《あらすじ》
ユシンとミシル一族の婚姻を言祝ぐトンマン。
ミシルはユシンが立派な風月主となるよう、後押しするという。
「しかし、これでユシン郎が私のものになったとは思っていません」
「ええ、私もユシン郎を奪われないよう、努力します。必死に」
「必死に?よくわかっておいでですね」
「ええ、私の相手は手強いですから」
ふたりの女の間に、静かな火花が散る。
ミシルとの会話を終えて出てきたトンマンを、ユシンが待っていた。
「いずれにせよ王女様と私とは……」
「ユシン郎のおかげで悟りました。民を守るのは、簡単ではないと」
トンマンにもわかっている。理解している。
でも、それでも、こう聞いてしまう。
「本当に他に方法はなかったのですか?」
「わかりません」
ユシンは答える。
「それでも、ひとつだけはっきりしていることがあります」
分裂してる半島の統一は200年前からの王の夢だ。
そんな大きな夢を共に見られることに、心が震える。
自分はチヌン大帝を支えた貴族たちや、ソルォン公を超える兵法家になる。
あなたは、大帝を超え、ミシルを超える政治家になってください。
「それが私たちをつなぐ、唯一の道です」
トンマンは、置いて行かれる自分の心を思うと、素直にうなずけない。
主従の関係は、男女の関係より維持するのが難しい。
より困難な道を行く、自分たちの絆が試されていると、ユシンは言うのだった。
「わかっています」(骨身にしみるほどに……)
ミセンは、ソルォンの娘ポリャンをチュンチュに娶らせようと画策している。
チュンチュは兵部令の屋敷へ招かれたことに、
何か意義を感じているようだが……。
ムンノは、三韓地勢の執筆に取りかかろうとしていた。
ピダムは、師匠の前に膝をついて頼む。
「私の未熟さは承知しています。期待に添えていないことも……
もっと努力して自分を磨きます!もっと!」
「そうだ、精進せよ。いや、私と一緒に努力していこう」
「では、あの本を、私にください」
「私とここを発とうといっただろう?ここでの出来事を忘れて一緒に行こう」
ムンノとピダムの思いは、平行線だ。
ピダムはたまらず、立ち上がる。
「なぜユシンなのですか?
王より偉大で、王より長く続く、歴史の主にとおっしゃいました」
幼い頃、ムンノがまだ、ピダムの未来を信じていた頃、
彼に話した言葉を覚えていたピダム。
その言葉のために、ピダムはあの本を守ったのだ。
人を大勢殺してまで……。
「師匠に認められたかった。なのになぜ、ユシンなのですか?
ずっと仕えていた私ではなく、数回会っただけのユシンに……」
「それがお前の本心だからだ!
私に褒められたい一心で、冷酷に人を殺す。
ミシルのように……。
覚えておけ、本は絶対にお前のものにはならん!」
ムンノは冷たくピダムを突き放した。
ユシンの決心は、少なからず周囲の人々を動揺させた。
トンマンは努めて、そのことについては考えないようにしている。
まずはチュンチュの教育だ。
本を破いて紙風船を作ってしまうような少年に、
さすがのアルチョンもがっかりしてしまう。
厳しく叱るトンマンに反発するチュンチュ。
「王女様、お暇なようですね。
私は好きにしますから、母親のまねごとは止めてください」
チュクパンは、ソファに恋をしていて、いいところをみせようとがんばっている。
少女の頃から知っている、トンマンのことも心配なのだ。
西域の商人から買った西洋人の人形を渡して、慰めてやろうと思うチュクパン。
ソファは人形を受け取って、トンマンに話しかける。
「チュクパンさんが、王女様にと」
「わあ!砂漠でよく見た西域人だわ!」
トンマンの顔に、久しぶりの明るい笑顔がもどった。
「やぁ、トンマン、久しぶりだな」
「カターンおじさんね!」
「うん、トンマン、新羅の王女になったって?
英雄を目指していた君が、王女になったとはね」
「そうよ」
「かわいそうに、トンマン。英雄とは、孤独なものだ」
トンマンは、涙を流す。
「王女様……」
「一度だけでいいから、トンマナと呼んでよ」
ユシンの結婚を明日に控えて、悲しみを抑えられないトンマン。
翌日、ユシンの結婚式の日、トンマンはウォルヤとアルチョン、ソルチと一緒に
伽耶民たちの働く様子を眺めていた。
ユシンが、自分を捨てて守った伽耶の民。
彼らはユシンに絶対的な忠誠を誓うだろう。
ピダムはじっと考えている。
ムンノの言葉を繰り返し思い出しながら。
そして、三韓地勢を書き上げたムンノは、本を手に山を下りようとしていた。
山道で、ムンノはピダムと行き会う。
「本は書き上がりましたか?」
「この本のことは忘れろ」
「どうしてもその本をユシンに?
ならば、その前に、私を倒さねば」
「何?」
「その本は、私のものです。他の誰にも渡しはしない」
「愚かなやつめ。お前にこの本を持つ資格はない」
「資格?その資格とは、師匠が私に与えるべきものでしょう?
