その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

コンプライアンス

2010-04-01 06:43:12 | ロンドン日記 (日常)
 こちらの人と一緒に仕事をしていると、ちょっとした価値観の違いが興味深い。一つの例は法令順守(コンプライアンス)の考え方。(※写真はグーグルイメージ検索から拝借)

 法令順守が大切というのは、日本も英国も同じ。ただ、その受け取り方が微妙に違う。

 なかなかうまく言えないが、日本人は、分からない(ばれない)範囲であり、かつ、本人を含めた関係者に不利益がないなら、ある程度の逸脱はありうるでしょう、と考える。(これは不真面目な私だけの理解ならごめんなさい。でもやっぱり「本音(ばれなきゃ、やっちゃえ)と建前(法令順守は当たり前の尊重されるべきもの)を使い分けている気がする。」

 こちらの人は、法令は法令であり、それを逃れようとするのは脱法行為として、許されない。ルールや法令の遵守に、すごく真面目な気がする。(どこまで皆がそうかは、もちろんわかりません)

 例えば、以前あった事例は、日本からの出向者に対する労働許可証の発行申請。実際に新しい出向者にやってもらう仕事と申請した仕事の内容が微妙に食い違っていたことが申請を出してから判明した。こっちは早く来て働いてもらいたいし、多少違うとはいえ、全くの黒じゃなくて灰色なんだから、「とにかく、申請した内容で許可証を取ればよいよ。取った後は、うまくやろうよ。」と言った所、HRのマネジャーから猛反対を喰らった。

 「査察官の査問で引っかかったらどうする?この会社で働く日本人の労働許可証が全部抹消されるよ。俺も刑務所行きだ。それとも、査問があった時に、本人や廻りに嘘をつかせようってわけじゃないだろうね」と、普段結構、お茶らけているHRマネジャーが、すごく真剣に向かってきてびっくり。

 これは、法令順守の考え方の違いなのか、職務倫理の強さなのか、もしくはリスク(許可証取り消しや刑務所行き)に対するセンシビリティの違いなのか、明確にはわからない。ただ、この例の他にも、「なんでこの人たち、こんなことを守ることに真面目なの?」と思う時が、時々あるのは事実。

 最初は、「融通が利かないなあ〜」と思っていたが、最近はだんだん「日本人(自分)の善悪の基準があまりにも相対的(その場しのぎ)で、確固たる判断がないのだ。彼らの一貫性を見習わなくては」と思い始めている。

 ただ、一方で、昨年からの、国会議員の経費問題、リーマンの会計処理(まあこれは米国か?)とか、どう見ても、法令順守とは思えない事例もたくさん報道されている。

 う〜ん、異文化での価値観の理解は難しい。
コメント (2)
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