元サラリーマンの植物ウォッチング第6弾。写真はクリックすると大きくなります。
多摩ニュータウン植物記Part6
ツクツクボウシタケ・4~高尾山3号路
高尾山"3号路”で見つけた「ツクツクボウシタケ(ツクツクボウシタケ(つくつく法師茸)」。バッカクキン(麦角菌)科イサリア属の“冬虫夏草”でその名の通りツクツクボウシの幼虫に寄生する。2年前に当地の"いせまいり公園”や"大塚西公園”で見ており、ここで見た瞬間にツクツクボウシタケだとわかった。写真の一番長いもので長さは1.5センチほど。
冬虫夏草には完全型と不完全型があり、完全型は有性生殖を行うため胞子は子嚢と呼ばれる袋に入っておりこの子嚢が更に子嚢果(子嚢殻または被子器)の中にしまわれている。そのため完全型の冬虫夏草のキノコの部分(ストローマもしくは子座)を拡大すると粒々が見える。一方、不完全型は無性生殖を行っておりキノコの部分(シンネマ)の先端は粒々ではなく粉状の分生子と呼ばれる胞子が付いている。
冬虫夏草には完全型と不完全型があり、完全型は有性生殖を行うため胞子は子嚢と呼ばれる袋に入っておりこの子嚢が更に子嚢果(子嚢殻または被子器)の中にしまわれている。そのため完全型の冬虫夏草のキノコの部分(ストローマもしくは子座)を拡大すると粒々が見える。一方、不完全型は無性生殖を行っておりキノコの部分(シンネマ)の先端は粒々ではなく粉状の分生子と呼ばれる胞子が付いている。
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スベリヒユ・4~閉鎖花タイプ
ヒユ科スベリヒユ属の「スベリヒユ(滑りひゆ※)」。陽当たりの良い畑地や路傍に生える一年草で花期は7〜9月。花は午前中に咲き午後には萎んでしまう。植物観察を始めた頃、道端でスベリヒユを良く見ていたが花はなかなか見つからなかった。その後、違う場所で開花株を見つけどうやらスベリヒユには閉鎖花があるのではないかと思い始めたが、図鑑などではスベリヒユの閉鎖花についての記載は無くわからないままだった。
先日のスベリヒユの記事に、日本生態学会第66回全国大会(2019年3月)での講演『スベリヒユにおける花生産の二型性:開放花型と閉鎖花型の発見』( 講演者:古川知代、板垣智之、酒井聡樹(東北大学大学院))があったというコメントを頂戴した。講演の概要は以下の通りになる。
『虫媒花の花には開放花と閉鎖花という二種類の形態がある。多くの閉鎖花性の種は個体内に開放花と閉鎖花の両方を生産する。そして、環境条件によって可塑的にそれらへの投資量を変えることで、資源やポリネーター量が変動する環境に適応しているとされてきた。しかしながら開放花と閉鎖花の生産量の変異は可塑性のみによってのみもたらされるものではなく、環境条件の大きく異なる集団間では、遺伝的な変異も生じうる。
スベリヒユにおいて気象条件に対応する様子を観察した結果、開放花・閉鎖花生産が遺伝的に分化していることが明らかになった。スベリヒユは開放花のみを産する個体(開放花型)と閉鎖花のみを生産する個体(閉鎖花型)が観察され、開放花型・閉鎖花型の子個体は全て開放花型・閉鎖花型となったことから、花生産は遺伝し、スベリヒユには花生産の異なる二型があることが示唆された。気温の低い地域ほど閉鎖花型の出現率が高かった。閉鎖花型は開放花型よりも早くに繁殖を開始する傾向にあることから、花期が短いために早く繁殖することが求められる気温の低い地域で有利になるのかもしれない。反対に、開放花の開花率は低温条件で下がったことから、開放花型は、気温の低い地域では他殖の可能性が低いために不利になる可能性が考えられた。本研究によって、スベリヒユでは、気象条件に対応して花生産が遺伝的に分化している可能性が示唆された。』
これでスベリヒユにはやはり閉鎖花タイプがあるということが確認できた。
※ひゆの漢字は草かんむりに見。
先日のスベリヒユの記事に、日本生態学会第66回全国大会(2019年3月)での講演『スベリヒユにおける花生産の二型性:開放花型と閉鎖花型の発見』( 講演者:古川知代、板垣智之、酒井聡樹(東北大学大学院))があったというコメントを頂戴した。講演の概要は以下の通りになる。
『虫媒花の花には開放花と閉鎖花という二種類の形態がある。多くの閉鎖花性の種は個体内に開放花と閉鎖花の両方を生産する。そして、環境条件によって可塑的にそれらへの投資量を変えることで、資源やポリネーター量が変動する環境に適応しているとされてきた。しかしながら開放花と閉鎖花の生産量の変異は可塑性のみによってのみもたらされるものではなく、環境条件の大きく異なる集団間では、遺伝的な変異も生じうる。
スベリヒユにおいて気象条件に対応する様子を観察した結果、開放花・閉鎖花生産が遺伝的に分化していることが明らかになった。スベリヒユは開放花のみを産する個体(開放花型)と閉鎖花のみを生産する個体(閉鎖花型)が観察され、開放花型・閉鎖花型の子個体は全て開放花型・閉鎖花型となったことから、花生産は遺伝し、スベリヒユには花生産の異なる二型があることが示唆された。気温の低い地域ほど閉鎖花型の出現率が高かった。閉鎖花型は開放花型よりも早くに繁殖を開始する傾向にあることから、花期が短いために早く繁殖することが求められる気温の低い地域で有利になるのかもしれない。反対に、開放花の開花率は低温条件で下がったことから、開放花型は、気温の低い地域では他殖の可能性が低いために不利になる可能性が考えられた。本研究によって、スベリヒユでは、気象条件に対応して花生産が遺伝的に分化している可能性が示唆された。』
これでスベリヒユにはやはり閉鎖花タイプがあるということが確認できた。
※ひゆの漢字は草かんむりに見。
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