《あらすじ》
貴族たちは、まんまとトンマンの策にはまった。
大損をしたが、買いすぎた穀物を売らずにはいられない。
王室は激しく値下がりした穀物を買い、放出した兵糧米も無事回収できた。
この売買で、国庫も潤う。
ミシルはトンマンに一言忠告する。
「この国には、嫌でも貴族がいるのです、
彼らに背を向けて、どう執政を行うのか心配です」
トンマンはミシルの忠告を受けて、逆にひとつの質問をした。
「璽主は本当に優れた方なのに、なぜチヌン大帝以後、
新羅は発展していないのでしょう?」
ミシルは大変怒っていたようだが、トンマンは本当に不思議に思うのだ。
ヨムジョンは、相変わらずチュンチュにご執心だ。
チュンチュも穀物相場の騒ぎには、関心を持っていた。
「兵糧米を出すとは、王室の財政も逼迫しているな」
また、三韓地勢に興味を持っている様子を見て、ピダムは警戒する。
この公子は一体?
和白会議で、この騒動について王室の対応を責められるトンマン。
しかし彼女も、民を思わぬ貴族の振る舞いを凶弾する。
「王女様は執政から手を引いてください!」
「ええ、買い占め禁止の法令を検討してくだされば、喜んで」
思わぬトンマンの申し出だったが、
子どものようなハジョンの振る舞いで、会議は大騒ぎになり、お開きに。
してやられたミシルだが、チョンミョンや王とは違い、
浅はかながら突拍子もない策を仕掛けてくるトンマンを思うと笑みがこぼれる。
さすがの自分も戸惑ってしまうのだ。
ただ、あの言葉だけは、耳について離れない。
「なぜ新羅は発展していないのでしょう?……」
考えすぎて、体調も優れないというミシルを、ソルォンは心配する。
「璽主、うらやまないでください。
人の身分をむらやむのは、私だけで十分です」
「ご心配はいりません」
翌朝、書庫に入ったミシルが見たものは、
書物に囲まれ机に突っ伏して寝ているトンマンの姿。
声をかけるのもためらわれ、隣で本を開いていると、
騒ぎながらピダムとチュンチュが入ってきた。
ミシルに気付くふたり。トンマンも目を覚ました。
チュンチュがミシルに絵の贈り物の礼を言うと、部屋の空気が微妙なものに。
ピダムは、これみよがしにチュンチュのことを褒めて、
彼の立ち位置がトンマン寄りだとアピールするが、チュンチュは逃げ出してしまう。
トンマンも王に呼ばれて、書庫を出て行った。
「王女に言われてチュンチュ公の教育係を?」
ピダムに質問するミシル。
「いいえ、私が学ばせていただいています。王室のことを。
誰も教えてくれなかったものですから。生まれてから、これまでずっと」
出て行くピダムを見送って、険しい表情のミシル。
トンマンは、得た利益をすべて使って、武器用の高級な鉄で
農具を作るよう、鍛冶職人たちに言い渡した。
彼女の改革の第一歩が始まる。
トンマンは、ミシルを超える何かを見つけ出したような手応えを感じていた。
その頃、安康城で農民の暴動が起きた。
凶作のせいで収穫が落ちたのに、租税が例年通り徴収されたのだ。
村人の手元には、一粒の穀物も残らない。
ハジョンの領地の出来事だが、彼らはこうなることがわかっていて、
租税を取り立てたのだ。
以前の穀物相場騒ぎで損をしたので、租税の減額は行わない。
民のことを考えろというならば、国が租税を免除してやればいいではないか、と
いうのが、彼らの主張だ。
それでは、国が無償で米を配っているのとかわりない。
国庫は税収が減り、貴族だけが肥え太る。
例年繰り返されたことと同じことだ。
「王女には何の対策もなかったのか?」
ミシルは、自分たちが最後に笑うことが、わかっていたのだ。
トンマンは、暴動がおきた安康城に乗り込んだ。
城を占拠した村人の長を連れ出し、直接交渉を始める。
「お前たちに、荒れ地と農具を与えよう。
自分たちで、あらたな土地を開墾するのだ。
今年の租税はお前たちに返してやる。
しかしこれは貸し付けだ。低利で来年の収穫時まで貸してやるのだ。