教えるのが、師匠の務めです」
「殺生はいかんと教えねばならんのか。そこをどけ」
「嫌です」
「そこをどけ!」
ピダムはいわゆる、柄のない刀のようなものだ。
触れるものはけがをする。
誰かが柄になってはくれぬかと願ってきたが、かなわぬのなら、
自分の手で折るしかない。
「本当にそれを望むのか?」
ピダムは、涙をこらえる。
「本当にそう、お考えなら、折ればいい」
そして刀を抜いた。
「折ればいいではないですか!」
師匠と弟子の、死闘が始まる。
どちらもひかぬ、必死の攻防。
奥義を出したムンノが優勢かと思われたその時、木陰からムンノを狙う刺客が!
首に刺さった毒針を抜き、倒れたムンノは、意識を失ってしまう。
「師匠、師匠!」
ピダムは、ムンノを背負って山道をひた走る。
現場に残された本を抱えていったのは、ムンノに協力していた賭博場の主人だった。
草原で、ピダムは転んでしまう。
意識を取り戻したムンノは、もう無駄だとピダムを止めた。
「なぜ、本を持って行かず、私を背負い走ってきた?なぜだ?」
ピダムは答えられない。
「私はいたらぬ師匠だった。
お前の言うとおり、お前を恐れていたのかもしれぬ。
お前の気性を考慮して導こうとせず、押さえつけていた……すまない」
ムンノはピダムの頬に、そっと手を当てる。
嫌々をするように、首をふるピダム。
「最後に、お前の心根を知った。
だが、もう遅い。
せめて、礼を言う」
ムンノは苦しい息の下、ピダムに手紙を託した。
「ソラボルへ戻るのだ。花郎になれ。ユシンに従い、王女をお助けしろ」
「師匠……」
「間違いなく、お前は私の弟子だ……」
そう言って、ムンノは事切れた。
「師匠、師匠……目を開けてください……」
ピダムは、泣いた。冷たくなってゆく師を抱いて、涙を流した。
ソラボルでは、ユシンがチュンチュの剣術指導をしていた。
やる気のないチュンチュに、厳しく教授するユシン。
「戦に出ないといって、敵に急襲されたときはどうします?
戦えないからと命乞いをしますか?それが男のやることですか」
チュンチュは、反撃に出る。
「母上の最後を見届けたのはお前だそうだな。
婚姻の話も出ていたとか。その後、トンマン王女と婚姻しようとして失敗。
そして結局はミシルの一門と婚儀か。はは、それが男のやることか?」
しぶい顔のユシン。
チュンチュは、ユシンを愚鈍な男だとバカにする。
「ああ、あの愚直さが、お前の武器か」
ユシンは、かつてチョンミョン王女と初めて出会った時のことを思い出していた。
チュンチュの母、チョンミョンも、同じことを言った。
思わずほほえんでしまうユシンに、不思議そうなチュンチュ。
風月主となったユシンは、早速改革にとりかかる。
優秀な地方花郎を例年の倍、選出する。
そのかわりソラボルの花郎は、郎徒を倍選んで良い。
郎徒の俸禄は、王室が負担する。
会議の席、ムンノの不在をチルスクが指摘するが、その時ピダムが現れた。
額当てをして、花郎の正装で現れたピダム。
「今まで何をしていた?国仙は一緒か?」
「国仙は、太白山に入られました」
そう言って、手紙を取り出したピダム。
そこには、まぎれもないムンノの筆跡が。
ムンノはピダムを正式な後継者として、ソラボルで花郎になるよう書いていた。
「その筆跡は本物なのか?」
ソップムのものいいに、静かに答えるピダム。
「我が師匠を侮辱するな」
ピダムの常とは違った様子に、目を見はるトンマン。
ミシルはムンノが現れないことに疑問を抱くのだが……。
ピダムは、賭博場の主人の部屋へそっと入り込んだ。
「お、お前、どうやってここへ入った?」
血まみれのピダムを見て、店主はおびえる。
「当ててみろ。この血は、俺の血じゃない。では、誰の血だ?」
「おい!だれもいないのか!ピルブ!タムス!」
「当たりだ。正解だよ」
おびえて逃げる店主は、店の中に倒れている手下たちを見つける。
寺の場所を知っているのも、本の存在を知っているのも、
この男とピダムのふたりだけだ。
「師匠を殺したのは俺じゃないから、お前だろう?違うか?」
男は、かんに障る笑い声を立てる。
「目的は本か?報復か?」
「両方なら?」
「俺を殺せば……」
「本は見つからないか?別にかまわない。見つからなくてもいい。
取りあえず、殺して帰る」
ピダムは笑って剣を突きつけるが、男の笑い声は止まらない。
「ひひひ、それじゃあ、目的は、報復か?
お前だって、ムンノ公を殺そうとしていたじゃないか、え?
あの本を持ってきて、ゆっくり話し合おうぜ」
怒りに震えていても、ピダムは男を殺すことができない。
ピダムは、男を短刀で脅しながら、本のありかまで案内させた。
耳障りな笑い声をたてながら、男が連れて行ったその先には、
三韓地勢のページで折られたたくさんの紙風船が……。
ピダムはその場にいた少年に刀を突きつける。
「こ、この本は、お前のものか?」
おびえながらほほえむその少年は、キム・チュンチュ。
(つづく)
ああああ~ムンノが死んでしまうなんて~。
全然予想してなかったから、驚いたですよ!
