第10章 「人間の心」
真理「そろそろ時間ね・・・・・」
めずらしく真理は朝は家に居て空の見送りまでした。
今日、仕事は休みらしいが代わりに天界で会議があるらしい。
12時半ごろ彼女は天使の姿になり天界へと向かった。
城の会議室ではもうすでに20人ほどの天使が席に着いていた。
皆、今回の会議で何の話をするのか聞かされていないようだ。
もちろん真理も聞かされていない。
席に着くと真っ先にキリが話しかけてきた。
キリ「マリー、あなたも女神様からは何も?」
真理「ええ、あなたと同じように昨日の夜、突然連絡がきました。」
キリ「そうですか、やはりあのことでしょうか。」
真理「そうかもしれませんね、皆が感じていることですし、こうやって臨時に会議を開くということは、それが深刻な問題になっているということです。」
キリ「何か悪いことの前触れでなければいいのですが・・・・・」
真理も心配であった。
昔、まだ天使と悪魔が相容れぬ存在同士であった時。
そう300年もの前、天使と悪魔は互いに意味嫌い合い、争っていた。
しかし、その状況を変えたのが現在の女神、そして悪魔たちの長、魔皇である。
天使や悪魔といった生き物は長寿であり、500年以上は生きる。
そしてある程度年をとったらそれ以降、不老になる。
よって300年経った今現在も彼等が天使や悪魔達をまとめている。
真理はまだそのころは生まれていなかった。
今年で100いくつかになるがまだ若いほうである。
しかしマリーよりも年が上なのは女神を含め10人ぐらいしかいない。
最近まで平和だったので人間として暮らす者が多くなってきたのだ。
もちろん人間として暮らす天使や悪魔は寿命が100年前後しかなくなる。
天使や悪魔が長寿だといっても人間の姿であれば、交通事故に遭っても死なないというわけではない。
だから寿命で天使や悪魔が死ぬということはめったにない。
500年間なんの事故にも遭わないなんていう幸運な人はあまりいないということだ。
ただし女神や魔皇などという特別に能力が高い者はたいてい人間の姿では暮らしていないので、交通事故に遭うことはありえない。
それなら皆人間の姿にならずに暮らせばいいと思うかもしれないが、14年間ずっと人間として暮らしてきた者がその暮らしを捨てるなんて簡単にはできないことだ。
途中で天使をやめてしまい、人間としての暮らしを選ぶ者もいるくらいである。
話は戻るが、200年ほど前はダークマインドの数が多すぎた。
だからそれを排除しようとして返り討ちに遭った者がたくさんいた。
ダークマインドは普通人間の悪い感情から生まれる。
精霊界から人間界に来て人間の悪い感情を食料としていくうちに、ダークマインドとされる精霊もいるが、たいていは人間の感情から生まれる。
200年前は急激に数が増えた。
その原因は1人の強い能力を持った1人の男の天使が人工的(と言うのも変だが)にダークマインドを創り出し、人間に次々に取りつかせていたのだ。
当然その天使は当時の女神によって処刑される。
彼には妻と子供がいたが、夫がダークマインドを創り出していたという事実に耐えられず、妻は子供と心中してしまった。
そのことは真理もキリも知っていた。
だから2人は心配なのである。
200年前のようなことが繰り返されるのではないのか、と。
部屋から話し声が途絶える、女神が来たようだ。
女神は真剣な表情で席に座る。
皆、姿勢を正し、息を呑む。
女神「皆さんそろったようですね、それでは会議を始めます。」
部屋には女神の声だけが響き渡る。
女神「皆さん気付いているかもしれませんが、最近ダークマインドの数が増えてきています、そして調べによると人口的に、つまり何者かが創り出した可能性が高いことがわかりました。」
部屋が一斉にざわめき始めた。
200年前と同じ、創り出した者がいる。
女神「落ち着いてください、このことに関してですが、ダークマインドを創り出すことができるということはかなり強い能力を持った者がいるということです、不審な人物を見つけたら捕まえようなどとはせず、私に伝えてもらいたい。」
「犯罪者をみかけても放っておけと?」
男の天使が問いかける。
そう、ダークマインドを創ることは犯罪である。
女神「そうです、絶対に手は出さないでください、ダイ。」
ダイと呼ばれた男の天使は言葉を続ける。
ダイ「女神様、私は腕に自身があります。」
女神「駄目です、そんなことは許しません、たしかにあなたは強い、今までも多くのダークマインドを排除してきた。」
