2017年5月23日
奈良歩き二日目。今日は、「二上山(にじょうざん)」登山。
そして、奈良の大寺院の中ではまだ訪れていなかった「當麻寺(たいまでら)」まで歩く。
日が落ちる二上山の先には西方浄土がある・・・とイニシエから信仰されていた山。
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≪天香具山から見た二上山≫ ≪落日の二上山≫
いくつかある登山コースから、今回は近鉄二上山駅から歩き出す「上ノ池登山道」をとり、雄岳(517m)、雌岳(474m)を経て「當麻寺(たいまでら)」に至るコース。(コースタイムは最後にあります)
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※地図の赤い線が今回のコース 国土地理院
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8:37 橿原神宮前駅のコインロッカーに余分な荷物を預け、近鉄南大阪線準急に乗り込む。
9:00 二上山駅に到着。
9:07 駅前の自販機で水を補給して出発。
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≪二上山駅≫ ≪登山口への道標≫
踏切を渡って駅の南側に出たところで、「どんづる峯」と「二上山登山口」への道標があった。
道標の矢印に従って右折。今日も気温は30度を超えそう。朝から真夏のような日差しが照り付ける。
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≪二上山登山口≫ ≪一つ目の分岐≫
9:20 二上山の登山開始。上ノ池登山道を山頂に向かう。
9:32 一つ目の分岐に至る。地元のハイカーの方から、「写真を撮るなら左の道が良いよ」と言われて、素直に左へ。
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≪二つ目の分岐≫
9:42 二つ目の分岐に到着。
道標には左に「雄岳山頂1.5K」とある。
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目の前には直進の道があるのに大きな案内板には左の道だけ。誰かがボールペンで書き込んだ線(白矢印)はあるが・・・。
左脇にも小さな案内板があって、これにはどちらのコースでも同じところに出るように描かれてある。
ガイドブック【山と渓谷社 奈良の山】では、「ここは直進しよう」と書いてあるので、今回は道標に逆らって直進。
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木漏れ日が美しいシダの群生を右に見ながら、次第に高度を上げる。
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≪二上神社口分岐≫
9:51 二上神社口分岐に到着。ここは二上神社口駅の登山口から来るコースとの出合。ここで初めて小休止を取る。
9:55 出発。
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鉄製階段や石積み階段を登る。
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10:23 木漏れ日の尾根道を抜けると、二上山の雄岳山頂に到着。
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≪大津皇子の墓場所≫ ≪二上神社≫
雄岳山頂には、悲劇のプリンス大津皇子の墓(諸説ある)と、葛木坐二上神社(かつらぎにいますふたかみのじんじゃ)がある。
ここまでは、ウグイスの鳴き声鹿しか聞こえない静かな山歩きだったが、山頂には年季の入った関西弁山ガールが大勢いてに賑やか。
10:32 雄岳を出発。馬の背(鞍部)に下って雌岳を目指す。
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木の階段を降りて行くと、数分でまた分岐。ここは左に鋭角に折れるハズだが、反対側から来た人に聞いたら、直進すると少し先に海の見える景色の良いところがあるらしい。
奈良県でなぜ海が見えるか不思議に思いながら、行ってみることに・・・。
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10:41 ベンチがたくさんある眺めの良い広場に到着。
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景色を眺めながら「ここは何処だろう?」と思っていたところへ、年配の男性が一人現れた。ここは大阪だと教えてもらった。
明石海峡や「あべのハルカス」も見えるらしいが、今日はガスっていてザンネン。
この人が大変親切な方で、なんと20分近くも色々と解説してしてくれた。
PL教団花火大会を見るには、この場所が一番きれいなのだそうで、その時は大勢の人がここまで登って来るらしい。大阪側からの登山道は、夜道でも歩けるのだろうか?
いつまでもここに居るわけにはいかないので、話の切れ目で強引に礼を言って馬の背の方に歩き出したら、この大阪人も私と肩を並べて歩き出した。
「この辺りにはクマは出るのか?」と聞いたら、「金剛山や吉野山では目撃されたと聞いているが、二上山ではクマは絶対に出ない」とキッパリ言っていたが、本人はシッカリと熊除けベルを鳴らしながら歩いていた。
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≪雄岳、雌岳の鞍部(馬の背)≫
11:02 馬の背で大阪のオッチャンと別れ、ここでは休まずに雌岳に向かう。
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≪雌岳頂上≫
11:08 「二上山 雌岳」に到着。山頂広場には大きな日時計。
周りのベンチで、大勢のハイカー(ほとんどオバチャン)が弁当を広げていた。
私は弁当を持っていないので、非常食のチョコレートを取り出したが暑さでドロドロ。「アミノ酸と蜂蜜」のゼリー飲料をススってエネルギー補給。
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≪大和盆地≫
この雌岳から、昨日歩いた「大和三山」巡りのパノラマ写真を撮るつもりだったが、連日の猛暑のせいか大和平野が霞んでいる。
右に畝傍山(うねびやま)、左に耳成山(みみなしやま)らしい山影が薄っすらと見える。
中央には天香具山(あまのかぐやま)が見えているのかも・・・?