開墾した土地で余分に取れた穀物は、すべてお前たちのものになるぞ」
村長は涙を流して、約束する。
必ず荒れ地を耕し、努力すると。
ユシンとアルチョンは、暴動の首謀者である村長の処分をするよう、
トンマンに進言するが、どうしてもトンマンはためらってしまう。
「しかし、何の処分もせぬなど、あり得ません!」
それでもトンマンは、村長の命を助けることにした。
必ず自分の教えを守り、土地に定着するように申し渡し、処分を猶予した。
ユシンもアルチョンも、その処分にはどうしても納得できないのだが……。
トンマンは、自分の政策の第一歩に気を良くして、
周辺の村をまわって帰ることにした。
ミシルは話をきいて、何かを憂うような表情であったが、
はたしてトンマンの帰京を凶報が迎えた。
安康城の村人が、農具と穀物を持って逃げ出したというのだ。
ユシンは花郎たちを総動員し、逃げた村人たちを捕らえるよう命令した。
ミシルは笑顔でトンマンを諭す。
「王女様は、民を真実と希望と話し合いで治めるとおっしゃった。
しかし民は真実を重荷に感じます。希望を持てあまし、
話し合いは面倒がり、自由を与えると迷う。民は即物的なのです。
子どもと同じです。だから大変だし、恐ろしい。
暴動を起こしても処罰しない前例を作りましたね。
処罰は厳しく、褒美は少しづつゆっくり。これが支配の基本です。
この国を滅ぼすおつもりですか!」
「まず、飢えて抗議するのは暴動とは言いません。生存というのです。
璽主の時代には考えられない処置に、民は信じられなかった。
やっとわかりました。チヌン大帝以後、新羅が発展しなかった理由が」
トンマンの反論に、思わず声がうわずるミシル。
「それは、何ですか?」
「璽主は、国の主ではないからです」
国の主なら、民を自分の子のように思う。さとし、教えようと思う。
しあわせになってほしいと思う。
しかし、璽主は他人の子を預かるような気持ちだったのではないか?
しかって押さえつけ、寝かしつけようとした。
主でないものは、民のために夢を見られない。
夢なきものに、発展はない。
トンマンは強く言い切り、ある決意を持ってミシルとの会見を打ち切った。
居室に戻り、放心するミシル。
トンマンは急ぎ、ユシンの後を追う。
村人たちは捕縛され、トンマンの前で頭を下げた。
「なぜ逃げたか、理由を言え!」
トンマンが信じる未来を、彼女が民に約束する夢を、希望を、
彼らは受け止めることができない。
わからないのだ。
トンマンが心から訴えても、民に言葉は届かない。
土地などいらない、命だけは助けて欲しい、
そういう老婆の訴えを、トンマンは悲痛な思いで聞く。
ミシルの声が脳裏に響く。
彼女の言葉が、正しいのか?
ミシルもまた、トンマンの言葉を思い返していた。
あの子の言葉は正しいの?
「私は、必ずやってみせる。
お前たちに土地を持たせてやる。
穀物を作るだけでなく、生きる喜びを感じられるように、
そして希望を持たせてやる!」
トンマンは、刀を抜いた。
処罰は断固として厳しく、褒美は少しづつゆっくり。
ミシルの言葉がこだまする。
「私はあきらめない」
皆が見守る中、トンマンは涙を流し、村長らを斬り殺した。
血しぶきが、トンマンの顔を汚す。
「必ず……やってみせる」
(つづく)
ちょ……トンマン……ちょっと、それは……。
もちろん苦渋の決断だとわかっているのだが……。
どぉなのぉーーーーー!
ええかっこしいの甘ちゃん王女では、大業など為し得ぬとわかってはいるが。
ムンノなら、なんと言ったでしょうか。
いやいや、まったく度肝を抜かれるラストでしたぜ。
本当に斬るのか、斬るのか、と、すっごくドキドキした。
もしかして回避もありなのか?と最後まで緊張しました。
いまんとこ、民のレベルはミシルの言ったとおりでありますね。
現代の政治家も、多かれ少なかれ、ミシルのようなこと考えてるんじゃないの?
