闇の中の薔薇 『玉ノ井夜想 ～大江匡とお雪～』「濹東奇譚」を訪ねて

永井荷風さんの作品に触れ
その世界の下町あたりを散策
狭い路地裏迷宮を歩いていると
いつのまにか…
夕暮れから夜へと移り変わる
やがて、闇と迷路が私の足を止める

何かの気配に振り向くと
私の背丈を越える高さから
一輪の薔薇がこちらを見ていた

黙って語りかけるその言葉を聴きながら
なにかわからないが
こみあげる思いに包まれてゆく

生きる、生きていた
生きようとした、生きた…

月光にしょんぼりと照らされた姿に
真剣なまなざしを感じた

「声を掛けてくれて、ありがとう…」
　と、心の中でつぶやいた

「あなたをわすれません」
　と、真っ直ぐ彼女をみつめた

その夜、私はさらに闇の中を彷徨った

あれからもう一度小雪が舞った
あの薔薇はどうしているのだろう




＜ひとり語り＞

『 玉ノ井夜想 大江匡 と お雪 』

　　　　　　 よみ手　長浜奈津子

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会場 ストライプハウスギャラリー　３階スペース

　　　　〒106-0032 東京都港区六本木5-10-33-3F
　　　　TEL：03-3405-8108　※ 入場料 1,500円


日時 平成26年　3月

28日（金）／ 夜の部 午後七時
29日（土）／ 昼の部 午後二時 ・ 夜の部 午後六時
30日（日）／ 昼の部 午後三時

＊開場時間は、各開演時間の30分前です。