6 ~慕情~
「どうして目を覚ましてくれないの・・・」
夢の中で彼女と会っているからなの? 私には会いたくないの?
あの警察の人が言ったことは本当なの? もう、私を愛してないの・・・?
私の愛を裏切ったの・・?
キョンホssi・・・目を覚まして。
・・・恐くても確かめなくてはいけない。あなたの口から本当のことを聞かせて。
私・・恐い・・・
あの人に会うのが恐いのよ・・・
引き込まれそうなこの気持ちは何なの・・・
あの人の声を聞いてるだけで震えそうだった。
なのに、もっと聞いていたいのはどうして?
彼と目を合わせただけで心臓が射貫かれるみたいで・・ あの人の目から離せなくて、じっと見つめた私をなんて思ったかしら・・・ こんなこといけないのに・・・
彼はあの人の夫よ?
お互い辛い立場同士だから、錯覚してるのよ。
あの優しさに触れていたいと思うなんて・・どうかしてるわ・・・
「お願い、キョンホssi、早く目を覚まして。このままじゃ、私・・・」
ソヨンは夫のベッドの横で語りかけながら、涙を流していた。眠る夫に“ごめんなさい”と謝るように。
あれから毎日僕は病院に通った。
彼女が来そうな時間は何となくわかっていたから、会うのは難しくなかった。
そして、会えばあのカフェに彼女を誘うのが僕の決まりだった。
僕たちは不倫相手の夫と妻という特殊な関係だったから、好奇の目で見られることも病院の中ではよくあったし、そのことが僕と彼女を傷つけているというのも事実だった。
実際、仕事しながら毎日通うのは、疲れを覚えてしまう。
仕事と病院と家の往復。
長い一日の中で、唯一心が休まる場所が欲しかった。
だから、少しの休息のためにカフェに誘ったんだ。
それだけ?
いや・・違う
寂しさを紛らわしたいのか?
・・・それも違う
僕が・・・彼女に会いたいんだ。
そのことに気付き始めてから、僕の瞳にはスジンではなく、彼女が色鮮やかに映るようになった。
----こんなことになったスジンを、僕はもう愛してないということか?----
----だから、彼女に惹かれたのか?----
自問自答する日々。
すべてに‘そうだ’とも‘違う’とも言えた。
どこにも答えを見出すことは出来なかったが、わかったことがひとつだけあった。
僕の心は彼女に向かっている。
とうとう・・自分の気持ちに耳を傾けてしまった。
---- 好きになってはいけない人だ ----
僕が何者かもわかっているのに・・・スジンがいるじゃないか・・・。
それでも貴方の夫を今も愛してるのか、君に聞くのはいけないことなんだろうか・・・。
映画のクランクインと同時にUPされた写真にがーんときて 一気に書きあげた創作です
映画と話は違うけど、楽しんでくれたら嬉しいな