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写真:「夕刊フジ」の休刊を伝える記事(共同通信)
現在、ほとんどリモート勤務で会社には月に2回程度しか行きません。
そんな出勤時、西武池袋線池袋駅の階段で、
朝間混雑時、左側の通路をあけてください
という表示が目につきました。
西武線池袋駅は降車用ホームと乗車用ホームが分かれているのですが、朝のラッシュ時には両側の扉が同時に開いて、乗車用ホームにも通勤・通学客がどっと降り、階段に殺到します。
そのとき、乗車する人のための上りの通路をあけておいてほしい、ということなのでしょう。
意味はわかります。ただ、「朝間」という漢字をどう読むのか?
昼間は「ひるま」だから、朝間は「あさま」?
音読みすれば「ちょうかん」?
帰宅後に三省堂国語辞典第8版で調べてみると、「あさま」は載っておらず、「ちょうかん」がありました。
ちょうかん【朝間】〔文〕朝の時間。「朝間サービス・朝間ラッシュアワー」
〔文〕は文章語を表します。もっぱら文章で使い、話し言葉では使われないということでしょう。
「朝間サービス」とは、喫茶店の「モーニングセット」のこと?
「昼間」を音読みした「ちゅうかん」は聞いたことがあります。
ちゅうかん【昼間】〔文〕ひるま。日中。「昼間人口」
で、やはり〔文〕になっています。
夜間はどうかというと、
やかん【夜間】よる(のあいだ)。「夜間営業・〔大学などの〕夜間部・夜間中学〔=夜間に中学校の授業を行う学級〕」
となっていて、〔文〕の表示がないことから、こちらは話し言葉でも使われることがわかります。
訓読みした「よるま」という言葉がないからでしょう。
夕間(ゆうかん・せきかん・ゆうま)という言葉はありませんでした。
「ちょうかん」が口語で使われないのは、「ちょうかん」というと新聞の「朝刊」を思い浮かべる人が多いからでしょう。
ところで、朝発行される新聞を朝刊、夕方発行される新聞を夕刊といいますが、日本のように同じ新聞に朝刊と夕刊がある国は珍しい。韓国で夕刊はなかったと思います。
日本でも、採算面で夕刊の発行を取りやめたり、夕刊専門紙が紙の発行をやめオンラインだけにするところが出てきています。
東京新聞は昨年夕刊がなくなりましたし、『夕刊フジ』も今年の一月に休刊になりました。
電車の中で新聞を広げている人もめっきり少なくなりました。新聞をとっていない家庭も多いらしい。
みんなニュースはスマホで読みますからね。
どの新聞も夕刊をやめるようになれば、「朝刊/夕刊」という呼び名が廃れ、「朝間(ちょうかん)」が口語としても使われるようになるかもしれません。
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