真実は重く、話し合いは面倒で、命令してもらって生きてた方が楽だから、
奴隷になったっていいんだ……。
そういう思考停止状態に陥っているのって、すごく危険だね。
これは暴動じゃない、生存だ、と主張できるほどの民ならば、逃げ出すことはなかったでしょうね。
民が逃げたのって、ミシルが扇動したからだ、と思っていました。
彼女の策略だって思ってた。
でもそうじゃなかった。トンマン、がっかりですね。
現実は厳しいです。
そして、約束を破った村長さんは、殺さないと仕方ないね……。
「処罰せねば!」と言っていたユシン郎もアルチョン郎も、
まさかトンマン自身が手を汚すとは思ってもいなかったでしょう。
しかし、これは彼女の決意ですね。
血の涙を流し、彼らを斬ったと思います。
ピダムもチュンチュも見ていたねぇ。
どう思うかな?
ミシルと同じだと思うかしら?
目的は崇高でも、やってることは同じだろ!って思うかしら?
穀物騒動からずっと、トンマンが勝ってるのか負けてるのか、
あほーな私の頭では良く判断できず、
勝ってるように見えて落とし穴があるんじゃないかと不安だったです。
それでも、ミシルがすごく動揺しているのを見て、トンマン一歩リード!とか
思っていたのですが、ほんとに簡単じゃありませんね~。
ミシルが恐怖政治をしいていたからこんなことになったんでしょ。
国の主じゃないから、民を子どものように愛せないんですよ。
そう言い切ったトンマンには、わたくし、拍手喝采だったのです。
あの会見の最後、ミシルの言葉は大変ためになりました、と
言って立ち上がったトンマンは、この結末をはっきり思い描いて覚悟をしていたのでしょう。
罪人を手ずから処罰したトンマンを、ミシルはどう思うのでしょうか?
ああ、本当にトンマンってすごい。
王になろうという人は、本当にすごい。
成長していく過程だからかもしれないが、ミシルより器は格段にでかい。
すごすぎだよ。
こないだちょっと見直したポジョンは、やっぱり嫌な奴で、
ソップムと一緒にトンマンのことを鼻で笑ってる。
でも、ばっさり村人を斬り殺したトンマンを見て、さすがに顔色を変えていました。
お母さんのこと思い出したんじゃないの~?
トンマンとミシルって、似てるんだよ?
間違ってもマザコンくん、惚れるなよ!
トンマンの考えた、民を自立させるための政策って、
時間はかかるけど、国力をつけるための基本だと思うの。
どんな組織でも、言われたことだけやる兵隊ばかりでは、発展しないものね。
しかも何でも国におんぶにだっこでは、国力は疲弊するばかり。
トンマン、がんばってると思うんだけどね。
毎日のように徹夜して勉強もしてさ。
ミシルにこんな顔させちゃうトンマンはすごい。ミシルなんだかかわいい。
彼女の必死のがんばりを見るにつけ、
ユシン郎、アルチョン郎、ピダム郎や~
お前らもなんか考えろよ!(怒)
部下だからさー、言われたことやってていいんだけどさー、
側近なわけでしょー?
全部トンマン王女自身が考えついた策でさー、
もちろん意見は聞いたりするんだけどさー、
お前らもなんかアイデアないのか!と、品なく画面に向かって叫んでしまいました。
トンマンがすごいお人なのは認めるが、
花郎がそろいもそろって、姫様の後ついて走ってるだけかよ!
まぁ、首謀者処分については厳しく言ってたし、
「王族の言葉を重く受け止めよ」とか言われちゃうと反論できないけどさ。
見えないところですっごくすっごくがんばって仕事してるんだけどさ。
もうちょっとなんか、こう、彼女の助けになるようなことってありませんか……。
ピダム賢いかと思ったら、そうでもないしさー。
ミシルじゃないけどがっかりだよ。
トンマンとユシンが仲よさそうにしてて、むっとしてる場合じゃないだろ!