国仙ムンノの死。
そして花郎ピダムの誕生。
まあ、こうならないとね。
ムンノがピダムを連れてまた放浪の旅に出ちゃっても困るんだけどね。
最後の最後に、ムンノとピダムが心を通わせる事ができて、本当によかった。
ムンノはずっと、ピダムの本性は悪だと思っていたんだね。
師匠に褒めてもらいたい一心で、平気で人を殺すピダムの非情さ。
それがピダムの本質だと。
でもピダムは、瀕死の師匠を背負って走った。
師匠を殺してでも奪おうと思っていた本をほったらかして。
なぜかと聞かれても、ピダムにもうまく説明できないだろう。
そうするのが当然だから、そうしたまでなんだから。
ムンノは、安心して死んでいきますが……。
実はちょっと、わたしは不安。
だってピダムの行動は、相手が師匠ムンノだからでしょ?
自分とは一切関わりのない人間や、悪い奴、自分に害を加える奴には、
相変わらず容赦なく切りつけるに違いないじゃないですか。
ピダムはムンノを愛し、求めていたからこそ、
人を殺してしまったし、最後はムンノと戦うことになった。
愛しているから、死にかけているムンノに、生きて欲しいと願った。
矛盾しているようだけど、すべての行動の根っこには、ムンノへの深い愛がある。
でも、愛なんてない相手にはどうですか?
ムンノは、ぶるぶる震えながら自分を指さすピダムにショックを受けてましたね。
「折らねばならぬというなら、折ればいい!」
と絞り出すように叫ぶピダムを、悲しそうに見てた。
ピダムは、愛している師匠から、お前を殺すといわれて傷ついたんです。
本気でそんなこと言ってるのか?それならやればいい!俺を殺せばいい!
そうやって、自分を投げ出すように、ムンノに向かって行ったのだと思うんです。
ピダムを見ている限り、彼が真に悪であるとか、思いやりを持たない人だとは思えません。
ただ、どうでもいい人々には、冷たいだけなんです。
ほんとにミシルそっくり……。
三韓地勢を横取りした男に、
「お前だって師匠を殺そうとしてたじゃねえか!」と言われて、ピダムは苦しみます。
男のいうことはもっともだからです。
自分の中にある、冷酷さ、非情さをコントロールできないのがつらいのじゃないでしょうか。
愛故に、破壊的衝動を抑えられない自分が怖いのじゃないでしょうか。
お前に何がわかる!とも言いたげだし、
自分の中にある恐ろしいものを、自分でも持てあましている感じがします。
ここがミシルとは決定的に違うところなんじゃないでしょうか。
ミシルは、自分の中にある冷酷さを十分承知しており、武器として使います。
そこにためらいはありません。
ピダムはそうなれない。若いからかもしれません。
経験値が上がっていけば、彼もまたミシルのような人間になるのかも。
ムンノは、ピダムに手紙を託しますね。
正式な弟子と認め、ソラボルで花郎になれるように計らった手紙です。
結局ムンノは、あんなことを言っていたけど、
実はピダムのやりたいようにさせてやろうと思っていたってことですよね?
それがわかって、ピダムもあんなに真摯な態度なのね?
ムンノもまた、生涯を剣とともに生きた、不器用な武芸家だったんだな、と思いました。
うわーん、ピダムがかわいそすぎる……。
今回ピダムがなんとも言えず魅力的。
半分いっちゃったような目で、ムンノに斬りかかるところもいいし、
死にそうなムンノを背負って必死で走る表情もいい。
いとおしげにムンノに頬をなでてもらって、今にも泣き出しそうな子どもみたいになってるのもいい。
血しぶきにまみれて、笑っているピダムもかっこいいし、
本なんていらない、って言いながら、苦しそうな顔もいい……。
うわー!もうダメだっ!
はまりたくない、はまりたくないといいながら、結局ははまってしまうんだーーーーー!
はぁぁぁぁぁ~、どうしよう。ユシン郎になんて言えばいいんだ……。
とりあえず、他のことを考えようね。
ユシン郎、結婚しちゃったね。
相手の人、なーんとなくミシルっぽい顔の美人だったね。
着替えの時も、今まではひとりでよいしょよいしょと帯を回していたのに、
自然に手伝ってくれる人が側にいるようになったんだね。
ほんとにぼーっとしてて、しょうもない婿さんだよね。
奥さんの様子とか顔とか人となりとか知らないでいれば、案外平気かもしれない。
仕事場で、命もかけた大業を為そうと協力していけるなら、それでいいじゃん。
ユシンの言うとおり、主従の関係は男女の関係より維持するのが難しい。
そんな強固な関係を築いていけるんだから、ある意味夫婦より濃いじゃん。
なんて言って納得できないよね……。
濃いよ、そりゃ濃いよ。
でもやっぱりヤダよー!
好きな人が、別の人と結婚して暮らしてるなんてー!
トンマン、耐えられるかな。
伽耶の人々の姿を見たから、耐えられるかな。
この人たちを守るために、ユシンは身を捨てたんだって、わかるよね。
民が、実態を持ったひとりひとりの人間だと、実感できれば、
トンマンは国民のためにがんばっていけるんじゃないかなー。
ソルチは昔トンマンに魅了されたことがあるので、トンマンびいきだけど、
ウォルヤはどうかな?
「絶対に秘密は守る」って言ってたけど、
トンマンはこの伽耶の地にどんな秘密を隠すつもりなのかな?
それとも、ただ復耶会とのことは絶対しゃべりませんよ、って意味なのかな?
