とんどさん

とんどさん

　今日は朝からとんど焼きだった。
ここ最近は不幸事が続いていたので、久しぶ
りで楽しかった。

　朝、自分の家からいつものとんどさんの場
所が見えるので、人が歩いているのが見えた
ら行こうと思って、時々見ていた。
　しかし、いつまでたっても人が歩いている
姿も、燃やし始めの煙も見えない。
いつまでも待っていても仕方が無いので、し
め縄などを一輪車に積んでいつもの場所まで
歩き始めた。

　目的地に近づくと、もう少し離れた場所で
煙が上がり始めていた。
　そちらの方に近づくと、何人かが集まって
とんどさんが始まっていた。
いつもの場所は、昨年末からイノシシよけの
フェンスや電線が張られていて、狭くなって
しまっていたので、急遽場所が変更されたと
のことだった。どうりでいつまでも人が見え
ないはずだ。

　場所は変わったが、無事にとんどさんが始
まっていた。
　村の人があつまって、正月飾りを燃やす。
子供がいたときは、書き初めを燃やして、そ
の燃えカスを天高く昇らせて、字の上達を
願ったりしていた。
しかし、もう村には小学生がいなく、書き初
めが燃えて飛んで行くところを、見ることは
長い間見ていない。

　シバや薪が燃えて、炭火が出来てきたら、
餅焼き開始。とんどさんの火で焼いたもちを
食べて、一年の無病息災を祈る。
　今年は新年早々インフルエンザにかかって
いたので、もう少し早くとんどさんがあった
ら、助かっていたかもしれないなと思いなが
ら、お餅を味わう。
炭火で焼いた餅は、オーブントースターで焼
いたものよりも香ばしい。炭は燃料であり、
調味料であるとは、誰が言った言葉だったろ
うか。

　穏やかな一年が過ごせることを祈って、
残った炭火で身体を温めました。

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