留めてゆきたい。
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天使と悪魔 第6章

2008-12-03 09:08:01 | ユウ
 <上>

福原「はははははは!」
福原さんは急に笑い出した。
ソラ「なっ、何がおかしいんですか!?」
福原「だって、お客さんに何ができるっていうんですか?店長と話してみますか?僕にだって話してくれない訳を見ず知らずのあなたに話すはずがない!」
なんだろう・・・なんか怖い・・・・さっきまでの福原さんとは思えない・・・。
 福原「出てってください、僕はすることがあるんです。」
福原さんがそう言った瞬間、私はすぐさま出口に向かって走っていた。
逃げ出してしまいたかったからだ。
人があんなふうに怒りを表に出すなんて思わなかった。
福原さんの顔はさっき初めて会ったときとは違って、なにもかもが憎い、そんな感じだった。
何か、心の中に黒い炎が揺らいでいるのが見えた気がした。
 アポロン「ソラ、大丈夫か・・・?」
 ソラ「あんまり・・・大丈夫じゃないかも・・・・・怖かったよ・・・・・。」
 アポロン「しかしこれでわかった、福原という者にはダークマインドがとりついていた、この機会を逃すわけにはいかぬ、すぐに排除に向かうぞ。」
 ソラ「また福原さんに会うの?」
 アポロン「いや、その必要はない、天使の姿になってまた店に入る、そして我のサポートをしてもらう。」
 ソラ「サポートって・・・なにをすればいいの?」
 アポロン「天使としてのお前の能力はダークマインドと戦ってみなければわからないのだ。」
なんか不安だ。
自分でもどんなことができるかわからないのにサポートしろって・・・・・
 アポロン「まあ、なんとかなるだろう、さきほど言ったように我は強いからな、もしかしたらおぬしのサポートなしでもいけるかもしれん。」
 ソラ「うん・・・、わかった・・・・・。」
私はまた腕輪をつけて天使の姿になった。
 アポロン「これでおぬしの目にはダークマインドが見えるようになった、やつは排除されまいと必死に抵抗してくる、気を抜くなよ。」
私は緊張しながらドアを福原さんに気づかれないようにゆっくり開けた。
 アポロン「行くぞ!」
アポロンは透明な羽を羽ばたかせ福原さんのところに向かった。
福原さんはまだいらいらしながらタバコを吸っていたが、私の目にはさっきまであまり見えなかったものがはっきりと見えた。
福原さんが黒い炎に包まれている、そしてその近くには小さな生き物がいた。
すかさずアポロンはそれに飛びかかり、福原さんから離れさせた。
その小さな生き物はまるでねずみがすこし大きくなったような姿をしていた。
そばで見ていると猫がねずみを追っかけまわしているみたい。
なんだかアポロンには悪いけどほほえましい光景だ。
 ソラ「アポロンがんばれ~。」
ねずみはなかなか早く、アポロンは追いつけないでいる。
部屋の中を飛び回ったアポロンは疲れたのか、床に座り込んでしまった。
ねずみは猫に逆襲すべく、するどい歯をむき出しにして襲い掛かる。
 アポロン「甘いっ!!」
猫は待っていたかのように爪をたててねずみをひっかいた。
ねずみは大きな傷をつけられたあと、宙を舞い、床に落ちた。
 ソラ「やった!これで福原さんは大丈夫なんだよね?」
 アポロン「ああ、おそらくな。」
私は福原さんのほうを見る。
でも、そこにはさっきと様子がまったく変わっていない、怒りをあらわにした福原さんがいた。
 ソラ「!!黒い炎が消えてない・・・・!」
 アポロン「何!・・・・・まさか!!」
私とアポロンはねずみのほうを見た。
ねずみは体勢をとりもどしていた。
しかもさっきのような小さい体ではなく、アポロンの2倍ほどの大きさになっている。
なんだろう・・・・・福原さんの周りにある黒い炎がねずみの口に吸い寄せられるそうに注がれている・・・・・
 ソラ「福原さんの黒い炎を食べてる!?」
 アポロン「まずい!!」
アポロンはねずみに飛びかかった。
だけど遅かった。
ねずみは体中の毛を逆立て、それを針のようにアポロンに向けて飛ばしてきた。
 アポロン「なっ・・・ぐあぁ!!」
何本もの針がアポロンに突き刺さった。
 ソラ「アポロン!」