トンマンが王になるためには、たくさんの課題をクリアしないといけないんですが、
とにかくチュンチュがまだ読めないのよね~。
アホのふりした賢王子かと思えば、本なんてまともに読んでないし、
剣も乗馬もならう気がない。
「剣が得意な者は剣で死ぬ」というのは、妙に納得できるものいいではあるけど、
ユシン郎の説得は、もっともなこと。
自分の身は自分で守れるようにならないと、この先生きていけないわよ?
たださー、もしかしたらペラペラーと本を見て、
頭に入っちゃう超天才かもしれないじゃん?
ただのアホ王子だったら、お話がつまんないじゃない。
若い頃のチョンミョンと同じ事をユシンに言っているシーンは、
ユシンでなくとも、寂しげなほほえみを浮かべながら観てしまう光景でした。
チョンミョン王女を思い出すね……。
チュンチュは本当に彼女の忘れ形見なんだね……。
このチュンチュが、なぜ博打小屋に?
ムンノの命同様の三韓地勢を紙風船にしちゃうなんて絶対許せないけど、
わかっててやってること?それとも本気のバカ殿なの?
ほんとにこの子の正体がわかるのはいつの事やら。
ああ、でも絶対賢い王子だよね!
そういや、最初に戻るけど、トンマンとミシルの女の対決こわかったね。
この人たち、基本そうなんだけど、対決姿勢が常にあからさまだよね。
ずるしてんだけど、どっか正々堂々としてる感じがして面白い。
表面上は仲良くしてて、影で悪口いってるより、こっちの方がかっこいいや。
好きとか嫌いとかいう問題じゃないからだよね。
むしろ、影では相手の事を褒めてんだもん、お互いに。
ミシルだって、阿呆な息子より、トンマンの方が好きでしょ。
トンマンも、自分の父さんたちより、ミシルから多くのものを学んでいるよ。
でもさ、代々王に仕えるものを排出してきた家系ってミシルは言うけど、
結局側室の家系なわけでしょ?
殿方に尽くす術って、ストレートに言えば、閨房術のことなわけでしょ?
甘え上手とか、男の立て方、とか、かわいく見せるコツ、とか、化粧術、とか、
付随するものは数々あれど、要は閨での技術というこったね。
そんなものを仕込まれて、大きくなったミシルはかわいそうだな。
男なみに学問をさせれば、もっとすごい人間になったかもしれないのに。
トンマンは、外国の本を読んだり、冒険譚を聞いたり、
すごくワクワクする楽しい子ども時代を過ごせて本当に恵まれていたね。
お堅い王家の方々は、そんなことどうせ知らないし、
知ってても実践なんてできないでしょ、と高ビーなミシルも怖いけど、
あ~、そうね、あんたはチヌン大帝を始め、チンジ王とかハジョンとかソルォンとか、
いろんな男と寝てきたわけよね、ああ、誰ともしれない村人ともね!と
すっごい攻撃をかますトンマンがまた怖い~。
誰ともしれない村人って誰のこと?
なんか知ってるの?トンマン?
それともただ、卑しい女だって言いたいだけ?
あ~、いろいろ考えても、今回はピダムのことばっかりだ。
自分の未熟さを認めて、ムンノに頭を下げるピダム。
でもムンノがきいてくれないからって、怒っちゃうピダム。
売り言葉に買い言葉で、どんどんけんかになっちゃうふたり。
でも最後はピダムが、すごく素直にムンノに言うんだよね~。
なんで俺じゃないの?なんで師匠は俺を認めてくれないの?
師匠の愛情は他のやつにいっちゃうわけ?ずっと一緒にいたのは俺なのに!
そんなちょっと会っただけのやつに、師匠がとられちゃうなんて我慢できないんだよ!
みたいな。
ムンノはさ、ピダムを連れて行こうとしている時点で、十分彼に愛を注いでるんだけど、
ピダムはそれじゃあ満足できないんだねー。
気持ちわかるよねぇ。
で、山道で会って、すでにピダムは目がいっちゃってて、危険なんだけど、
ムンノも戦わざるを得ない。
そして聞いちゃうのね。
私にお前を殺させたいのか、と。
倒すってーより、このくらいのレベルになると死闘になっちゃうでしょ、たぶん。
その言葉をきいた時のピダムったら、ピダムったら……。
びくってなって師匠を指さして、
なんか言いたいんだよね、なんかもっと違うこと、ほんとは言いたいんでしょ?