いつもなら、ふたりが話している時だって平気で割り込んでいくピダム。
でも、あの空気の中にはさすがに入っていけなかったのね。
嫉妬してるピダムもわかりやすくてかわいいけどさ。
郎徒時代のことは、ピダムはなんにも知らないもんねー。
彼らの絆や、深いところで結ばれた愛情は知らないし、
知っててもみたくないよねー。
本当にお前は相変わらず、「君のためならなんでもする!」だし、
ミシルに嫌みなんか言っちゃって、親の気をひきたい子ども状態なんだな。
もう、彼がミシルの子どもであり、廃位されたとはいえチンジ王の子だというのは
ふたりの間では間違いないことなわけね?
ソルォンも知ってるけど、他の人たちは、まだ知らないよね。
ホントにあのへたれ王さえなんとかしていれば、
ミシルは王妃で、ピダムは次の王になっていたはずなのにねー。
その辺の欲って、いつか出てくる?
でも、ピダムはトンマンに心酔してるし、そういうのはないはずよね。
それよりチュンチュが問題だ!
かわいい顔して、やっぱ腹に一物ありな感じなのだ。
王女の息子なんだし、王家の血筋の男児に間違いないもんね。
賢い自分を隠してるんでしょ?
今回は、本格的に動揺するミシルが見られてびっくりでした。
声がうわずるミシルなんて初めて観た!
トンマンとふたりっきりの時でよかったね。
そして、やっぱり優しいソルォン公。
ミシルの心の深いところを察知して、心配してあげるの。
あんまり余計なことは言わないところもいい。
「セジュ~」が優しいわ~。
愛だね、愛。
貴族たちは、まんまとトンマンの策にはまった。
大損をしたが、買いすぎた穀物を売らずにはいられない。
王室は激しく値下がりした穀物を買い、放出した兵糧米も無事回収できた。
この売買で、国庫も潤う。
ミシルはトンマンに一言忠告する。
「この国には、嫌でも貴族がいるのです、
彼らに背を向けて、どう執政を行うのか心配です」
トンマンはミシルの忠告を受けて、逆にひとつの質問をした。
「璽主は本当に優れた方なのに、なぜチヌン大帝以後、
新羅は発展していないのでしょう?」
ミシルは大変怒っていたようだが、トンマンは本当に不思議に思うのだ。
ヨムジョンは、相変わらずチュンチュにご執心だ。
チュンチュも穀物相場の騒ぎには、関心を持っていた。
「兵糧米を出すとは、王室の財政も逼迫しているな」
また、三韓地勢に興味を持っている様子を見て、ピダムは警戒する。
この公子は一体?
和白会議で、この騒動について王室の対応を責められるトンマン。
しかし彼女も、民を思わぬ貴族の振る舞いを凶弾する。
「王女様は執政から手を引いてください!」
「ええ、買い占め禁止の法令を検討してくだされば、喜んで」
思わぬトンマンの申し出だったが、
子どものようなハジョンの振る舞いで、会議は大騒ぎになり、お開きに。
してやられたミシルだが、チョンミョンや王とは違い、
浅はかながら突拍子もない策を仕掛けてくるトンマンを思うと笑みがこぼれる。
さすがの自分も戸惑ってしまうのだ。
ただ、あの言葉だけは、耳について離れない。
「なぜ新羅は発展していないのでしょう?……」
考えすぎて、体調も優れないというミシルを、ソルォンは心配する。
「璽主、うらやまないでください。
人の身分をむらやむのは、私だけで十分です」
「ご心配はいりません」
翌朝、書庫に入ったミシルが見たものは、
書物に囲まれ机に突っ伏して寝ているトンマンの姿。
声をかけるのもためらわれ、隣で本を開いていると、
騒ぎながらピダムとチュンチュが入ってきた。
ミシルに気付くふたり。トンマンも目を覚ました。
チュンチュがミシルに絵の贈り物の礼を言うと、部屋の空気が微妙なものに。
ピダムは、これみよがしにチュンチュのことを褒めて、
彼の立ち位置がトンマン寄りだとアピールするが、チュンチュは逃げ出してしまう。
トンマンも王に呼ばれて、書庫を出て行った。
「王女に言われてチュンチュ公の教育係を?」
ピダムに質問するミシル。
「いいえ、私が学ばせていただいています。王室のことを。
誰も教えてくれなかったものですから。生まれてから、これまでずっと」
出て行くピダムを見送って、険しい表情のミシル。
トンマンは、得た利益をすべて使って、武器用の高級な鉄で
農具を作るよう、鍛冶職人たちに言い渡した。
彼女の改革の第一歩が始まる。
トンマンは、ミシルを超える何かを見つけ出したような手応えを感じていた。
その頃、安康城で農民の暴動が起きた。
凶作のせいで収穫が落ちたのに、租税が例年通り徴収されたのだ。
村人の手元には、一粒の穀物も残らない。
ハジョンの領地の出来事だが、彼らはこうなることがわかっていて、
租税を取り立てたのだ。
以前の穀物相場騒ぎで損をしたので、租税の減額は行わない。
民のことを考えろというならば、国が租税を免除してやればいいではないか、と
いうのが、彼らの主張だ。
それでは、国が無償で米を配っているのとかわりない。
国庫は税収が減り、貴族だけが肥え太る。
例年繰り返されたことと同じことだ。
「王女には何の対策もなかったのか?」
ミシルは、自分たちが最後に笑うことが、わかっていたのだ。
トンマンは、暴動がおきた安康城に乗り込んだ。
城を占拠した村人の長を連れ出し、直接交渉を始める。
「お前たちに、荒れ地と農具を与えよう。
自分たちで、あらたな土地を開墾するのだ。
今年の租税はお前たちに返してやる。
しかしこれは貸し付けだ。低利で来年の収穫時まで貸してやるのだ。
開墾した土地で余分に取れた穀物は、すべてお前たちのものになるぞ」
村長は涙を流して、約束する。
必ず荒れ地を耕し、努力すると。
ユシンとアルチョンは、暴動の首謀者である村長の処分をするよう、
トンマンに進言するが、どうしてもトンマンはためらってしまう。
「しかし、何の処分もせぬなど、あり得ません!」
それでもトンマンは、村長の命を助けることにした。
必ず自分の教えを守り、土地に定着するように申し渡し、処分を猶予した。
ユシンもアルチョンも、その処分にはどうしても納得できないのだが……。
トンマンは、自分の政策の第一歩に気を良くして、
周辺の村をまわって帰ることにした。
ミシルは話をきいて、何かを憂うような表情であったが、
はたしてトンマンの帰京を凶報が迎えた。
安康城の村人が、農具と穀物を持って逃げ出したというのだ。
ユシンは花郎たちを総動員し、逃げた村人たちを捕らえるよう命令した。
ミシルは笑顔でトンマンを諭す。
「王女様は、民を真実と希望と話し合いで治めるとおっしゃった。
しかし民は真実を重荷に感じます。希望を持てあまし、
話し合いは面倒がり、自由を与えると迷う。民は即物的なのです。
子どもと同じです。だから大変だし、恐ろしい。
暴動を起こしても処罰しない前例を作りましたね。
処罰は厳しく、褒美は少しづつゆっくり。これが支配の基本です。
この国を滅ぼすおつもりですか!」
「まず、飢えて抗議するのは暴動とは言いません。生存というのです。
璽主の時代には考えられない処置に、民は信じられなかった。
やっとわかりました。チヌン大帝以後、新羅が発展しなかった理由が」
トンマンの反論に、思わず声がうわずるミシル。
「それは、何ですか?」
「璽主は、国の主ではないからです」
国の主なら、民を自分の子のように思う。さとし、教えようと思う。
しあわせになってほしいと思う。
しかし、璽主は他人の子を預かるような気持ちだったのではないか?
しかって押さえつけ、寝かしつけようとした。
主でないものは、民のために夢を見られない。
夢なきものに、発展はない。
トンマンは強く言い切り、ある決意を持ってミシルとの会見を打ち切った。
居室に戻り、放心するミシル。
トンマンは急ぎ、ユシンの後を追う。
村人たちは捕縛され、トンマンの前で頭を下げた。
「なぜ逃げたか、理由を言え!」
トンマンが信じる未来を、彼女が民に約束する夢を、希望を、
彼らは受け止めることができない。
わからないのだ。
トンマンが心から訴えても、民に言葉は届かない。
土地などいらない、命だけは助けて欲しい、
そういう老婆の訴えを、トンマンは悲痛な思いで聞く。
ミシルの声が脳裏に響く。
彼女の言葉が、正しいのか?
ミシルもまた、トンマンの言葉を思い返していた。
あの子の言葉は正しいの?
「私は、必ずやってみせる。
お前たちに土地を持たせてやる。
穀物を作るだけでなく、生きる喜びを感じられるように、
そして希望を持たせてやる!」
トンマンは、刀を抜いた。
処罰は断固として厳しく、褒美は少しづつゆっくり。
ミシルの言葉がこだまする。
「私はあきらめない」
皆が見守る中、トンマンは涙を流し、村長らを斬り殺した。
血しぶきが、トンマンの顔を汚す。
「必ず……やってみせる」
(つづく)
ちょ……トンマン……ちょっと、それは……。
もちろん苦渋の決断だとわかっているのだが……。
どぉなのぉーーーーー!
ええかっこしいの甘ちゃん王女では、大業など為し得ぬとわかってはいるが。
ムンノなら、なんと言ったでしょうか。
いやいや、まったく度肝を抜かれるラストでしたぜ。
本当に斬るのか、斬るのか、と、すっごくドキドキした。
もしかして回避もありなのか?と最後まで緊張しました。
いまんとこ、民のレベルはミシルの言ったとおりでありますね。
現代の政治家も、多かれ少なかれ、ミシルのようなこと考えてるんじゃないの?
真実は重く、話し合いは面倒で、命令してもらって生きてた方が楽だから、
奴隷になったっていいんだ……。
そういう思考停止状態に陥っているのって、すごく危険だね。
これは暴動じゃない、生存だ、と主張できるほどの民ならば、逃げ出すことはなかったでしょうね。
民が逃げたのって、ミシルが扇動したからだ、と思っていました。
彼女の策略だって思ってた。
でもそうじゃなかった。トンマン、がっかりですね。
現実は厳しいです。
そして、約束を破った村長さんは、殺さないと仕方ないね……。
「処罰せねば!」と言っていたユシン郎もアルチョン郎も、
まさかトンマン自身が手を汚すとは思ってもいなかったでしょう。
しかし、これは彼女の決意ですね。
血の涙を流し、彼らを斬ったと思います。
ピダムもチュンチュも見ていたねぇ。
どう思うかな?
ミシルと同じだと思うかしら?
目的は崇高でも、やってることは同じだろ!って思うかしら?
穀物騒動からずっと、トンマンが勝ってるのか負けてるのか、
あほーな私の頭では良く判断できず、
勝ってるように見えて落とし穴があるんじゃないかと不安だったです。
それでも、ミシルがすごく動揺しているのを見て、トンマン一歩リード!とか
思っていたのですが、ほんとに簡単じゃありませんね~。
ミシルが恐怖政治をしいていたからこんなことになったんでしょ。
国の主じゃないから、民を子どものように愛せないんですよ。
そう言い切ったトンマンには、わたくし、拍手喝采だったのです。
あの会見の最後、ミシルの言葉は大変ためになりました、と
言って立ち上がったトンマンは、この結末をはっきり思い描いて覚悟をしていたのでしょう。
罪人を手ずから処罰したトンマンを、ミシルはどう思うのでしょうか?
ああ、本当にトンマンってすごい。
王になろうという人は、本当にすごい。
成長していく過程だからかもしれないが、ミシルより器は格段にでかい。
すごすぎだよ。
こないだちょっと見直したポジョンは、やっぱり嫌な奴で、
ソップムと一緒にトンマンのことを鼻で笑ってる。
でも、ばっさり村人を斬り殺したトンマンを見て、さすがに顔色を変えていました。
お母さんのこと思い出したんじゃないの~?
トンマンとミシルって、似てるんだよ?
間違ってもマザコンくん、惚れるなよ!
トンマンの考えた、民を自立させるための政策って、
時間はかかるけど、国力をつけるための基本だと思うの。
どんな組織でも、言われたことだけやる兵隊ばかりでは、発展しないものね。
しかも何でも国におんぶにだっこでは、国力は疲弊するばかり。
トンマン、がんばってると思うんだけどね。
毎日のように徹夜して勉強もしてさ。
ミシルにこんな顔させちゃうトンマンはすごい。ミシルなんだかかわいい。
彼女の必死のがんばりを見るにつけ、
ユシン郎、アルチョン郎、ピダム郎や~
お前らもなんか考えろよ!(怒)
部下だからさー、言われたことやってていいんだけどさー、
側近なわけでしょー?
全部トンマン王女自身が考えついた策でさー、
もちろん意見は聞いたりするんだけどさー、
お前らもなんかアイデアないのか!と、品なく画面に向かって叫んでしまいました。
トンマンがすごいお人なのは認めるが、
花郎がそろいもそろって、姫様の後ついて走ってるだけかよ!
まぁ、首謀者処分については厳しく言ってたし、
「王族の言葉を重く受け止めよ」とか言われちゃうと反論できないけどさ。
見えないところですっごくすっごくがんばって仕事してるんだけどさ。
もうちょっとなんか、こう、彼女の助けになるようなことってありませんか……。
ピダム賢いかと思ったら、そうでもないしさー。
ミシルじゃないけどがっかりだよ。
トンマンとユシンが仲よさそうにしてて、むっとしてる場合じゃないだろ!
いつもなら、ふたりが話している時だって平気で割り込んでいくピダム。
でも、あの空気の中にはさすがに入っていけなかったのね。
嫉妬してるピダムもわかりやすくてかわいいけどさ。
郎徒時代のことは、ピダムはなんにも知らないもんねー。
彼らの絆や、深いところで結ばれた愛情は知らないし、
知っててもみたくないよねー。
本当にお前は相変わらず、「君のためならなんでもする!」だし、
ミシルに嫌みなんか言っちゃって、親の気をひきたい子ども状態なんだな。
もう、彼がミシルの子どもであり、廃位されたとはいえチンジ王の子だというのは
ふたりの間では間違いないことなわけね?
ソルォンも知ってるけど、他の人たちは、まだ知らないよね。
ホントにあのへたれ王さえなんとかしていれば、
ミシルは王妃で、ピダムは次の王になっていたはずなのにねー。
その辺の欲って、いつか出てくる?
でも、ピダムはトンマンに心酔してるし、そういうのはないはずよね。
それよりチュンチュが問題だ!
かわいい顔して、やっぱ腹に一物ありな感じなのだ。
王女の息子なんだし、王家の血筋の男児に間違いないもんね。
賢い自分を隠してるんでしょ?
今回は、本格的に動揺するミシルが見られてびっくりでした。
声がうわずるミシルなんて初めて観た!
トンマンとふたりっきりの時でよかったね。
そして、やっぱり優しいソルォン公。
ミシルの心の深いところを察知して、心配してあげるの。
あんまり余計なことは言わないところもいい。
「セジュ~」が優しいわ~。
愛だね、愛。
見応えありすぎです!(||OдO||)
私はてっきり、ミシルがあえて国を発展させないようにしてるのかと思いましたよ。
なぜなら、ミシルの国ではないから。
王妃になれなかったから。
違ったのかー。
トンマンは、覚悟を決めましたね。
その覚悟を見て、ユシンは、ピダムは、チュンチュはどう思ったのでしょう?
善徳女王、楽しんでいらっしゃいますね。
トンマンとミシルの女傑対決は本当に面白いですよね。
ふたりとも、とても頭が良いのですが、
ミシルの方が経験値が高いですから、一歩リードなのかな。
ユシンはきっと、どこまでもトンマンについてゆく決心を新たにしたと思います。
チュンチュは叔母さんの恐ろしさを目の当たりにして、
ちょっとはビビったかな~。
ピダムはどうなんでしょうね?面白い、と思ったかな?
男たちは平伏するしかないですね。