ダイ「だったら・・・」
女神「しかし危険すぎるのです、あなたが思っているよりもはるかに強大な力を持った者です、へたをすれば私や魔皇よりも強い力を持っています、あなたに命を捨てるようなまねをしてほしくない。」
ダイ「・・・・・・わかりました・・・でも私はあきらめません。」
女神「ダイ!!」
ダイ「いつかあなたにこのことを頼まれるくらい強くなりますよ。」
そう言ってダイという男は部屋を出て行った。
女神「・・・・話を続けます、これからは皆さん忙しくなるかもしれません、悪魔たちのほうでも次期魔皇候補と言われる者がいますがまだ子供です、我々がしっかりしなくてはなりません、くれぐれも注意をしながら今までのようにダークマインドを排除していってください、これで会議を終わります。」
会議が終わったあとはそのまま仕事に行く者もいれば、部屋の中に残り、立ち話をする者もいた。
真理は女神に話しがある、と手招きされ、彼女の部屋に呼ばれた。
真理「なんでしょうか、話とは?」
女神に出された抹茶を一口飲んでから言う。
あいかわらず和風の部屋である。
女神「ええ、娘さんの・・・ソラちゃんのことなんだけれど・・・」
これだけで真理には何のことなのかはっきりとわかった。
真理「大丈夫ですよ、できるだけ危険なことはさせません、それに、ソラは自分でこの仕事をすると言ったんです、やめろと言っても聞きませんよ。」
女神「でも・・・・人手不足だからって・・・・・」
真理「ソラは!・・・・・私が命をかけて守ります・・・・・・・」
真理の青い瞳には、もうだれも失いたくない、自分が守り抜いてみせるという強い意志があり、同じく親としての愛情が女神には感じとられた。
女神「・・・わかりました、できるだけ早くこの問題を解決し、娘さんに明るい未来を贈りたい、そう思います。」
真理「・・・・ありがとうございます。」
2人の瞳には同じ思いがあった。
それはどこまでも真っすぐで、けっして折れることのない強い意志。
1つの命を守りたいという人間の感情が2人には確かにあった。
真理「そろそろ時間ね・・・・・」
めずらしく真理は朝は家に居て空の見送りまでした。
今日、仕事は休みらしいが代わりに天界で会議があるらしい。
12時半ごろ彼女は天使の姿になり天界へと向かった。
城の会議室ではもうすでに20人ほどの天使が席に着いていた。
皆、今回の会議で何の話をするのか聞かされていないようだ。
もちろん真理も聞かされていない。
席に着くと真っ先にキリが話しかけてきた。
キリ「マリー、あなたも女神様からは何も?」
真理「ええ、あなたと同じように昨日の夜、突然連絡がきました。」
キリ「そうですか、やはりあのことでしょうか。」
真理「そうかもしれませんね、皆が感じていることですし、こうやって臨時に会議を開くということは、それが深刻な問題になっているということです。」
キリ「何か悪いことの前触れでなければいいのですが・・・・・」
真理も心配であった。
昔、まだ天使と悪魔が相容れぬ存在同士であった時。
そう300年もの前、天使と悪魔は互いに意味嫌い合い、争っていた。
しかし、その状況を変えたのが現在の女神、そして悪魔たちの長、魔皇である。
天使や悪魔といった生き物は長寿であり、500年以上は生きる。
そしてある程度年をとったらそれ以降、不老になる。
よって300年経った今現在も彼等が天使や悪魔達をまとめている。
真理はまだそのころは生まれていなかった。
今年で100いくつかになるがまだ若いほうである。
しかしマリーよりも年が上なのは女神を含め10人ぐらいしかいない。
最近まで平和だったので人間として暮らす者が多くなってきたのだ。
もちろん人間として暮らす天使や悪魔は寿命が100年前後しかなくなる。
天使や悪魔が長寿だといっても人間の姿であれば、交通事故に遭っても死なないというわけではない。
だから寿命で天使や悪魔が死ぬということはめったにない。
500年間なんの事故にも遭わないなんていう幸運な人はあまりいないということだ。
ただし女神や魔皇などという特別に能力が高い者はたいてい人間の姿では暮らしていないので、交通事故に遭うことはありえない。
それなら皆人間の姿にならずに暮らせばいいと思うかもしれないが、14年間ずっと人間として暮らしてきた者がその暮らしを捨てるなんて簡単にはできないことだ。
