国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆議員運輸委員会-2号 昭和55年10月15日 第16話

2015-04-09 08:58:19 | 国鉄関連_国会審議

皆様お早うございます、少し間が開いてしまいましたがまた投稿させていただこうと思います。
今回は塩川大臣の反論なのですが、結構このバトル読んでいると面白いです。
 福岡義登議員のツッコミが中々・・・(^^ゞ

> 国鉄の利用者をふやすために、私たちも何とかその誘導政策をいろんな面から考えておりまして、そして飛行機を利用の方から鉄道にかわっていただけるような、そういう条件をつくりたいと思うて、運賃政策の面なりあるいはサービスの面でいろいろ対策を講じておるところであります。

実は昭和30年代にも国策で飛行機の運賃をかなり高めに設定していた時期がありました、それでも国鉄の運賃値上げで、1等下段寝台料金が飛行機の運賃を上回ってしまい、連日空気を運ぶ事態となって慌てて1等寝台車を廃止して2等A寝台・B寝台にして運賃の適正化を図ったという事実があります。
実際に昭和35年7月の3等級制まで残っていたのは展望車と元供奉車のマイ38【その後改番でマロ39】くらいでしょうか。
それに通じる話だと思います。

> 国鉄の使命は都市間輸送だということが書いてある。それに合った交通政策になっていないじゃないかという、日本の交通政策上の問題を言っているのです。しかも、説明をしましたように、飛行機を使わなければならないという理由は一つもない。使うべきでないという理由はありますよ。エネルギーの消費効率が高い、時間もそんなに変わらない。これだけの大阪-東京間に航空機の便もあるし、新幹線の便もある。日本の経済力はそこまで高くなったから、それくらいあってもいいじゃないかという議論もあるかもしれませんけれども、言うならばぜいたくですよ、そういうものを二つも持っておるということは。まず第一、国家的に不経済でしょう。

このへんの議論もかなり国鉄よりの発言なのは時代を感じさせるのですが、現在の東京~大阪を考えると隔世の感がありますね。

まぁ、この頃はNTT【当時は通信は、電電公社】独占でありそうした競争論理ということはあまり考えられなかったのかもしれませんが、かなり過激な議論だと言えそうです。

> 大臣が航空会社の立場に立って考えられればいまの答弁でもいい。あなたは日本の交通政策を預かられる運輸大臣なんですよ。新幹線の補助として航空機もある程度必要であるとおっしゃるのだけれども、必要じゃないのですよ。ビジネスマンのためにそういう時間帯が設定されたとおっしゃるけれども、日帰りをするには新幹線の方が便利がいいのですよ。さっき言いましたように、所要時間は同じ、もしくは航空機は長いのですから。時間がありませんからこの問題、後にまた譲りますけれども、東北新幹線、上越新幹線がいまやられていますね。近く開業いたしますよ。それじゃ新潟と東京間、仙台と東京間の飛行機と新幹線をどうするのか、これは問題になってきますよ。本当に都市間輸送は国鉄にやらせるんだとおっしゃるんなら、それと同じ競合する飛行機はあらゆる角度から考えてみて取りやめるべきであると強く要請をいたしまして次へ移ります。

塩川国務大臣の答弁がよりリベラルに聞こえるのですが、ここまで来るとちょっといくら国鉄養護であってもこれはないだろうと思ってしまいますが、当時は本当に飛行機をやめてしまえと言って議論していたのでしょうね。(^^ゞ

その後、今度は高速自動車道に絡む交通事故を絡めた話になっていくのですが、この辺はまた後の話なので明日以降に・・・。


○塩川国務大臣 国鉄を再建するのに、大阪-福岡、そういう飛行機を、航空便を中止してみても、国鉄の再建は図れるものではないと思う。それよりも、飛行機の需要が時代的要請として出てきておる、これも事実でございます。
 そこで、先ほど私が申しましたように、いわば総合交通政策の中でそういう需給を考えていかなければならぬということと、それともう一つは、いみじくも御指摘されましたように、運賃がそのようになってしまった。鉄道の運賃と航空機の運賃が、いずれが安いかというような判断をしなければならぬという、そういう現実の値段になってしまった。そこが実は問題なんだと思うております。
 したがって、国鉄の利用者をふやすために、私たちも何とかその誘導政策をいろんな面から考えておりまして、そして飛行機を利用の方から鉄道にかわっていただけるような、そういう条件をつくりたいと思うて、運賃政策の面なりあるいはサービスの面でいろいろ対策を講じておるところであります。