でもなんであんなこと言っちゃうの?今にも泣き出しそうなのに……。
すごく傷ついているのに。
折ればいいではないですか!って訳出も好きだったこのシーン。
ムンノもねー、もっとはやく気付いてあげられたらよかったのに。
彼の奥底には愛が潜んでいたのだから、愛ゆえの残虐だったのだから、
うまく指導できていればねぇ。ま、あんまり変わんなかったかもしれないけど。
心配した通り、師匠のかたきのやつらには、遠慮なくざっくざっくと斬りかかるピダムです。
まーでも、それでいいのかもね。
いろんな人に慈悲を注いでたら、死んじゃうもん。この時代。
楽しみのために殺してるわけじゃないしね。
殺しを楽しんでいるかもわかんないけどね。
あやういバランスのピダムくんを、
トンマンが手綱をひいて操縦してくれればいいです。
トンマンはほんとに大変な道を歩んでいるんだなー。
ユシンとミシル一族の婚姻を言祝ぐトンマン。
ミシルはユシンが立派な風月主となるよう、後押しするという。
「しかし、これでユシン郎が私のものになったとは思っていません」
「ええ、私もユシン郎を奪われないよう、努力します。必死に」
「必死に?よくわかっておいでですね」
「ええ、私の相手は手強いですから」
ふたりの女の間に、静かな火花が散る。
ミシルとの会話を終えて出てきたトンマンを、ユシンが待っていた。
「いずれにせよ王女様と私とは……」
「ユシン郎のおかげで悟りました。民を守るのは、簡単ではないと」
トンマンにもわかっている。理解している。
でも、それでも、こう聞いてしまう。
「本当に他に方法はなかったのですか?」
「わかりません」
ユシンは答える。
「それでも、ひとつだけはっきりしていることがあります」
分裂してる半島の統一は200年前からの王の夢だ。
そんな大きな夢を共に見られることに、心が震える。
自分はチヌン大帝を支えた貴族たちや、ソルォン公を超える兵法家になる。
あなたは、大帝を超え、ミシルを超える政治家になってください。
「それが私たちをつなぐ、唯一の道です」
トンマンは、置いて行かれる自分の心を思うと、素直にうなずけない。
主従の関係は、男女の関係より維持するのが難しい。
より困難な道を行く、自分たちの絆が試されていると、ユシンは言うのだった。
「わかっています」(骨身にしみるほどに……)
ミセンは、ソルォンの娘ポリャンをチュンチュに娶らせようと画策している。
チュンチュは兵部令の屋敷へ招かれたことに、
何か意義を感じているようだが……。
ムンノは、三韓地勢の執筆に取りかかろうとしていた。
ピダムは、師匠の前に膝をついて頼む。
「私の未熟さは承知しています。期待に添えていないことも……
もっと努力して自分を磨きます!もっと!」
「そうだ、精進せよ。いや、私と一緒に努力していこう」
「では、あの本を、私にください」
「私とここを発とうといっただろう?ここでの出来事を忘れて一緒に行こう」
ムンノとピダムの思いは、平行線だ。
ピダムはたまらず、立ち上がる。
「なぜユシンなのですか?
王より偉大で、王より長く続く、歴史の主にとおっしゃいました」
幼い頃、ムンノがまだ、ピダムの未来を信じていた頃、
彼に話した言葉を覚えていたピダム。
その言葉のために、ピダムはあの本を守ったのだ。
人を大勢殺してまで……。
「師匠に認められたかった。なのになぜ、ユシンなのですか?
ずっと仕えていた私ではなく、数回会っただけのユシンに……」
「それがお前の本心だからだ!
私に褒められたい一心で、冷酷に人を殺す。
ミシルのように……。
覚えておけ、本は絶対にお前のものにはならん!」
ムンノは冷たくピダムを突き放した。
ユシンの決心は、少なからず周囲の人々を動揺させた。
トンマンは努めて、そのことについては考えないようにしている。
まずはチュンチュの教育だ。
本を破いて紙風船を作ってしまうような少年に、
さすがのアルチョンもがっかりしてしまう。
厳しく叱るトンマンに反発するチュンチュ。
「王女様、お暇なようですね。
私は好きにしますから、母親のまねごとは止めてください」
チュクパンは、ソファに恋をしていて、いいところをみせようとがんばっている。
少女の頃から知っている、トンマンのことも心配なのだ。
西域の商人から買った西洋人の人形を渡して、慰めてやろうと思うチュクパン。
ソファは人形を受け取って、トンマンに話しかける。
「チュクパンさんが、王女様にと」
「わあ!砂漠でよく見た西域人だわ!」
トンマンの顔に、久しぶりの明るい笑顔がもどった。
「やぁ、トンマン、久しぶりだな」
「カターンおじさんね!」
「うん、トンマン、新羅の王女になったって?
英雄を目指していた君が、王女になったとはね」
「そうよ」
「かわいそうに、トンマン。英雄とは、孤独なものだ」
トンマンは、涙を流す。
「王女様……」
「一度だけでいいから、トンマナと呼んでよ」
ユシンの結婚を明日に控えて、悲しみを抑えられないトンマン。
翌日、ユシンの結婚式の日、トンマンはウォルヤとアルチョン、ソルチと一緒に
伽耶民たちの働く様子を眺めていた。
ユシンが、自分を捨てて守った伽耶の民。
彼らはユシンに絶対的な忠誠を誓うだろう。
ピダムはじっと考えている。
ムンノの言葉を繰り返し思い出しながら。
そして、三韓地勢を書き上げたムンノは、本を手に山を下りようとしていた。
山道で、ムンノはピダムと行き会う。
「本は書き上がりましたか?」
「この本のことは忘れろ」
「どうしてもその本をユシンに?
ならば、その前に、私を倒さねば」
「何?」
「その本は、私のものです。他の誰にも渡しはしない」
「愚かなやつめ。お前にこの本を持つ資格はない」
「資格?その資格とは、師匠が私に与えるべきものでしょう?