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11:20 雌岳山頂を出発。岩屋方面の道標に従って下山。
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≪岩屋峠≫
11:32 岩屋峠に到着。日当たりの良いベンチでは、トカゲも日向ぼっこ。
この岩屋峠は大和朝廷のころ、大和盆地から河内に抜ける「峠越えルート」の一つだったらしく、今回の山歩きも「奈良の古道」の一つを歩いたことになるようだ。
この岩屋峠から20~30m右に下って、岩屋を見学。
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≪史跡 岩屋≫
ここは、悲運のお姫様「中将姫」が、これから訪れる當麻寺の本尊「當麻曼荼羅(たいままんだら)」を織った場所とされる。
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台風で倒れたという大木の下を無理やりくぐって、岩屋峠に戻る。
11:46 道標に従い、祐泉寺方向に向かう。
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杉林の中をドンドン下りて行く。
11:59 水場に到着。冷たい水で顔を洗い、一口だけ飲む。
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≪祐泉寺≫
水場からは登山道もウェットな状態なので慎重に歩く。
12:10 祐泉寺に到着。この山門も登山道の入口になっているようだ。 
祐泉寺前で地道の登山道は終了し、幅は狭いが舗装された林道になる。
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≪鳥谷口古墳≫ ≪傘堂≫
12:23 鳥谷口古墳前を通過。
12:29 傘堂に到着。
傘堂を眺めながら、シバシ日陰で小休止。祐泉寺を過ぎてからは日陰が少なく、汗が噴き出す。
12:40 傘堂を出発。
12:50 當麻寺奥院に到着。
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≪當麻寺奥院 浄土庭園≫
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浄土庭園は、名物の牡丹はほぼ終了で、蓮の花はこれからという感じ。
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東塔と西塔の二棟の三重塔を一緒に写真に収められる場所、というのを事前に調べて来たのだが、ナント、西塔が工事中で見えず。ザンネン!。
下り斜面の境内をさらに進んで、當麻寺本堂前に到着。
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≪本堂前の中将姫像≫
悲運の中で仏門に入り、若くして浄土に旅立ったといわれる中将姫伝説。
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≪當麻寺 伽藍三堂≫
當麻寺伽藍三堂(中央本堂、左金堂、右講堂)を拝観。
まず本堂で中将姫が織り上げたと言う、本尊の「當麻曼荼羅」を参拝。本堂内にある中将姫の像は必見!
つづいて金堂。楽しみにして来た四天王像とやっとご対面、と思ったら、二体が修理中でお留守。金堂と講堂には大勢の白衣の人々がいて、修復作業中の様子。
西塔も金堂内部も講堂内部も修復中で、まともに落ち着いて見られたのは、本堂だけでした。よく調べてこなかった私が悪いのですが・・・。
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14:00 仁王門を出たところで、當麻寺拝観終了。門前の蕎麦屋で「せいろそば」大盛で遅い昼食。
14:20 門前町をトボトボ歩いて、近鉄の当麻寺駅に向かう。
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カラフルな色付きのマンホールの蓋。工事中だった西塔も、ここでは東塔と並んで見られる。
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≪近鉄 當麻寺駅≫ ≪二上山≫
14:32 當麻寺駅に無事到着。
橿原神宮前駅に向かう電車の窓から、今日登った二上山が美しい。
これで今日の予定は終了・・・のハズだったが、昨夜行った橿原神宮駅前近くの小料理屋で、親しくなった観光客のご夫婦?と店の親方から「ぜひ行くべきだ」と勧められたので、このまま「今井町」に行く。八木西口下車。
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≪今井町 重要伝統的建造物群保存地区≫
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昔の町並みが、数ブロックに渡って完璧に保存されていた。
最近は、真新しい古民家が並び、お土産屋だらけの「古い町並み」が全国的に増えているが、この町は見事に生活感も残されている。
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マンホールの蓋まで、古い町並みでした。
今日は、奈良駅前のホテルに泊まる。
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〇二上山登山コースタイム
近鉄二上山駅-(13')→上ノ池登山口-(12')→一つ目の分岐-(10')→二つ目の分岐-(9')→二上神社口分岐-(28')→雄岳頂上-(9')→大阪側が見える広場-(7')→鞍部(馬の背)-(6')→雌岳頂上-(12')→岩屋峠-(2')→岩屋-(2')→岩屋峠-(13')→水場-(6')→祐泉寺-(13')→鳥谷口古墳-(6')→傘堂-(10')→當麻寺奥院(10')當麻寺-(12')→近鉄当麻寺駅
歩いた時間:3時間
※當麻寺の奥院から仁王門までを10分としました。
歩いた距離:7.5km
所要時間:5時間10分
※當麻寺参拝には1時間10分ほどかかりました。
歩いた人:65歳男性一人旅、体力:年相応