変化の激しい不確実な「ハイパーチェンジ」の時代に対応していくために「組織における大胆なチーム制の導入」を提案し、その導入方法と可能性について考察した本です。普段の実務において、チーム制で仕事をしている場面が多数あるのですが、どうも上手く廻らない、そんな悩みを抱える私にぴったりの本かと思っての衝動買いです。
通読しての感想は、所々に有益な示唆があるものの、抽象度の高い論考なため実務に直接応用するのはちょっと難しいかなというところです。グロービスが編集している本は「MBAシリーズ」をはじめ、理論と実践の橋渡しをうまく捌いてくれる書籍が多いのですが、本書は少し理論に寄りすぎている印象です。
そんな本書ですが、第2章でスムーズに機能するチームの条件を考察しているところは参考になりました。まとめてしまうと、ノウハウ集のようにつまらなくなってしまいますが、以下の点が重要です。
・メンバーが、部署の長ではなく、チームに対してロイヤリティを持つ
・メンバーにメタ認知(自分が何を考えているか、どう行動しているかを、自分で認識していること)を持ってもらうこと。そのためには、話し合い、ゲームフリーズ、言語化が有効。
・メンバーに「楽しさ」「自分がコントロールしている」という感覚を持ってもらうことで、既存組織の利益代表化の回避すること
また、チームの大切な機能である「戦略的なオプション」を作るために最も効果的な方法は、「ストーミング」(けんかをすること)であり、本音ベースで真剣に容赦なく話し合うことである(p200)という指摘は首肯できます。(ただ、その前提条件として、チームに大きな信頼感が必要なのですが、これは難しい)
でもやっぱり、私の現実は、本書のロジックは理解しつつも、ヒエラレルキー組織の壁をなかなか破れないジレンマにあり、その壁は本書を読んでもまだ厚いと感じざるえません。私の直感は、チーム制を有効に働かせることも大切だが、どうヒエラルキー組織に内在するイデオロギーそのものを崩していくことが大切なのではないかということです。今年の私がすべきことは、本書のエッセンスを意識してチーム制を機能させていくとともに、いかにヒエラルキー組織の価値観を無力化させることにありそうです。