教えるのが、師匠の務めです」
「殺生はいかんと教えねばならんのか。そこをどけ」
「嫌です」
「そこをどけ!」
ピダムはいわゆる、柄のない刀のようなものだ。
触れるものはけがをする。
誰かが柄になってはくれぬかと願ってきたが、かなわぬのなら、
自分の手で折るしかない。
「本当にそれを望むのか?」
ピダムは、涙をこらえる。
「本当にそう、お考えなら、折ればいい」
そして刀を抜いた。
「折ればいいではないですか!」
師匠と弟子の、死闘が始まる。
どちらもひかぬ、必死の攻防。
奥義を出したムンノが優勢かと思われたその時、木陰からムンノを狙う刺客が!
首に刺さった毒針を抜き、倒れたムンノは、意識を失ってしまう。
「師匠、師匠!」
ピダムは、ムンノを背負って山道をひた走る。
現場に残された本を抱えていったのは、ムンノに協力していた賭博場の主人だった。
草原で、ピダムは転んでしまう。
意識を取り戻したムンノは、もう無駄だとピダムを止めた。
「なぜ、本を持って行かず、私を背負い走ってきた?なぜだ?」
ピダムは答えられない。
「私はいたらぬ師匠だった。
お前の言うとおり、お前を恐れていたのかもしれぬ。
お前の気性を考慮して導こうとせず、押さえつけていた……すまない」
ムンノはピダムの頬に、そっと手を当てる。
嫌々をするように、首をふるピダム。
「最後に、お前の心根を知った。
だが、もう遅い。
せめて、礼を言う」
ムンノは苦しい息の下、ピダムに手紙を託した。
「ソラボルへ戻るのだ。花郎になれ。ユシンに従い、王女をお助けしろ」
「師匠……」
「間違いなく、お前は私の弟子だ……」
そう言って、ムンノは事切れた。
「師匠、師匠……目を開けてください……」
ピダムは、泣いた。冷たくなってゆく師を抱いて、涙を流した。
ソラボルでは、ユシンがチュンチュの剣術指導をしていた。
やる気のないチュンチュに、厳しく教授するユシン。
「戦に出ないといって、敵に急襲されたときはどうします?
戦えないからと命乞いをしますか?それが男のやることですか」
チュンチュは、反撃に出る。
「母上の最後を見届けたのはお前だそうだな。
婚姻の話も出ていたとか。その後、トンマン王女と婚姻しようとして失敗。
そして結局はミシルの一門と婚儀か。はは、それが男のやることか?」
しぶい顔のユシン。
チュンチュは、ユシンを愚鈍な男だとバカにする。
「ああ、あの愚直さが、お前の武器か」
ユシンは、かつてチョンミョン王女と初めて出会った時のことを思い出していた。
チュンチュの母、チョンミョンも、同じことを言った。
思わずほほえんでしまうユシンに、不思議そうなチュンチュ。
風月主となったユシンは、早速改革にとりかかる。
優秀な地方花郎を例年の倍、選出する。
そのかわりソラボルの花郎は、郎徒を倍選んで良い。
郎徒の俸禄は、王室が負担する。
会議の席、ムンノの不在をチルスクが指摘するが、その時ピダムが現れた。
額当てをして、花郎の正装で現れたピダム。
「今まで何をしていた?国仙は一緒か?」
「国仙は、太白山に入られました」
そう言って、手紙を取り出したピダム。
そこには、まぎれもないムンノの筆跡が。
ムンノはピダムを正式な後継者として、ソラボルで花郎になるよう書いていた。
「その筆跡は本物なのか?」
ソップムのものいいに、静かに答えるピダム。
「我が師匠を侮辱するな」
ピダムの常とは違った様子に、目を見はるトンマン。
ミシルはムンノが現れないことに疑問を抱くのだが……。
ピダムは、賭博場の主人の部屋へそっと入り込んだ。
「お、お前、どうやってここへ入った?」
血まみれのピダムを見て、店主はおびえる。
「当ててみろ。この血は、俺の血じゃない。では、誰の血だ?」
「おい!だれもいないのか!ピルブ!タムス!」
「当たりだ。正解だよ」
おびえて逃げる店主は、店の中に倒れている手下たちを見つける。
寺の場所を知っているのも、本の存在を知っているのも、
この男とピダムのふたりだけだ。
「師匠を殺したのは俺じゃないから、お前だろう?違うか?」
男は、かんに障る笑い声を立てる。
「目的は本か?報復か?」
「両方なら?」
「俺を殺せば……」
「本は見つからないか?別にかまわない。見つからなくてもいい。
取りあえず、殺して帰る」
ピダムは笑って剣を突きつけるが、男の笑い声は止まらない。
「ひひひ、それじゃあ、目的は、報復か?
お前だって、ムンノ公を殺そうとしていたじゃないか、え?
あの本を持ってきて、ゆっくり話し合おうぜ」
怒りに震えていても、ピダムは男を殺すことができない。
ピダムは、男を短刀で脅しながら、本のありかまで案内させた。
耳障りな笑い声をたてながら、男が連れて行ったその先には、
三韓地勢のページで折られたたくさんの紙風船が……。
ピダムはその場にいた少年に刀を突きつける。
「こ、この本は、お前のものか?」
おびえながらほほえむその少年は、キム・チュンチュ。
(つづく)
ああああ~ムンノが死んでしまうなんて~。
全然予想してなかったから、驚いたですよ!