途中で天使をやめてしまい、人間としての暮らしを選ぶ者もいるくらいである。
話は戻るが、200年ほど前はダークマインドの数が多すぎた。
だからそれを排除しようとして返り討ちに遭った者がたくさんいた。
ダークマインドは普通人間の悪い感情から生まれる。
精霊界から人間界に来て人間の悪い感情を食料としていくうちに、ダークマインドとされる精霊もいるが、たいていは人間の感情から生まれる。
200年前は急激に数が増えた。
その原因は1人の強い能力を持った1人の男の天使が人工的(と言うのも変だが)にダークマインドを創り出し、人間に次々に取りつかせていたのだ。
当然その天使は当時の女神によって処刑される。
彼には妻と子供がいたが、夫がダークマインドを創り出していたという事実に耐えられず、妻は子供と心中してしまった。
そのことは真理もキリも知っていた。
だから2人は心配なのである。
200年前のようなことが繰り返されるのではないのか、と。
部屋から話し声が途絶える、女神が来たようだ。
女神は真剣な表情で席に座る。
皆、姿勢を正し、息を呑む。
女神「皆さんそろったようですね、それでは会議を始めます。」
部屋には女神の声だけが響き渡る。
女神「皆さん気付いているかもしれませんが、最近ダークマインドの数が増えてきています、そして調べによると人口的に、つまり何者かが創り出した可能性が高いことがわかりました。」
部屋が一斉にざわめき始めた。
200年前と同じ、創り出した者がいる。
女神「落ち着いてください、このことに関してですが、ダークマインドを創り出すことができるということはかなり強い能力を持った者がいるということです、不審な人物を見つけたら捕まえようなどとはせず、私に伝えてもらいたい。」
「犯罪者をみかけても放っておけと?」
男の天使が問いかける。
そう、ダークマインドを創ることは犯罪である。
女神「そうです、絶対に手は出さないでください、ダイ。」
ダイと呼ばれた男の天使は言葉を続ける。
ダイ「女神様、私は腕に自身があります。」
女神「駄目です、そんなことは許しません、たしかにあなたは強い、今までも多くのダークマインドを排除してきた。」
ダイ「だったら・・・」
女神「しかし危険すぎるのです、あなたが思っているよりもはるかに強大な力を持った者です、へたをすれば私や魔皇よりも強い力を持っています、あなたに命を捨てるようなまねをしてほしくない。」
ダイ「・・・・・・わかりました・・・でも私はあきらめません。」
女神「ダイ!!」
ダイ「いつかあなたにこのことを頼まれるくらい強くなりますよ。」
そう言ってダイという男は部屋を出て行った。
女神「・・・・話を続けます、これからは皆さん忙しくなるかもしれません、悪魔たちのほうでも次期魔皇候補と言われる者がいますがまだ子供です、我々がしっかりしなくてはなりません、くれぐれも注意をしながら今までのようにダークマインドを排除していってください、これで会議を終わります。」
会議が終わったあとはそのまま仕事に行く者もいれば、部屋の中に残り、立ち話をする者もいた。
真理は女神に話しがある、と手招きされ、彼女の部屋に呼ばれた。
真理「なんでしょうか、話とは?」
女神に出された抹茶を一口飲んでから言う。
あいかわらず和風の部屋である。
女神「ええ、娘さんの・・・ソラちゃんのことなんだけれど・・・」
これだけで真理には何のことなのかはっきりとわかった。
真理「大丈夫ですよ、できるだけ危険なことはさせません、それに、ソラは自分でこの仕事をすると言ったんです、やめろと言っても聞きませんよ。」
女神「でも・・・・人手不足だからって・・・・・」
真理「ソラは!・・・・・私が命をかけて守ります・・・・・・・」
真理の青い瞳には、もうだれも失いたくない、自分が守り抜いてみせるという強い意志があり、同じく親としての愛情が女神には感じとられた。
女神「・・・わかりました、できるだけ早くこの問題を解決し、娘さんに明るい未来を贈りたい、そう思います。」
真理「・・・・ありがとうございます。」
2人の瞳には同じ思いがあった。
それはどこまでも真っすぐで、けっして折れることのない強い意志。
1つの命を守りたいという人間の感情が2人には確かにあった。
いつも楽しみに待っています♪
どんどん寒くなってきますが、暖かくして頑張って下さい(^^)/
読んでいただけてうれしいです。
まだまだ続きますので、これからもよろしくお願いします