或る双子座の日々

這是一個雙子座的生活日記。
つれづれなるままに

微妙な空気

2005年09月26日 | ハンガリー(日常)
ブダペストは、ドナウ川を挟んでペストとブダという街がありました。
これが統合されて出来たのが首都名の由来。このブダ側には王宮や
マーチャーシュ教会・ゲッレールト温泉など名所があると同時に、
多くの外国人が暮らしています。閑静な住宅と緑に溢れた環境は
ペスト側の都会的な賑やかさ、華やかさと対照をなしています。

さて、日本と韓国を巡る微妙な空気は何も日本だけに存在するのでは
ありません。遠い欧州にいてさえ、このハンガリーに居ても気まずさ
だけはあるのです。

外国人の多く暮らすブダ側で、アジア人を見かけると日本人か韓国人
であることが大抵です。ショッピングセンターですれ違ったアジア人
から何度も顔を覗き込まれると挨拶すべきか悩みます。

男性同士は仕事の関係もあるので、日本人と分かれば無条件に挨拶を
交わすものかもしれませんが、女性同士に限って言えば基本的に無視
しあう傾向があります。それは現代日本の近所付き合いに似て、顔見
知りで既に言葉を交わしたことのある人以外は他人ということにしま
しょう、挨拶を交わすのはわずらわしいからやめましょうという暗黙
の了解のようです。

足早に気づかなかったフリをして通りすぎるのが日本人であり、知人
であるか確かめるために何度も顔を覗きこむ仕草は韓国の人と教える
手がかりになっているわけです。しかし、向こうにしてみると新しく
やってきた同胞かしらと最後まで悩むようです。

あるとき、子連れのアジア人が何度も私を振り返っていました。私は
見たことも無い人だったけれど、お子さん連れであることから小さく
微笑んでみました。こちらも一瞬、日本の方?と思いましたが、歩い
て抜き去ろうとしたとき再度目を合わせてきたので、韓国のひとだと
ピンと来ていました。あまりにも傍近くに寄ったので、思い切って
挨拶しました。私は日本人ですから、日本語で「こんにちは」と。

最後まで思案顔だった彼女は一瞬にして表情を変え、ハンッと一笑して
「コリアン」と英語で答えてきました。私は、今ごろ気づいたフリを
して「はー、それじゃ、アンニョンハセヨ」と笑ってみました。すると
相手はよほど意外だったと見えて「はぁ、アンニョンハセヨねぇ、
ブツブツ」という感じで困ったようでした。それ以上何も言わず、
そのまま何事も無かったように離れました。

短いやりとりでしたが、ドキドキしました。反日教育を受けて育った
であろう自分と同じくらいの女性。日本人が自分たちの言葉で挨拶を
してきたことに意表をつかれたような表情を見て、自分は正しかった
に違いないと思った出来事でした。目の前にいる日本人が果たして
言葉の通じない血も通わない人間に見えますか、という投げかけに
なったと思うのです。私と同じように彼女もドキドキしていたこと
だろうと思います。

両国の関係がどうであろうと、一人の人間として、気まずさから萎縮
するのでなく挨拶というポジティブな行動を起こせた勇気を今後も
もちつづけたいなと思っています。
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