国仙ムンノの死。
そして花郎ピダムの誕生。
まあ、こうならないとね。
ムンノがピダムを連れてまた放浪の旅に出ちゃっても困るんだけどね。
最後の最後に、ムンノとピダムが心を通わせる事ができて、本当によかった。
ムンノはずっと、ピダムの本性は悪だと思っていたんだね。
師匠に褒めてもらいたい一心で、平気で人を殺すピダムの非情さ。
それがピダムの本質だと。
でもピダムは、瀕死の師匠を背負って走った。
師匠を殺してでも奪おうと思っていた本をほったらかして。
なぜかと聞かれても、ピダムにもうまく説明できないだろう。
そうするのが当然だから、そうしたまでなんだから。
ムンノは、安心して死んでいきますが……。
実はちょっと、わたしは不安。
だってピダムの行動は、相手が師匠ムンノだからでしょ?
自分とは一切関わりのない人間や、悪い奴、自分に害を加える奴には、
相変わらず容赦なく切りつけるに違いないじゃないですか。
ピダムはムンノを愛し、求めていたからこそ、
人を殺してしまったし、最後はムンノと戦うことになった。
愛しているから、死にかけているムンノに、生きて欲しいと願った。
矛盾しているようだけど、すべての行動の根っこには、ムンノへの深い愛がある。
でも、愛なんてない相手にはどうですか?
ムンノは、ぶるぶる震えながら自分を指さすピダムにショックを受けてましたね。
「折らねばならぬというなら、折ればいい!」
と絞り出すように叫ぶピダムを、悲しそうに見てた。
ピダムは、愛している師匠から、お前を殺すといわれて傷ついたんです。
本気でそんなこと言ってるのか?それならやればいい!俺を殺せばいい!
そうやって、自分を投げ出すように、ムンノに向かって行ったのだと思うんです。
ピダムを見ている限り、彼が真に悪であるとか、思いやりを持たない人だとは思えません。
ただ、どうでもいい人々には、冷たいだけなんです。
ほんとにミシルそっくり……。
三韓地勢を横取りした男に、
「お前だって師匠を殺そうとしてたじゃねえか!」と言われて、ピダムは苦しみます。
男のいうことはもっともだからです。
自分の中にある、冷酷さ、非情さをコントロールできないのがつらいのじゃないでしょうか。
愛故に、破壊的衝動を抑えられない自分が怖いのじゃないでしょうか。
お前に何がわかる!とも言いたげだし、
自分の中にある恐ろしいものを、自分でも持てあましている感じがします。
ここがミシルとは決定的に違うところなんじゃないでしょうか。
ミシルは、自分の中にある冷酷さを十分承知しており、武器として使います。
そこにためらいはありません。
ピダムはそうなれない。若いからかもしれません。
経験値が上がっていけば、彼もまたミシルのような人間になるのかも。
ムンノは、ピダムに手紙を託しますね。
正式な弟子と認め、ソラボルで花郎になれるように計らった手紙です。
結局ムンノは、あんなことを言っていたけど、
実はピダムのやりたいようにさせてやろうと思っていたってことですよね?
それがわかって、ピダムもあんなに真摯な態度なのね?
ムンノもまた、生涯を剣とともに生きた、不器用な武芸家だったんだな、と思いました。
うわーん、ピダムがかわいそすぎる……。
今回ピダムがなんとも言えず魅力的。
半分いっちゃったような目で、ムンノに斬りかかるところもいいし、
死にそうなムンノを背負って必死で走る表情もいい。
いとおしげにムンノに頬をなでてもらって、今にも泣き出しそうな子どもみたいになってるのもいい。
血しぶきにまみれて、笑っているピダムもかっこいいし、
本なんていらない、って言いながら、苦しそうな顔もいい……。
うわー!もうダメだっ!
はまりたくない、はまりたくないといいながら、結局ははまってしまうんだーーーーー!
はぁぁぁぁぁ~、どうしよう。ユシン郎になんて言えばいいんだ……。
とりあえず、他のことを考えようね。
ユシン郎、結婚しちゃったね。
相手の人、なーんとなくミシルっぽい顔の美人だったね。
着替えの時も、今まではひとりでよいしょよいしょと帯を回していたのに、
自然に手伝ってくれる人が側にいるようになったんだね。
ほんとにぼーっとしてて、しょうもない婿さんだよね。
奥さんの様子とか顔とか人となりとか知らないでいれば、案外平気かもしれない。
仕事場で、命もかけた大業を為そうと協力していけるなら、それでいいじゃん。
ユシンの言うとおり、主従の関係は男女の関係より維持するのが難しい。
そんな強固な関係を築いていけるんだから、ある意味夫婦より濃いじゃん。
なんて言って納得できないよね……。
濃いよ、そりゃ濃いよ。
でもやっぱりヤダよー!
好きな人が、別の人と結婚して暮らしてるなんてー!
トンマン、耐えられるかな。
伽耶の人々の姿を見たから、耐えられるかな。
この人たちを守るために、ユシンは身を捨てたんだって、わかるよね。
民が、実態を持ったひとりひとりの人間だと、実感できれば、
トンマンは国民のためにがんばっていけるんじゃないかなー。
ソルチは昔トンマンに魅了されたことがあるので、トンマンびいきだけど、
ウォルヤはどうかな?
「絶対に秘密は守る」って言ってたけど、
トンマンはこの伽耶の地にどんな秘密を隠すつもりなのかな?
それとも、ただ復耶会とのことは絶対しゃべりませんよ、って意味なのかな?
