葛飾柴又近くを訪れる用があったので、用を済ませた後、寅さん縁の地を散策した。30年ぶりぐらい、2回目の訪問だ。
寅さんファンなら一度は訪れる柴又。見どころは多いが、帝釈天の参道、帝釈天、江戸川の土手散歩は外せない。
参道は観光地化された感じもするが下町情緒を残していて、お店を覗いてのそぞろ歩きが楽しい。緊急事態宣言中とは思えない賑いだ。普段はもっとすごい人出なのだろう。昭和の駄菓子屋を彷彿させる店に入ると、駄菓子の棚や昔のおもちゃが所狭しと並んでいる。奥には現役のピンボール・マシンが置いてあり歓喜。参道に戻って、やっぱり草団子をということで、食べようとするが、おいちゃん・おばちゃんのとらやのような団子屋さんがいくつかあって、店選びに迷う。草団子を買って、ベンチに腰かけ食す団子が草っぽくて美味しいこと。
映画で感じるイメージよりも短い参道の終点には帝釈天がある。寅さんが産湯をつかったお寺だ。境内はさほど大きくはないが、笠智衆の御前様が鐘を突き、佐藤蛾次郎の源ちゃんが掃除をしている場所かと思うと感慨深い。ひょっこり現れるではないかと探してしまう。
「男はつらいよ」では出てきた記憶は無いのだが、敷地の右奥の入口から、帝釈天の大庭園と帝釈堂彫刻ギャラリーが鑑賞できる(入園料400円)。大庭園は渡り廊下を巡りながら様々な角度で整った日本庭園が眺められる。参道や境内の賑やかさはどこに行ってしまったのかと思うほど、静かで落ち着いた空間だ。そして、隣接する帝釈堂彫刻ギャラリーは圧巻。大正時代から昭和初期に作成されたもので、法華経の説話の諸エピソードが彫り込んである。その見事さに見とれてしまう。帝釈天に来たら、ここは外さない方が良い。
お寺を出て、寅さんがよく日向ぼっこしている江戸川の土手に出る。土手の手前には、葛飾柴又寅さん記念館・山田洋次ミュージアムや大正・昭和初期の旧邸である山本邸などの観光スポットもある。今回は時間の関係で残念ながら素通りし、江戸川の土手の散歩に時間を使った。さくらが自転車で通ったり、寅さんが昼寝するシーンを回想しつつ、映画のロケにはぴったりのような春を感じる日差しの中、白球を追いかけるユニホーム姿の少年たちを眺め、映画そのままの雰囲気を楽しんだ。
2時間ちょっとのプチ観光であったが、フルコースなら丸1日楽しくのんびりとした時間を過ごすことができるだろう。寅さんファンは是非とも。
2021年2月20日