○福岡委員 おかしいですよ、運輸大臣。私が言っておるのは、国鉄を再建するために飛行機のお客を国鉄へ持ってこいという、それが直接の目的で言っているのじゃないのですよ。国鉄の使命は都市間輸送だということが書いてある。それに合った交通政策になっていないじゃないかという、日本の交通政策上の問題を言っているのです。しかも、説明をしましたように、飛行機を使わなければならないという理由は一つもない。使うべきでないという理由はありますよ。エネルギーの消費効率が高い、時間もそんなに変わらない。これだけの大阪-東京間に航空機の便もあるし、新幹線の便もある。日本の経済力はそこまで高くなったから、それくらいあってもいいじゃないかという議論もあるかもしれませんけれども、言うならばぜいたくですよ、そういうものを二つも持っておるということは。まず第一、国家的に不経済でしょう。これは航空会社の事情もあるでしょうから、私は一遍に東京-大阪間、大阪-福岡間の飛行機を全廃しなさいという暴論は述べませんよ。しかし、少なくとも騒音公害その他で大阪空港は御承知のように問題になって、そこで運輸大臣は新空港建設に御努力をされておるのですが、これは問題はありますがね。そういう当面の騒音公害対策から考えるならば、基本的にはいま申し上げました総合交通政策が基本的な問題なんですけれども、当面は、騒音公害対策として大阪空港の離着陸、発進と着陸ですね、これを少し制限することくらいは考えられるでしょう。たとえば、夜の七時から朝の八時、ここまで寝る人はちょっと朝寝ですが、人が起きるぐらいまでの時間、七時とか八時ごろぐらいまでの間の発着は規制をする、そのぐらいのことはやるべきであるし、根本的には全廃するべきなんですよ。当面どうですか。計算をしてみますと、夜の七時から朝の七時まで、東京から大阪に着くものが四便、福岡から大阪に着くものが二便ある。大阪空港発の方は、東京行きが三便、福岡行きが二便ある。合計すると十一便なんです。これをやめてやれば、あの周辺の人は大変喜びますよ。同時に利用者の方は困らないのですよ。国鉄のグリーン車が飛行機より高いからとおっしゃるのなら、まあわずかですけれどもね、そんなに違わないのだが、グリーン車が高くて困るというのなら、普通車へ乗ってもらってもいい。急ぐからということも理由にならない。さっき言うように、所要時間を計算すると、むしろ飛行機の方が長いのだから。方針は、東京-大阪間、大阪-福岡間は将来全廃をする、しかし当面段階的にという意味で、夜の七時から朝の七時までの発着は認めない、そのぐらいのことはできるはずですよ。また、それをやらなければ交通政策じゃない、こう言っているのですよ。野放しの交通政策だったから、初めに申し上げましたように、国鉄がどんどん落ち込んできて、その結果、交通渋滞する、交通事故は起きる。交通事故のことは後で申し上げますが、どうですか、大阪の発着は、当面午後七時から朝の七時まではやめさせる。これは国策に沿ったりっぱな政策である。迷惑する人はだれもいない、航空会社がちょっと都合が悪いかもしらぬけれども。どうですか、大臣。

○塩川国務大臣 国鉄再建からえらい航空の方に話がいっておりますが、せっかく御提案していただいたことではございますけれども、実はその時間帯に飛行機が飛び立つというのは、やはりそういうビジネスマン等が日帰りで十分に目的地で仕事を果たして帰る、そういうところに設定されておると思います。そして、そのことが一つの要請としてそういうダイヤが組まれてきておる。いわば、はやりで申します国民的なニーズがそういう都市間においてその時間帯にあるのだ、こういうふうな感じがいたしておるのであります。
 それで、先ほど来鉄監局長のお話にありましたように、都市間交通の主役はやはり鉄道であります。これはもう何人も否定し得ないことだと思うのです。けれども、その補助機関としての航空機というもの、この経営というものも、やはりそういう特殊な仕事、あるいはそれを利用しなければならぬ人もあるわけでございまして、その点ひとつ御理解していただきたい。
 伊丹空港におきまして朝七時から夜の九時まで空港が開設されておりますが、この間におきます周辺の対策といたしまして、これに対する環境対策等を講じまして七時から九時までということをやっておるわけでございまして、その時間内においての発着でございますから、これはひとつ御理解いただきたいと思うのです。

○福岡委員 大臣が航空会社の立場に立って考えられればいまの答弁でもいい。あなたは日本の交通政策を預かられる運輸大臣なんですよ。新幹線の補助として航空機もある程度必要であるとおっしゃるのだけれども、必要じゃないのですよ。ビジネスマンのためにそういう時間帯が設定されたとおっしゃるけれども、日帰りをするには新幹線の方が便利がいいのですよ。さっき言いましたように、所要時間は同じ、もしくは航空機は長いのですから。時間がありませんからこの問題、後にまた譲りますけれども、東北新幹線、上越新幹線がいまやられていますね。近く開業いたしますよ。それじゃ新潟と東京間、仙台と東京間の飛行機と新幹線をどうするのか、これは問題になってきますよ。本当に都市間輸送は国鉄にやらせるんだとおっしゃるんなら、それと同じ競合する飛行機はあらゆる角度から考えてみて取りやめるべきであると強く要請をいたしまして次へ移ります。
 交通安全の面から日本の交通政策を考えてみなければならぬ。昭和五十三年の交通事故を申し上げてみますと、道路上の交通事故は死亡者が八千七百八十三人、負傷者は実に五十九万四千百十六人、六十万近い負傷者が出ている。死傷者六十万二千人、これだけの交通事故が発生しているのです。国鉄の死傷者は合計二千三十二人。国鉄の事故の三百倍、道路交通事故が発生しておるということになっている。これは道路もどんどんよくなりましたけれども、道路以上に自動車がふえて交通事故が発生しているのですね。自動車がいかにエネルギーを消費しているかということはさっき申し上げたのですが、エネルギーのみならず交通事故の面からも自動車対策というのは考えていかなければならぬと思う。そのほか排気ガスの問題がある、騒音の問題がある、あるいは振動問題がある、交通渋滞の問題がある、いろいろこの道路交通については問題を抱えておるわけですよ。これを何か考えていかなければならない、対策を講じなければならぬわけですよ。これも直接国鉄再建とは関係ないのですが、日本の交通政策という立場から考えればこのまま放置することはできない。
 自動車局長、お見えになっておりますか。あなたの所管でどうですか、自動車輸送というものは現状は好ましい姿であり、将来はどうなっていくかというようなことについて、時間がありませんから短く答えていただきたい。

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国鉄があった時代 JNR-era
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