都内散歩 散歩と写真 

散歩で訪れた公園の花、社寺、史跡の写真と記録。
時には庭の花の写真、時にはテーマパークの写真。

『幸・不幸の分かれ道』

2013-01-25 08:15:25 | 読書
『幸・不幸の分かれ道』 著者:土屋健二 出版社:東京書籍

目次の引用
第1章 人間は考えるのが苦手
哲学は幸福と無関係ではない/哲学は疑う/先入観/人は簡単にいダマされる/インチキな議論/根拠のない先入観「若いうちにしかできない」/安楽/仕事がなくなれば幸せ?/娯楽に価値がある/考え方が幸不幸の分かれ目になる

第2章 どうやって主張するか
1.発言者の権威
発言者と発言内容/媒体や肩書の権威
2.自然が権威
自然によって善悪が決まるか/動物を愛護する理由/「自然」を根拠にした議論/f「自然」本来とはなにか?
3.「人間だけができることだから」
4.似たもの同士と似てないもの同士
似たもの同士の類推/似てないもの同士の類推/もっと迷惑な場合/歴史や外国に学ぶべきか/個人御比較/反撃法
第3章 どうやって意見の違いを調整するか
1.相対主義
なぜ人を殺してはいけないか/価値観が一致していない場合/相手の価値観は批判できないか/価値観をもつとはどういうことか
2.意見の違い
少数意見の力/国民の声/専門家/自分の判断に自信をもてるか?
3.良識なるもの
経済/教育
第4章 どうやって生きるか
1.能力
能力は人間の一側面/能力ある人は幸福か?
2.目的を追求する生き方
二種類の行動/役に立たないものの価値/目的を追求すれば幸福か/無駄/退屈/暇の重要性
3.欲求と感情
欲求を知るのは難しい/欲求を満たすべきか/現代とは正反対の考え方/尊敬される人の条件/中庸のススメ/男の教育
第5章 どうやって笑うか
一面性/都合のいい描写/一面的人生観/一面的なものの見方になるとき/慰め方/ユーモアのセンス/不幸をやわらげるユーモア/笑いの意味/イギリス的ユーモア/ユーモア精神を身に着ける方法/価値観が揺らぐ経験/欠点を認めるとラクになる/最高レベルのユーモア
都合のいい描写 ほか)

抜粋
”目的を追求すれば幸福か”の見出しの中から
p124「ちゃんと食べていけて、生活していける状態になったら、それ以上、目的を設定する必要はありません。ちゃんと暮らしていけるのに、隣の家よりも収入が多くならなきゃいけないとか、いまの二倍稼ぐという目標を掲げたりする人は、それが楽しいのかもしれないけど、そういう目的をことさらに立てて視野を狭める必要はないと思うんです。
閉塞感というのは「目的を立てななきゃいけないんだけれども目的が分からない」という心理状態ですよね。そんなことよりも、目的なしで生きていくように人間を意識改革することも考えた方がいいんじゃないかと思うんです。
目的を立てているあいだは、人間は幸福とは言えません。目的を達成していないんですからね。目的を達成できなかったとなると不幸です。目的を達成できても、また次の目的が見当たらなくて、閉塞感に襲われるかもしれないんですから、どっちにしても目的を追求する人生は幸福とは言えません。」

”尊敬される人の条件”の見出しの中から
P141「どのような人が尊敬されるのかを考えてみると、今も昔も、自分を大事にする人はだいたい軽蔑されるのではないかと思います。臆病な人とか、狭量な人とか、自己中心的な人やケチな人は嫌われますが、そういう人はたちに共通しているのは、自分を他人より大事にするという態度です。
逆に、尊敬される人は、自分にこだわらない、自分を大事にしないような人だと思います。勇気がある人は、自分の命を危険にさらす人です。気前が良かったり、太っ腹だったりするのも自分の利益を大事にしない人です。自分を大事にして、自分の健康に気を使いすぎる人も尊敬できません。
結局、どこで尊敬できるかできないかが決まるかというと、自分を大事にするかしないかだとぼくには思えます。「自分を大事にする」というときの「自分」というのは結局、自分の感情や欲望です。・・・・感情や欲望を優先するか抑えるかという違いが尊敬されるかどうかの分かれ目になっていると思います。」

”中庸のススメ”の見出しからの引用
p142「アリストテレスは、尊敬される立派な人間の性質を分析して、「中庸」かどうかが立派かどうかを決めると主張しました。中庸というのは「中間」、「適度」ということです。・・・・過度でも不足でもなく、ちょうどいいくらい・・・。
節制も中庸の一種です。・・・必要な欲求を必要な程度に持っているというのが節制です。節制といても、完全に欲望がなくなるということではなくて、適度な欲をもっているということなんです。
気前がいいというのも中庸です。・・・御前がいい人は、適度の金銭欲をもつ人です。親切というのも同じです。・・・過度でも不足でもない、自分を大切にする適度の欲望をもっている人が親切な人です。
このように、欲望とか、恐怖や喜怒哀楽といった感情を適度にもつことが、人間が立派であるための条件だとアリストテレスは分析しました。」
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