【般若心経その11】
=== 別の本の意味と解説その2 ===
*****(3)
① 舎利子 しゃりし
② 是諸法空相 ぜしょほうくうそう
③ 不生不滅 不垢不浄 不増不減 ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん
【意味】
① シャーリープトラよ、
② (ここにおいて)存在するものは、全て空性を特徴として、
③ 生じたというものでなく 滅したというものでなく
汚れたものでなく 汚れを離れたものでなく
足りなくなることもなく 満たされることもない
【解説】
・「法」は仏教では大変重要な言葉で、サンスクリット語では
「ダルマ」と言う。「法」には多様の意味があり、漢訳が
示す「法則」や「規範」の他に、「正義、善、教え、性質」など
幅広い意味がある。
・「法」の原意は「保持されるもの」で、インドの哲学用語では
「存在するもの」を意味する。
・釈迦は「この世にあるすべてのものは移りゆく」と見抜いた。
これを「諸行無常」と言う。「存在するものは全て空性を
特徴としているので、生じたり滅したりすると見えるのは
錯覚であると言っている。
・1階は「自己が確立されていない幼児のフロア」、
2階は「自己は確立するが執着で苦しい大人のフロア」、
3階は「自己は五蘊にしか過ぎないと考える舎利子のフロア」、
4階は「五蘊(自己)は空であるとする観自在菩薩のフロア」と
すると、②の是(ここ)は4階のことを言っている。
・4階から3階を眺めると、五蘊は空なので、「不生不滅
不垢不浄 不増不減」に見えるということである。
*****(4)
① 是故空中無色 ぜこくうちゅうむしき
② 無受想行識 むじゅそうぎょうしき
③ 無眼耳鼻舌身意 むげんにびぜつしんい
④ 無色声香味触法 むしきしょうこうみそくほう
⑤ 無眼界乃至無意識界 むげんかいないしむいしきかい
【意味】
① この故に、空性においては色なく
② 受なく、想なく、行なく、識もない
③ 眼耳鼻舌身意もない
④ 色声香味触法もない
⑤ 眼界から意識界に至るまで悉くない
【解説】
・この箇所は、舎利子への3回目の呼びかけである。
・(2)の「色即是空」と(3)の「諸法空相」をさらに突き詰めて
語っている。そのため、ここでは「無」という文字が続く。
・262文字の般若心経中、「無」は21個。
・(3)の解説の4階では「五蘊は自分ではない」。よって、
4階から見ると、色受想行識は全て無いことになる。
・同様に、六根の眼耳鼻舌身意も、六機の色声香味触法も
六識の眼識・耳識・鼻識・舌識・身識/意識も全て
無いことになる。
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(その12に続く)