私としては見逃せない監督 クリント・イーストウッドの最新作。それも冤罪をテーマにした人間味溢れる作品。アトランタオリンピックの最中に実際に起こった爆破テロの時限爆弾をいち早く見つけ被害の拡大を防いだ主人公がテロの容疑者とされてゆくさま、それと彼を助ける弁護士の友情と闘う姿を描いた秀作。
主人公にポール・ウォルター・ハウザー、友人の弁護士に『スリー・ビルボード』などのサム・ロックウェル、母親役に『アバウト・シュミット』などのキャシー・ベイツ、そして 『ライフ・イット・セルフ』のオリヴィア・ワイルドがにくまれ役を買って出ているが彼女もまた好演。これら全ての登場人物が彼らの素晴らしい演技でとてもリアルで見ごたえのある作品になっている。
メディアの攻撃のために彼を見る見方が容赦なく変化してゆくさまが、たんたんと描かれてゆく。特に誇張した効果音や演出も殆どなく、唯一観客の感情に強く訴えかけたのが リチャード・ジュエルが悪夢にさいなまれる一瞬。終盤、息子の人間としての尊厳を取り戻すために母親が訴えた真実、そして心を振り絞って訴えた主人公の言葉と人間性が心を打つ。
クリント・イーストウッド監督『リチャード・ジュエル』日本版予告編
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