いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

トンマッコルへようこそ

2012年05月08日 | 韓国映画
数々の賞を受賞した、韓国で高い評価をうけた作品、ということで
視聴することになりました。
「トンマッコルへようこそ」って題名もなんかかわいいし、
DVDジャケットもほのぼの~。

が、戦争ものだった……。

そこんとこ忘れてると、非常に辛いです。

《あらすじ》

朝鮮戦争の真っ只中、山奥にある平和な村トンマッコルに奇妙なお客がやってきた。
空から落ちてきたアメリカ軍大尉スミス。
少しばかり頭の弱いスヨンについてきた人民軍の兵士たち3人組。
村の人間に出会い、食料を求めてやってきた韓国軍の兵士がふたり。

自分たちのいさかいがもとで、村人の食料庫を吹っ飛ばしてしまった軍人たちは、
畑仕事を手伝って、自給自足の村の生活に協力することになった。
軍服を脱いだ男たちは、のどかな生活に次第に馴染んでいったのだが、
トンマッコルに対空基地があると信じて疑わない連合軍が
スミス奪還と基地殲滅作戦を決行しようとしていた……。

男たちは、トンマッコルを救うことができるのか?






音楽がすごくいい~。

久石譲の手がけた音楽のせいでしょうか、
ジブリの映画を見ているみたいな気分になるのよね。
そしてトンマッコルという平和な村の美しさ。
これがジブリ映画に出てきそうな村なんだな~。
こういう農村の美しさって、国が違えど通じるところがあるね。
しかも同じアジア圏ですから、余計に。

でもね、映画冒頭から、状況は悲惨です。
だって戦争なんだもの。
血がたくさん出て、銃で撃たれて、人は死ぬ。

そこから、舞台はあののどかな村、トンマッコルへ。
余計にここのすばらしさが際立つわけよ。
そして夢のような日々が過ぎ、
いつの間にか戦争は終わっていましたとさ、めでたし、めでたし。
というわけにはいかなくて、
また戦時の悲惨な世界へと舞台は戻っていくのだけど。

しかし、不思議なことに後味は悪くないのです。
人生の最後に思い出すのは、なぜかしあわせだったことばかり、
って感じで、映画を観終わった後もすがすがしいの。
すがすがしいなんて、不謹慎かもしれないけど。
やっぱり音楽と、あとはラストの映像のせいかなぁ。

戦争ものは悲惨だし、声高に戦争はよくないって叫ぶ感じに
拒否感を抱いている人も、この映画なら大丈夫じゃないかな。
理屈や、理由なんてどうでもいい、ただ、
本当に世の中から戦争がなくなればいい、と心から思える映画です。



ここからネタバレありますので、未視聴の方は
お気をつけください。




とにかく映画だから~。
「間」が贅沢よね~。
最初の軍人たちの睨みあい(不眠不休で2日くらい?)もそうだし、
いのしし肉をみんなで食べるところもそうだし、
並んでおトイレの場面もそうだし、
絶妙に間がとってあって、すごくいいです。



だいたい、重要なのはわかるけど、いのしし退治のシーンの長いこと!
CGを使ってスローモーションで細部まで漏らさず、見せる見せる。
息とめてみてて、途中で笑い出しちゃった。可笑しいよね。

その可笑しさが、最後の悲しい気持ちを倍増させるんだ。

畑仕事して、草すべりして遊んで、
幻想的なお祭りで歌を歌って、本当に楽しくて、
そんな日々を丁寧に描いているから、
最後の彼らの笑顔が、やすらいで見えるんだね。

歌が上手な調子のいい衛生兵、サンサン。
そんな彼にヒョンと慕われるヨンヒアジョッシ。
まだ年若い少年兵テッキ。
英語しかよくわからないアメリカ人スミス。
負傷兵を見捨てることができないスファ将校。
みんなすごくいいんだけど、
私は韓国軍のピョ少尉にすごく心惹かれましたね。




双方が村で出会い、武器をかまえて睨みあって、にっちもさっちも行かなくなった場面。
無邪気なスヨンのせいで、手榴弾のピンが抜かれちゃう。
慌てて近場に手榴弾が放り出されるんだけど、
ピョ大尉は、自身が負っている罪悪感のせいか、
転がった手榴弾にがばっと覆いかぶさり、被害を最小限にしようとするんですね。

もうそこでぐっときちゃって、
最後の作戦、陣頭指揮を取る姿がまたすごくかっこよくて、悲しくて。

韓国国内では、映画の内容が米批判、北寄りだといわれたりしたそうですが、
そんなイデオロギーを感じさせる映画だとは思いませんね。
戦争なんて、バカだよね、っていうメッセージだけは伝わってくるよ。
誰が悪いとか、そういうことじゃなくてさ。

映画後半は、ほんとにこわい。
村の人がいくらいい人でも、そんなのに感化される
お人よしばっかりだったら、戦争なんておこらないだろうさ。
村長さんを傷つけたり、ソヨンをどうにかしようとしたり、
すごくこわかったよ。
みんなを守ろうとして、みんなの目の前で人を殺して、
自分たちはやっぱり人殺しなんだ、と自覚した軍人たちは悲しかった。

自分たちがおとりになって、村を守る作戦、
スミスはやっぱり帰らなくちゃならない。
トンマッコルを守るためには、残ってちゃいけない。
そこを割り切って、命令するピョ大尉もすごいし、
納得して帰っていくスミスもすごい。やっぱ軍人なんだ、みんな。

最後は雪の中、ヨンヒアジョッシは爆撃で死んでしまい、
サンサンも、これまでの明るい彼の姿からは
想像もできない悲惨な死に方をする。

でも最後は、大成功した作戦の中で、みんな最高の笑顔。
トンマッコルを守ることができたもんね。

あのラストシーン、テッキの髪に花がさしてあった時のことだね。
ふと、全部夢だったらいいのに、と思ったけど、そんなわけはなく……。
でもあのシーンで終われたから、映画の後味がいいんだと思うんだよね。
みんなはあの幸せなトンマッコルで暮らしたときのことを
思い出しながら死んでいったような気がするよ。

あのねー、私ちょっと残念なのがスヨンなの。
演技賞ももらって評価された演技だったそうですが、
個人的にはもう少し若い、幼い女優さんがよかったな。
特に最初の方はすごい老けてみえない?
テッキが心よせるにはちょっと……かなぁ。
でもあまりに年若いと、知恵足らずの印象が薄れるからダメなのかな。

全体にとても好きな映画でした。
また観たいな。



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