今日は私の50歳の誕生日。
この人生の節目となる日を,私は新大阪の一泊5980円のビジネスホテルで迎えました。
朝,私の携帯にメールが入った。フランスにいる家族からだろう,という期待をもって確認すると,つい数日前,晩飯を奢ってやった甥からのおめでとうメールでした。
(フランスはまだ31日だからね)
心の中で気休めをいいます。
しかし,フランスの夜が明ける時間になっても家族からのメールはこない。
(観光に夢中で,忘れちゃったのかな)
寂しさがしみじみとこみあげてきます。
自分は誰のために働いてきたんだろう。
50年間,何のために生きてきたんだろう…。
家族が日本にいないことを知った会社の同僚は,この日,飲み会を企画してくれましたが,あいにく大阪出張が入ったためにそれもキャンセル。
ただ大阪での仕事は予定より早く終わったので,8時過ぎには埼玉の自宅に帰れそう。一人だけ一足さきに昨日帰国していた次女にメールを送ります。
「夜,どうするの?」
「お誕生日おめでとう。今日はお料理学校行くから帰るの遅くなる。夜は外で食べてきて」
とつれない返事。
別の相手を探そうと,新幹線が東京駅に着いてから,何人かにメールするも,みな約束があったり,すでに家に帰る電車の中だったり…。
(しかたないなあ,一人で飲むか)
池袋の「ビラウカオ(白い鳩)」というタイレストランで,ひとり「ガッパオカイ」(鶏バジルご飯目玉焼きのせ)を食べ,
(さて,韓国バーにでも行くか)
とぶらぶら歩き始めたとき,ありがたいことに,このブログのコメンテーターの一人からメールがありました。
「今晩,空いてませんか?」
まったくの偶然で,相手は私の誕生日であることも認識していませんでしたが,ひとまず「独りぼっちのバースデー」だけは避けることができました。
(持つべきものは友だなあ)
家に帰ったのは,4月1日がもう終わりそうな時刻。
すでに料理学校から帰っていた次女は,
「今日,これ作ったの」
と,冷蔵庫から取り出す。大きなラズベリームースのバースデーケーキでした。
「すごい! こんなの作れるようになったんだ。ずいぶん上達したね」
「あ,それから洋服ダンスの二番目の引き出し開けてみて」
言われるままに開けてみると,お酒のボトルとカードが入っていました。カードには…
「Papa♡♡
ハッピーバースデー
いつも家族のために一生懸命働いてくれて本当にありがとう。
フランスに一緒にいけなかったのは残念。
いつも優しいパパのことがみんな大すきだよ!!!
これからも長生きしてね」
妻と4人の娘の連名でした。
ボトルは「越乃寒梅」750㎖。いわずと知れた日本酒の逸品です。
次女によれば,すでにフランスに出発する前に用意していたもの。今日一日,おめでとうメールがなかったのも,「サープライズ」のための演出だったとのこと。
ああ,持つべきものは家族だなあ。
50年生きててよかった…
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娘! 私も同感ですが,韓国ではえらく気の毒がられます。