<下>
 アポロン「来るな!」
アポロンがそう言った瞬間、再び無数の針が彼を襲う。
 ソラ「危ない!!」
私がとっさにアポロンをかばおうとしたそのとき、左腕につけてる腕輪が光を放つ。
光は私とアポロンを包み込み、球形に変わっていった。
針は光の球に刺さったと思いきや、それを勢いよくはね返し、ねずみを攻撃した。
自分の針が刺さったねずみは血も出さずに倒れ、線香の煙のようになり、タバコの煙と一緒に消えていった。
 ソラ「・・・・今のって・・・・私が・・・・?」
 アポロン「そっ・・・、そのようだな・・・・・。」
なんだろう・・・アポロンを守りたいって強く思ったら腕輪から光が出て・・・
 アポロン「どうやらお前は自分の能力を使うことができたようだな。」
不思議・・・・・私にこんなことができたなんて・・・・・・
 ソラ「あっ!アポロン、けが大丈夫!?」
 アポロン「心配するな、これぐらい1日ぐらいすればすぐ治る。」
いつの間にか体中に刺さっていた針は消えていた。
 ソラ「よかった・・・・・。」
本当によかった・・・アポロンが死んじゃうじゃないかと思ったから・・・・
 アポロン「それより福原はどうなっている?」
 ソラ「あっ、そういえば!」
また不安になりながらも福原さんの顔を見る。
福原さんはまだうかない顔をしていたけど、さっきまでの怒りに満ちた感情はなくなって、目には少し希望が映っているような感じがする。
 ソラ「よかった、もう大丈夫そう・・・・。」
 アポロン「うむ、しかし先ほど福原はすることがあると言っていたが・・・」
 ソラ「うん、なんだろう・・・・」
 「ガチャリ、パタン」
入り口のドアが開く音がした、誰だろう?
福原さんはタバコを吸うのをやめて席を立った。
 ソラ「誰か呼んだのかな。」
「コンコン」とドアがノックされた。
 「福原、入るぞ。」
 福原「はい。」
・・・・これは・・・ルミがここに来たがっていた理由がわかった気がした。
そこにはまるでカリスマ美容師のような、足の長い、大変多くの女性に愛されてそうな男の人が入ってきた。
年齢は・・・・・ちょっとわかりそうにない・・・
 福原「わざわざ呼んだりしてすみません、店長。」
ソラ「店長!?」
 アポロン「なるほど・・・・。」
いや、ちょっと待って、下手すれば福原さんよりも若そうなこのカリスマ系美形男性が店長!?
いやいや、そんなことは問題じゃない、福原さんがなんで店長を?
 店長「いや・・・、それより話があるんだろ?」
 福原「店長・・・、考え直してはくれないんですか・・・・?」
 店長「・・・考えを変えるつもりはない。」
 福原「じゃあ!せめて理由を教えてください!宝石店と店を共有しなくちゃならない理由を!」
 店長「・・・・お前に余計な心配はかけたくない・・・・・・・・・・」
店長さんはそれっきり黙ってしまった。
 ソラ「あ~!もう見てられない!!」
 アポロン「!?」
私は一度部屋を出て、腕輪をはずしてからまた部屋に入った。
 ソラ「店長さん!!」
 福原「なっ、さっきのお客さん!?」
 ソラ「なんで黙っているんですか!?福原さんすっごく悩んでいたんですよ!どうして理由を教えてくれないのかって!あなたはずっと福原さんを苦しめていたんです!」
言った、言ってやった、思っていたこと全部言った。
私は耐えられなかった。
店長さんが訳を話さなかったせいで福原さんは不安になって、不安が不満に変わって、それがとうとう怒りに変わって・・・・そしてダークマインドにとりつかれてしまって・・・・・・だから私は黙っていられなかった。
 店長「・・・福原、そうだったのか・・・・?」
 福原「・・・・・・・・」
 店長「・・・ごめんな福原、俺が黙っていることで逆に心配をかけてしまった・・・・・わかった、全部話すよ。」
 福原「・・・店長・・・・・・!」
 店長「おじょうさん、お名前はなんていうんだい?」
 ソラ「えっ?そ・・空・・・です。」
 店長「ソラちゃんか・・・・ありがとう、きみが叱ってくれなかったら俺は福原を苦しめたままだったかもしれない。」
店長さんが私の頭をなでる、なんか照れちゃうな。
 福原「ソラちゃん、僕からも礼を言うよ、本当になんとかしてくれるなんて思わなかった、さっきは怒鳴ってごめん・・・。」
福原さんは初めて笑顔を見せてくれた。
 店長「・・・さて、悪いけどソラちゃんは席をはずしてくれるかな?これから福原と話をしなくちゃいけないんだ。」
 ソラ「あっ、はい!ごめんなさい、いろいろ騒がせちゃって。」
 店長「いやいや、君には感謝しているよ、よかったらまた来てくれ、君に似合いそうな服を山ほど用意しておくよ。」
 ソラ「はい!今度は友達も連れてきます。」
私はそう言って一礼をし、お店を出て行った。
 ソラ「やった~!私の初仕事大成功だね、アポロン!」
 アポロン「まったく・・・おぬしにはかなわんな。」
 ソラ「あっ、やばい、時間!」
携帯をとりだして時間を確認すると門限をとっくに過ぎた6時5分だった。
 ソラ「あ~、お母さん心配してるかも、メールしとこ。」
私はお母さんに無事仕事を終えたこと、今から帰ることを告げた。
 ソラ「さっ、帰ろ、アポロン。」
 アポロン「うむ、そうだな。」
私は腕輪をつけて天使の姿になった(飛んだほうが速いから)。
帰る途中の空、聞き覚えのある声がした。
 「よお、おチビさん、また会ったな。」
 ソラ「あ~っ!昨日の悪魔!」
そう、あのむかつく悪魔にまた会ってしまったのだ。
 アポロン「ソラ、こやつと会ったことがあるのか?おぬし、いつの間に悪魔と知り合いになったのだ?」
ソラ(やばっ!やっぱり悪魔に会ったことがあるなんてマズイのかも!?なんてったって悪魔と天使っていったらまるっきり反対の立場でしょ!?)
アポロン「どうした?ソラ。」
アポロンの目が私をにらみつけているように見える。
ソラ(どどどどうしよう・・・!?!?)
 アポロン「ソラ?いつ会ったのだ?」
もっ・・・・もうだめかも・・・・・・・・・

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