私は恋を、してしまった。
この年齢になって、ここまで深く恋の沼にはまってしまうとは。
あなたは自称、風来坊。突然どこかへ消えてしまうの?と聞いたら、笑いながら言ってくれました。
「100年後も一緒にいましょう」
それって本気なの。冗談なの。
忘れもしない去年の4月30日、平成最後の日。あの人と初めて顔を合わせるために、私は丸の内のM美術館の入り口に佇んでおりました。
不器用な彼は少し遅れてやって来ました。私のイヤホンの小さな穴から、フレディ- マーキュリーの高らかな歌声が鳴り響いていました。
会った瞬間、私のメスとしての身体感覚が、心の中で彼の姿に「いいね」をしていました。
あれから一年。
私のいとしい人は、一言で言えば、深遠。深くて穏やか、そして時々、愉快。
その人には独自の暦があり、カレンダーの日付など単なる数字でしかありません。
それでもいい。私はこの大切な日を、不思議な出会いに感謝して、心の中で祝おうと思います。