Hyperionからアンジェラ・ヒューイットのDVD「バッハ・パフォーマンス・オン・ザ・ピアノ」(DVDA 68001)が出たので、早速取り寄せてチビチビと見てみました。以前まで、バッハのピアノ演奏はグールドが一番と、洗脳されていたのですが、最近、ヒューイットによるバッハ作品を聞き続けていると、グールドより魅力的では、と感じてきていた所でしたので、私にとっては非常にタイムリーこのDVDが発売されたので、すぐに取り寄せてみました。
DISC1でのレクチャーを聴いて、ヒューイットの魅力が何処から来ていたのかが、理論的に手に取るように解り、“なるほど”といった感じです。専門的な用語も多く、十分に理解出来ないところもあるのですが、非常に勉強になります。このレクチャーの中で、“バッハのピアノ演奏をノンレガートに音を切って演奏するのであれば、チェンバロで弾けばいいのであって、ピアノはチェンバロより豊かな表現が可能な楽器であり、そのような演奏法に拘らず、各声部が聴き手によく聞き取れるような工夫が必要である....”との趣旨の発言があり、グールドの演奏に対する批判とも取れなくはないところがあり、特に印象に残りました。
イタリア協奏曲の演奏を、ヒューイットとグールドで聴き比べると違いが良く分かるように思います。グールドの演奏はもちろん神業的で最高ですが、ヒューイットの演奏の方が不思議に魅力的に感じます。特に第2楽章(緩徐楽章)を飽きささずに魅力的に弾くにはかなりの技術を要するのではと思われますが、ヒューイットの演奏は今までのピアノによる演奏の中では最高と思います。この2人の演奏の違いが、このDVDを見て少しは解ったように思います。