その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

NHKスペシャル 「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ 第1回 岐路に立つ"日の丸家電"」

2012-10-28 00:00:18 | 日記 (2012.8~)

(写真はNHKホームページから)

 今週末のNHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ 第1回 岐路に立つ"日の丸家電"」を見ました。タイムリーな企画で、内容も充実したもので、見ごたえ十分でした。

 ソニー、シャープを中心に日本を代表するメーカーが、何故、アップルやサムスンなどの後塵を拝してしまったのか?反撃の戦略はあるのかが描かれます。新聞、雑誌等でも、いろんな角度から分析がされているネタではありますが、当事者たちを映像で追う迫力には、紙メディアでは伝わりにくいビビッドさがあります。

 以下、いくつか感じたことです。

 ソニーの平井社長が、厳しい表情で、いたるところで社員に危機感を訴えているのが印象的でした。これこれで、大事なことだと思うのですが、私にはむしろ、2年連続で当期利益が赤字になっている会社でも、未だ危機感がないと経営者が思うような状態なのかということが不思議でした。本当のSONYの社内はどういう雰囲気なのでしょうか。本当に危機感が十分でないなら、本当の危機ですね。
 余談ですが、52歳で、若々しくて驚きました。やっぱり、日本の会社もこのぐらい若い(?)人がリーダーとして引っ張ってて行くべきだと心底思います。

 ソニーが創業時の精神である自由闊達さを取り上げ、今のSONYにはそれが無くなったという懐古的なコメント、紹介がありましたが、当時の自由さを今の時代に当てはめるのは、所詮無理というものだと思います。右肩上がりの経済の中、いろんなトライ アンド エラーで可能だった時代でもあるし、色んな技術を組みあわせて製品化するアナログ時代の技術と今のデジタル時代の製品化技術は、求められているものが全然違っているのではないでしょうか?自由闊達で風通しのよい企業文化が必要と言う意味では同意しますが、SONYの問題はもっと戦略的な事業の再設定が必要だと感じます。 

 番組終盤で、インド市場で、青・赤色を好むインド人マーケットにチューンしたTVの売り上げが好調で、ソニーのテレビがシェア1位になっている状況が紹介されました。これはこれで、喜ばしいことですが、この単発の成功事例で、今のSONYを構造的に救う一手にはなりにくいです。戦略的なSONYの逆襲のシナリオは何なのか?は依然、誰にも分からないままです。

 正直、SONY、シャープの消費者家電事業は今後もかなり厳しい戦いを強いられることは間違いないと思います。日本で生産している限り、コスト競争には中国・韓国・台湾のメーカーには勝てないだろうし、短期の製品のライフサイクルに対応するスピード力や、デジタル時代の開発力をソニーがどこまで持ち合わせているかというのは、このTVを観るかぎりでは、正直、分からなかったです。
 
 2夜連続なので、明日も楽しみです。

 ※番組のHPはこちら→ 

コメント
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