トンマンが王になるためには、たくさんの課題をクリアしないといけないんですが、
とにかくチュンチュがまだ読めないのよね~。
アホのふりした賢王子かと思えば、本なんてまともに読んでないし、
剣も乗馬もならう気がない。
「剣が得意な者は剣で死ぬ」というのは、妙に納得できるものいいではあるけど、
ユシン郎の説得は、もっともなこと。
自分の身は自分で守れるようにならないと、この先生きていけないわよ?
たださー、もしかしたらペラペラーと本を見て、
頭に入っちゃう超天才かもしれないじゃん?
ただのアホ王子だったら、お話がつまんないじゃない。
若い頃のチョンミョンと同じ事をユシンに言っているシーンは、
ユシンでなくとも、寂しげなほほえみを浮かべながら観てしまう光景でした。
チョンミョン王女を思い出すね……。
チュンチュは本当に彼女の忘れ形見なんだね……。
このチュンチュが、なぜ博打小屋に?
ムンノの命同様の三韓地勢を紙風船にしちゃうなんて絶対許せないけど、
わかっててやってること?それとも本気のバカ殿なの?
ほんとにこの子の正体がわかるのはいつの事やら。
ああ、でも絶対賢い王子だよね!
そういや、最初に戻るけど、トンマンとミシルの女の対決こわかったね。
この人たち、基本そうなんだけど、対決姿勢が常にあからさまだよね。
ずるしてんだけど、どっか正々堂々としてる感じがして面白い。
表面上は仲良くしてて、影で悪口いってるより、こっちの方がかっこいいや。
好きとか嫌いとかいう問題じゃないからだよね。
むしろ、影では相手の事を褒めてんだもん、お互いに。
ミシルだって、阿呆な息子より、トンマンの方が好きでしょ。
トンマンも、自分の父さんたちより、ミシルから多くのものを学んでいるよ。
でもさ、代々王に仕えるものを排出してきた家系ってミシルは言うけど、
結局側室の家系なわけでしょ?
殿方に尽くす術って、ストレートに言えば、閨房術のことなわけでしょ?
甘え上手とか、男の立て方、とか、かわいく見せるコツ、とか、化粧術、とか、
付随するものは数々あれど、要は閨での技術というこったね。
そんなものを仕込まれて、大きくなったミシルはかわいそうだな。
男なみに学問をさせれば、もっとすごい人間になったかもしれないのに。
トンマンは、外国の本を読んだり、冒険譚を聞いたり、
すごくワクワクする楽しい子ども時代を過ごせて本当に恵まれていたね。
お堅い王家の方々は、そんなことどうせ知らないし、
知ってても実践なんてできないでしょ、と高ビーなミシルも怖いけど、
あ~、そうね、あんたはチヌン大帝を始め、チンジ王とかハジョンとかソルォンとか、
いろんな男と寝てきたわけよね、ああ、誰ともしれない村人ともね!と
すっごい攻撃をかますトンマンがまた怖い~。
誰ともしれない村人って誰のこと?
なんか知ってるの?トンマン?
それともただ、卑しい女だって言いたいだけ?
あ~、いろいろ考えても、今回はピダムのことばっかりだ。
自分の未熟さを認めて、ムンノに頭を下げるピダム。
でもムンノがきいてくれないからって、怒っちゃうピダム。
売り言葉に買い言葉で、どんどんけんかになっちゃうふたり。
でも最後はピダムが、すごく素直にムンノに言うんだよね~。
なんで俺じゃないの?なんで師匠は俺を認めてくれないの?
師匠の愛情は他のやつにいっちゃうわけ?ずっと一緒にいたのは俺なのに!
そんなちょっと会っただけのやつに、師匠がとられちゃうなんて我慢できないんだよ!
みたいな。
ムンノはさ、ピダムを連れて行こうとしている時点で、十分彼に愛を注いでるんだけど、
ピダムはそれじゃあ満足できないんだねー。
気持ちわかるよねぇ。
で、山道で会って、すでにピダムは目がいっちゃってて、危険なんだけど、
ムンノも戦わざるを得ない。
そして聞いちゃうのね。
私にお前を殺させたいのか、と。
倒すってーより、このくらいのレベルになると死闘になっちゃうでしょ、たぶん。
その言葉をきいた時のピダムったら、ピダムったら……。
びくってなって師匠を指さして、
なんか言いたいんだよね、なんかもっと違うこと、ほんとは言いたいんでしょ?
でもなんであんなこと言っちゃうの?今にも泣き出しそうなのに……。
すごく傷ついているのに。
折ればいいではないですか!って訳出も好きだったこのシーン。
ムンノもねー、もっとはやく気付いてあげられたらよかったのに。
彼の奥底には愛が潜んでいたのだから、愛ゆえの残虐だったのだから、
うまく指導できていればねぇ。ま、あんまり変わんなかったかもしれないけど。
心配した通り、師匠のかたきのやつらには、遠慮なくざっくざっくと斬りかかるピダムです。
まーでも、それでいいのかもね。
いろんな人に慈悲を注いでたら、死んじゃうもん。この時代。
楽しみのために殺してるわけじゃないしね。
殺しを楽しんでいるかもわかんないけどね。
あやういバランスのピダムくんを、
トンマンが手綱をひいて操縦してくれればいいです。
トンマンはほんとに大変な道を歩んでいるんだなー。
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