★2024年の新作「Chapter & Verse」を取り上げました★
最近の十数年のうちで、デビュー曲("I Hope")がカントリー・
エアプレイ・チャートでトップを記録するという栄冠を獲得した
4番目の女性アーティスト(先駆者は、キャリー・アンダーウッ
ド、ケルシー・バレリーニ、そしてカーリー・ピアース)となっ
たキャビー・バレット、待望のデビュー・アルバムの登場です。
とにかく、タイトルにちなんだ金ピカのジャンプスーツを身にま
とった、キラキラした登場感が半端ないジャケットに驚きます。
新たな時代を切り開こうとする強い意志が感じられますね。この
アルバムの作風については、彼女自身がCMAに語ったインタビュ
ーが結構ポイントを突いていると思いますので、そちらをご紹介
しましょう。なおプロフィールは、先の”I Hope"紹介の記事に
記載しました。
<あなたに音楽的に最も影響を与えたのは誰ですか?>
私は、ポップ、R&Bそしてカントリーのそれぞれから大きな影響
を受けていて、それによってどんな風に歌い、曲を書き、そして
エンターテイナーとして、またアーティストとしてどうありたい
かが強力に形造られたわ。マイケル・ジャクソンは、そのスタイ
ルや電子的なパフォーマンス、そして忘れられない歌の数々のお
陰で常に偉大なお気に入りであり続けた。彼の歌を聴いて育った
のよ。ホイットニー・ヒューストンは私にとってはどんな時も最
も偉大なアーティスト。彼女のような声はもう現れないわ。カン
トリーではいつもシャナイア・トゥェインを尊敬してきたわ。彼
女のファッションやパフォーマンスはスーパースターはいかにあ
るべきかの特別なお手本よ。
<あなたがロード・ツアーに出ている間、休みにどんなことをする
のが好き?>
オフにはいつも両親と映画を見てるわ。スイーツやおいしい料理を
作ったり、甘いお菓子を焼いたりしながらね。
<音楽活動を始めた時に、こんな事を知っていればよかったのに、
と望むことはありますか?>
始めた頃の今より若かった自分に伝えたいと思うのは、忍耐が鍵だ
という事ね。これまで曲を書いて、アルバムにまとめ、その作品
がレコードとして形になっていくのを待って、そしてファンの皆の
元に届くまでを見てきて、忍耐こそがいつも私が一所懸命に仕事を
して絶えることなく学んできた価値だと思うの。なぜならそれが
人生と同じようにビジネスでも大事だから。
<あなたは自分のサウンドをどう表現しますか?>
私のサウンドはR&Bカントリーよ。皆を椅子から立上げらせて、愉
快にさせる音楽なの。
<2020年になって一番エキサイトしてるのはどんな事ですか?>
たった今、私のデビュー・アルバムがこの夏リリースされるのを
本当に心待ちにしているわ。2年間、曲を書き続けて来て、皆が聴
いてくれることにとてもエキサイトしているの。
<あなたが見た最初のコンサートは誰のでしたか?また、最も思い
出深いコンサートは?>
私の初コンサートは14才の時の、ワン・ダイレクションだったわ。
私の姉と一緒に泣いちゃったけど。思い出のコンサートは、何とい
ってもエリック・チャーチね。
<みんなが知ったら驚くだろう貴方の秘密は何かありますか?>
8年生(中学2年生)の頃まで自分の親指を吸ってたことかしら。
<コラボしたい夢のアーティストは誰ですか?>
スティーブン・タイラーかクリス・ステイプルトンよ。
メインストリーム・カントリーにおけるR&Bの吸収については、
長い歴史があり、'10年代以降はサウンド面でより顕著になってい
ますが、デビューの時にここまで明快に自身でPRしたり、マイケ
ル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストン、さらにはスティー
ブン・タイラー(エアロスミス)へのリスペクトを臆することな
く表明するあたり、いよいよこういう時代になったか、と感心し
ました。ジャケットのコスチュームもそれを表現しようとしてい
るのでしょう。その一方、エリック・チャーチのライブに感銘を
受けてる事も注視すべきです。
展開される音楽は、剛柔織り交ぜた非凡なボーカル・テクニック
をフィーチャーした、エレクトロ・ポップ・カントリーと言った
ところでしょう。前向きな力強さに溢れた歌詞と、華やかなサウ
ンド、キャッチーでフックある楽曲が詰まっていると思います。
もちろん、アーシ―なサザン・ロック調もラインアップされてて、
タイトル曲"Goldmine"などかなりワイルドなメロディとサウンド
で煽り立て、ラストでは”Wow!"の雄叫びも。
そんな中で、“Thank God”とか“Jesus & My Mama”のタイトルや、
“Got Me”でクリスチャン・ミュージック界のShane & Shaneをゲ
ストに迎えるなど、宗教心溢れるところも垣間見せてます。信仰
との近さは、カントリーミュージックを定義する重要ポイントの
一つです。なお、"I Hope"は、ラストにチャーリー・プースとデ
ュエットしたバージョンも収録されています。
やはり、キャリー・アンダーウッド(この人のデビュー曲も"Jesus,
Take the Wheel"でした)の正統な後継者なのだ、という作風ですね。
キャリーも強いシンガーですが、彼女をよりシャープに、そしてア
ーシ―にした感じといえば良いでしょうか。それだけでなく、この
華やかなポップ・アルバムでは目立ちませんが、前回の紹介記事に
貼り付けたDowntown Sessionでの”TheGood Ones"で聴かせてくれ
た、心の奥底から絞り出すかのような切ない味わいも表現できる人
である事は、留意しておくべきでしょう。次の時代への幕開けを強
く感じさせる存在感とアルバムだと思いました。
アルバム・リリースを記念したライブ(うっすらとスタジオの音が
被せられています)が配信されています。旦那さんCade Foehnerの
ハードなギターがフィーチャーされ、スタジオ録音との雰囲気の違
いが面白いです。ジャケットよりチョッピリふくよかですが、まあ、
カントリーではよくある事。大事なのは歌声で、堂々たるものです。
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