弦楽器の弓の毛は消耗品である。感覚的な話で申し訳ないが、筆者の感触では200から300時間が限度で交換にいたるように思う。
昔は、地方に住んでいたら毛替えも不自由していたが、今は宅配便で気軽に送ったり受け取ったりできるので、良い世の中になったものだ。
さて、
本来の文脈では「今は地方でも毛替えできるところが増え・・・」と書きたいところである。
これが、そうではないところが悲しい。
弓の毛は、弓先にクサビのようなもので打ち込んである。これは摩擦で止まっているのだから、実は結構技術がいる。毛を替えたばかりなのに、毛が数本とれてしまうようなことが時々あるかもしれないが、それはこの事情に関係している。
数本に留まっていれば問題はない。これが次から次にバラバラと、ということもあるらしい。これは、はっきり言って「へたくそ」の仕業である。その店には二度と行ってはならない。
毛が抜けないから、この人は上手なんだ、と思うのも早計。技術のない人は接着剤を使っている。これが一回の毛替えで済めば大した問題ではない。しかし、次の毛替えの時、接着剤を削り取らなければならない。その時、どうしても本体も一緒に削ってしまうことになる。弓職人さんは必ず尋ねるに違いない。
前回はどこに出されましたか?
それに正直に答えても答えなくても良い。ただ、関係ない職人さんの名前をとっさに言うのだけはNG。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます