中国武漢市が都市封鎖したのは19年1月23日で、新型コロナは全世界の注目を浴びた。でも、我々アジア人の感覚としては「SARSの再来」という感じで、局地的な流行で済むだろうと高を括っていた。ところが、2月末にイタリアでアウト・ブレイクして、あっという間に全世界に広まった。それでもSARS残像は残り、夏には流行は収まると思っていた(SARSは03年7月に終息)。しかし、収まるどころか、8月には第二波と言われる程に感染者が急増してしまった。漸く我々はSARSの残像から解放されて、新型コロナの厄介な性質(強い感染力、暑さへの耐性)を知る。これは正真正銘の悪夢である。
GoToトラベルを含む第一次補正予算は4月30日に成立した。この時のシナリオはSARS残像の影響を受けている。夏までにコロナは終息方向、落ち込んだ需要を喚起するため7月からキャンペーンを半年実施、それ以降はインバウンドも戻り、需要は自律回復するというものだ。
ところがコロナは夏でも流行するとなるとこのシナリオは成り立たない。にも拘わらず第二波の最中に政府はキャンペーンを開始し、第三波の現在も一部を除いて強行し続けている。更にキャンペーン自体を来年5月まで伸ばすという。元のシナリオが崩れた以上、通常の需要がすぐに戻ることはない。するとキャンペーンを止めると需要はすぐに落ち込むので、それを嫌がる人たちが継続を声高に言う。結果、ダラダラと政府支出が続くという構図である。
感染が拡大している今ならGoToトラベルを止めても、正当な理由があるので大きな抵抗を受けないだろう。つまり、今が止める唯一のチャンスと言える。政府には英断を期待したい。そして、ジャック・アタリ氏のブログを読んで、改めて考えてほしい、何に金を使うべきなのかを。
(To be continued )
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