【般若心経その5】
***訳と解説その1****
では、今回から訳と解説を示します。
*****(1)
観自在菩薩 かんじざいぼさつ
行深般若波羅蜜多時 ぎょうじんはんにゃはらみたじ
照見五蘊皆空 しょうけんごうんかいくう
度一切苦厄 どいっさいくやく
【訳】
聖なる観自在菩薩が、深遠な般若波羅蜜多(智慧の
完成)の行を行じながら観察なさった。
五蘊があり、そしてそれらの本質が空であると
見たのである。
そして一切の苦しみや厄いを超えたのである。
【解説】
・観自在菩薩は観音様のことである
・観音様は、菩薩の一尊
・釈迦が考え出した「五蘊」(=色、受、想、 行、敷)を
「実体のないもの」(空、くう)だと主張している。
(釈迦の考えを否定している)
*****(2)
舎利子 しゃりし
色不異空 空不異色 しきふいくう くうふいしき
色即是空 空即是色 しきそくぜくう くうそくぜしき
受想行識 亦復如是 じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ
【訳】
舎利子よ、
「物質要素」(色)は「実体がないという状態」(空性)と
別ものではなく、「実体がないという状態」は
「物質要素」とは別ものではない。
「物質要素」(色)が「実体がないという状態」(空性)なのであり、
「実体がないという状態」が「物質要素」なのである。
[五蘊のその他の要素である]「感受作用」(受)、
「構想作用」(想)、「意思作用およびその他の
様々な心の作用」(行)、「認識作用」(識)についても、
「物質要素」(色) と全く同じことが言える。
【解説】
・五蘊の「色、受、想、行、識」は全て「空」と
同じだと言っている。
・「色」は五根(眼耳鼻舌身)と五境(色声香味触)の
全てを意味する。
*****(3)
舎利子 しゃりし
是諸法空相 ぜしょほうくうそう
不生不滅 不垢不浄 不増不減 ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん
【訳】
舎利子よ、
この世のすべての基本的存在要素(法)の特性は、
「実体がないという状態」である。
それらは起こってくることもなく、消滅することもない。
汚れることもなく、清らかになることもない。
減ることもなく、一杯になることもない。
【解説】
・「意」(六根の一つ)によって認識される
「法」(六境の一つ)には実体がないと言っている。
・実体がないので、それらが生まれたり消えたり、
汚れたりきれいになったり、増えたり減ったり
している(ようにみえる)のも、すべて錯覚である。
・「意(心)」によって思い浮かべられるものが
「法」である。(例えば、昨日の出来事を
思い出すとか)
*****
(その7に続く)
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