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本 人の縁とは不思議なもので…/さだまさし

2024年11月02日 | ブックレビュー

 こちらはさだまさしが出した初めての本。発行が昭和51年3月なので私は小学校を卒業する頃。すぐ重版がかかったようで4月の段階では既に4刷になってます。

 兄が買ってきたのですが私もすぐに読みました。兄はグレープのセイヤングを毎週録音してて私もそれを聞いてたので、出版前から注目していた本ではありました。もう何回も読んでますが、ちゃんと最初から最後まで読んだのは数十年ぶり。

 目次は画像の通りですが、中学生の頃は千葉とか東京の地名や距離感がまったくわからず、学生時代のバイトの描写も「ふ~ん」と思ってただけでしたが、今読むとあれこれよくわかります。昔読んだ時よりは大人になってからの方が圧倒的に面白いです。

 

 やはり気になるのは「栄光の相棒伝」であって、グレープの吉田政美の事を書いているわけですが、こちらも当時の二人の関係がよくわかって大変興味深いです。吉田氏が箱バンの仕事をすっぽかして車で長崎まで来てしまい、一時は大変な事態だったようですが、それがきっかけでデュオを結成したと。

 中学生の頃に読んだ時は「ふ~ん」という感じですが、色々世の中の事を知った今では、キャバレー周りのバンドに入ってプロのミュージシャンになったものの、その世界に染まって行きつつある友人を心配するさだまさしの気持ちはよくわかります。そんな中、彼の部屋でジャズの専門書を見つけて少しほっとしたという話もありました。

 もっとも、突然グループを結成したわけではなく、それまでの交友関係やバイト先の様子を見ていると、さだまさしには吸引力があるというか魅力があって、色んな人が寄ってくるのですね。その中では頼ったり頼られたりというのもありますが、単に音楽的な才能が注目されてるだけじゃなくそれこそ人間力といいますか。

 ただ、この本では音大への進学をあきらめた経緯は書かれておらず、それについては新書で出してた「本気で言いたいことがある」という本が詳しいです。こちらの「本」を読んだ段階では、「この人はバイオリンをやりに東京に来たのに、なぜ普通の高校に通って、しかもさぼってばかりいるんだろう?」と不思議に思った記憶があります。

 なお、この本には「戯曲 朝刊 -蔵太家の場合-」というのが収録されており、これは実際に上演されたものの様子。その配役はこのようになっています。

 グレープと同じ事務所だったクラフトのメンバーが演じてます。それにしても、浜田金吾さんにとっては黒歴史かもしれません。私は再演を望みたいですが絶対やらんでしょうね。


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