先週の木曜は恒例の読書会。
図書館の先輩でもあるKさんが選んだテキストは『ふたりぐらし』
実はNHK第二の「新日曜名作座」で西田敏行さんと竹下景子さんが2人芝居していたのが『家族じまい』だった。
認知症が悪化し施設で暮らす母の様子を見るように妹に言われ、旅に出る中年夫婦の話から始まり、今の我々が見過ごせない話題が多い。
これを読書会のテキストにしたいと思い、調べてみればまだ文庫化されていない。
Kさんも同じ理由で『ふたりぐらし』にしたらしく、考えることは同じだ。
『家族じまい』が文字通り家族の終わりを描くなら『ふたりぐらし』は家族の始まりを語る。
どちらも2人きりでは成り立たない。
年老いた親は切れない糸で結ばれた、大きくて重い荷物だ。
それをどう描くかは終わりと始まりでは当然違うと思うが、どう見送るかはそんなに違わないと感じた。
新しい家族を作り始めた時点で生まれ育った家は〈実家〉になり、日々遠くなる。
あとは親の健康次第。
ベタベタと親子の情愛を強調しないのが桜木紫乃さんらしさだ。
こちらは比較的新しい作品。
タイトルそのものだが、北海道の場末のキャバレーで雑用係をする主人公と、旅回りの芸人たちとの交流を描く。
これでもかというほどの貧乏暮らし。
最底辺の人々。
でも逞しい。
ここでも親の遺骨を思いがけない方法で納骨する。
こんな発想もあるんだ。
重松清の『ひこばえ』も、母と子どもを捨てて去った父との確執を描いていたが、男性作家の優しさなのか、最後は家族集まっての供養で終わる。
どちらがいいとか悪いとかは、正直わからない。
こんな大胆な生き方は小説だから成り立つとも言いたいが、
「事実は小説よりも奇なり」とも言うし。
いや、そんなことより来年の読書会。
自身の2度目の当番に、どんなテキストを選んだらいいだろう。
後期高齢者向けのハートウォーミングな本にすべきか、自分の好きな本を選ぶべきか。
本当に好きな作家を選んで否定されたくないが、こんな翻訳本も嫌われるだろう。
それでも数年ぶりに買ってしまった文庫本。もちろん読書会を意識して。
嫌われたらご縁がなかったと身を引けばいい。そう思って自信を持って勧められる作品を選ぶことにした。
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