★ 宮崎正弘先生、怒涛の更新です。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)6月4日(木曜日)
通算第4563号 <前日発行>
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中国の潜水艦は、コロンボに二回寄港していた
イランとパキスタンも中国の潜水艦寄港基地化の懸念
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昨秋、習近平がスリランカ訪問のおり、タイミングを合わせて中国海軍潜水艦がコロンボに寄港した。
これは想定外の事件で、とくにインドを驚かせた。スリランカの反インド感情を梃子に、中国はコロンボ寄港を「定期的な活動の一環」と言いつくろった。
コロンボ港には中国企業が管理するコンテナ・ターミナルがあり、乗組員の休憩ならびに艦船の補給、修理ができる。
潜水艦乗組員らは、ここで休憩後、エデン湾へ向かったが、帰路もコロンボに寄港したことが判明した。
従来、パキスタンのグアダール港へ寄港すると見られていたため、インドはたいそう驚き、目の前の中国の進出を脅威視した。
もっとも中国の原潜がインド洋にあらわれたのは初めてではなく2013年からインド海軍によって確認されている。インドが驚いたのはコロンボ寄港で、インドの脇腹をつく位置にあるスリランカの敵対行為と認識したからである。
2015年、ラジャパスカ前大統領の落選という番狂わせで、スリランカ新政権は中国が主導したコロンボ沖の人口島開発を中断するとした。
ところが、セリナス新大統領は「中止ではなくあくまで中断である」と意味不明の言辞に終始し、再開の可能性を示唆している。
ヒマラヤ山麓の二ケ所で中国と国境紛争をつづけるインドだから、軍事関係者は「陸ばかりか、海からもインドへ挑発をはじめるのか」と警戒を深めた。
同時にインドのマスコミはスリランカへの疑心暗鬼が広がった。
インドのメディアはプライムタイムを潰して連日、こうした中国の軍事的な脅威を特集し、中国を批判した。
▼パキスタンは潜水艦をフランスから、イランは露西亜から
慌てた中国は外交部スポークスマンが「あくまで通常の訪問に過ぎない」とし、また「スリランカ政府の承認を得た、海賊退治の途中の寄港である」と言い訳に終始した(3月2日外交部)。
他方、パキスタンは中国海軍からミサイル巡洋艦などの技術提供をうけているうえ、共同の軍事演習をアラビア海で展開してきた。
中国は「漢」級潜水艦を九隻、パキスタンに供与する手はずだったが、パキスタンはフランスから「アゴスタ 90B」といわれる三隻の潜水艦を購入し、中国製を忌避している。
理由は「漢」級潜水艦は雑音が激しく、質が悪すぎるからという。
イランはキロ級潜水艦を三隻、ロシアから購入し、潜水艦基地も建設しているところから、中国の潜水艦寄港には前向きである。
かくしてインド洋ですら、マラッカ海峡を越えて海賊退治を名目とする中国海軍の跳梁跋扈激しく、スリランカ、イラン、パキスタンと共同行為をとったばあい、インドの海洋の安全は根底から脅かされることになるのである。
★ チャイナの無法さ、それに対して世界はどのように反応しているか。
「海賊退治」の名目まで利用してこのありさま、チャイナには国際的信用はとっくにない。
宮崎正弘氏の続報を待つ。