噺のわかる人。since 2005

主に映画情報、時々ラルク&HYDE情報をお届けします。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」初日感想【ネタバレなし】

2019年12月20日 | 映画感想文
ネタバレは一週間後くらいにまたアップします。言いたいことは全部そこで。ただ全く触れないというわけではありませんので、真っ白な状態で観たいという方はぜひ本編を劇場で観てから閲覧お願いします。

_____________________________________

ライアン・ジョンソン監督・脚本による「最後のジェダイ」で好き放題やらかして再びJJエイブラムスにバトンを渡した今作。2作目にばらまかれた伏線やつながりを3作目で回収しつつ、完結までもっていかなければいけないプレッシャーの中、見事完結させることはできていました。

2作目で大ブーイングを食らったローズの登場とフィンとの恋愛伏線はものの見事にJJに無視されていましたが、それどころではないってことでしょう。しかも勝手にローズとの恋愛伏線をライアンが勝手に描いてしまったから、今作に登場するフィンと同じ境遇の女性新キャラと恋愛に発展させることができなくなり、足を引っ張ったなと。あそこは絶対恋愛にもっていけたらローズなんかより全然自然だったし、お似合いだと思いました。

2作目で残した大きな伏線…レイの両親とレイの出生問題、カイロ・レンのダークサイド問題、レイア(女優が死んでしまったのでどうする問題)、レジスタンスの壊滅的減少問題はさすがJJというべきか、職人芸でキレイに補正&回収していました。

ただ、レンとのバトルで壊れたライトセーバーがキレイに元通りになっていたのはファンとしてどうかな?と。「ジェダイの帰還」みたいにそれをきっかけにレイが自分のライトセーバーを使ってほしかった。ただ、それはラストを観ていただければ…。ただなぜラストに??ってはてなマークが浮かびました。

そして、今作公開前から皇帝パルパティーンの復活が公式に発表されましたが、全9部作を一本の線でつなぎ、完結させるにはやはり皇帝の復活に頼らざるを得なかったのでしょう。だって、「最後のジェダイ」で新シスのスノークがあっさり退場し、敵がいなくなってしまったから。

カイロ・レンはエピソード8でダースベイダーみたく圧倒的に強い姿を見せていたら3部作を引っ張るくらいのヴィランとして見れたのでしょうけど、「フォースの覚醒」でフォースのいろはも知らない、剣技の基礎も知らないレイとほぼほぼ互角勝負で、しかも若干圧され気味になって傷を負って退却っていう無様な姿を描いてしまったので、カイロ・レン=弱いってイメージがずっと払拭できなかったです。なので、今作でレイとレンがライトセーバーバトルをするのですが、全然ハラハラしなかったです。しかもディズニー買収後の作品は人体切断などのシーンは禁止されているため、余計にライトセーバーで切られたら…っていう恐怖が伝わってこなくなりました。スカイウォーカーの血筋は腕が切断されているのですが、レンは切り落とされることもなく、本当に安全が約束されたスポーツチャンバラを見せられているような感覚です。エピソード1~エピソード3のようなどちらが勝つのかハラハラするバトルシーンを描けなかったのは新三部作の失敗の一つですね。

失敗といえば、新三部作には魅力的なヴィランを作れなかったことですね。なんと言ってもエピソード4~6のダースベイダーと皇帝は言うまでもなく、エピソード1のダース・モールやエピソード3のグリーヴァス将軍はたった1作しか登場していないのに存在感とかっこよさがずっと残っていて、今でも好きです。ドゥークー伯爵はいまいちでしたが、圧倒的強さをエピソード2で見せて、エピソード3で成長したアナキンに負かされる流れは個人的大好きです。今作で結局、人気キャラの皇帝に頼らざるを得なかったのは残念です。

さらにもう一つ失敗を挙げるなら、ルーカスの手から離れて「フォース」の定義が曖昧になってしまったため、ライアン・ジョンソンがフォース=何でもできる魔法に改悪してしまったので、フォースがあれば不都合な状況を何でも解決できてしまうようになってしまったことです。ルークが自分の分身をはるか遠くの惑星に飛ばせたり、レンとレイがはるか遠くにいるのにテレパシーで会話できたり、実際にその場にいないのにモノを触れたりできたり、そして今作では傷を癒やすことができます。もはや回復魔法ですよ。この設定の崩壊により、結局「フォース使えばすべて解決できるじゃん」っていう思うようになり、冷めてしまうんですよね。

あと、失敗かどうかは別にとして、個人的に残念だなと思うことは新三部作のうちエピソード7と8を初の地続きの(エピソード7の直後にエピソード8が始まる)作り方にしてしまったために3部作で主人公や登場キャラの成長物語として描けなかったことですね。

過去6部作は各作ごとかなり年月が開いているため、時間経過とそれによる成長が垣間見れるのですが、新3部作は、今作がエピソード8の約1年後が舞台なのでトータルで実質2年弱しか経っていません。なので、すごく短いスパンの物語になってしまい、大河として“長い戦いが終わる”と思わせてくれないのです。だからキャラたちに感情移入もできないまま、レイの修行も中途半端なまま終わってしまうという残念さ。スターウォーズ未見の方はルークのエピソード4から6にかけてのジェダイとしての成長物語をぜひ観てほしいです。

総合的には平均点のような完成度です。JJは本当に映画を撮るのは上手いですが、JJの映画って大感動とか、大どんでん返しとか、記憶に残るような作品というものが作れないですね。優等生が撮る映画って感じで、「まぁ、面白かったけど…」っていう答えしか出ませんね。過去6部作の伏線も回収し、何とか新3部作の軌道修正もして頑張って完結させたのは見事ですが、名作にしかない劇場を出た後、余韻に浸るみたいなことは全くなかったです。

なぜかというと新3部作はなくてもスカイウォーカーサーガは完結しているからです。

やはりスターウォーズってルーカスのものだったんだなと改めて思いましたね。別の人が後付で強引に3作引き伸ばして勝手にまとめたっていうことでしかないので結末的にはエピソード6に戻ったということでしかないです。新しい三部作が追加されたから深みが出たとか、世界が広がったわけでもなく、元に戻っただけ。だからスターウォーズファンなら感動はないと思います。

一週間後くらいに、具体的なところに触れてまたネタバレ感想をアップします。また思い出したことがあればネタバレに触れない程度にこの記事へ追記したいと思います。


「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」スター・ウォーズ 大いなる遺産




最新の画像もっと見る