一般質問 3
生徒指導提要について
Q1:生徒指導提要とは
A1(教育振興部長):文部科学省が作成した生徒指導に関する学校、教職員向けの基本書。小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論や考え方、実際の指導方法等を時代の変化に即して網羅的にまとめたもの。
平成22年に作成されて以来12年ぶりの改訂。背景として、近年いじめの重大事態や暴力行為の発生件数、不登校児童生徒数、児童生徒の自殺者数の増加など課題が深刻化している。また、いじめ防止対策推進法や義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律等が施行されるなど、今日的な状況を踏まえ、生徒指導の概念、取組の方向性等を再整備する必要があった。
Q2:今回の改訂では校則についてホームページ等での公開、制定背景の明示、見直す場合の手続や過程を示すことが求められる。見直しがなされた詳しい内容は?
A1:生徒指導提要(案)は、校則について普段から学校内外の人が参照できるように学校のホームページに公開すること、校則を制定した背景について示すことが適切と加えられた。
また、運用として、校則に基づく指導を行う場合に校則を守らせることにこだわるのではなく、何のために設けた決まりか、教職員が背景や理由を理解し、児童生徒も自分事として意味を理解し自主的に校則を守るように指導していくことが重要としている。
また、校則の見直しはより具体的な取組例が加えられ、児童生徒や保護者から意見を聞くこと、校則見直しの変更プロセスを明示化することが望ましいとされる。
校則を制定して一定の期間が経過し、学校や地域の状況、社会の変化を踏まえて、校則の意義を適切に説明できないものは、改めて学校の教育目的に照らして適切な内容か、現状に合う内容に変更する必要はないのか、また、本当に必要なものか、絶えず見直す必要があると書かれている。
さらに、校則により、教育的意義に照らしても不要に行動が制限されるなど、影響を受けている児童生徒がないか等、見直しを図ることも示されている。
校則は、児童生徒や保護者等の学校関係者からの意見を聴取した上で定めることが望ましい。見直しは毎年度の生徒会や保護者会等の機会で校則について確認し、議論する機会を設けるなど、絶えず積極的に見直すことが必要と書かれている。
見直す際に児童生徒が主体的に参加することは、学校のルールを無批判的に受け入れるのではなく、児童生徒自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有する。校則を作成したり、見直す必要がある場合にどのような手続を踏むべきか、その過程について示すことが望ましい。
Q3:生徒指導提要の変更に伴う三木市教育委員会の対応
A3:今後、改訂される生徒指導提要の内容を踏まえて学校の教育活動全体を通じ、学習指導と関連づけながら生徒指導の一層の充実を図っていく。
特に、校則は、児童生徒が校則を自分のものとして捉え自主的に守ることが出来るよう、児童生徒の意思決定と合意形成を基盤とした校則の見直しを積極的に各学校で行いたい。
2回目以降
(板東)今回、質問するに当たって、令和3年度と令和4年度の三木市内の各中学校の校則について取り寄せをした。多くの学校で、この1年間の間で校則の見直しがなされている形跡があった。
Q:(この間)どういう国の通達があったのか、また、市の教育委員会からどのような指導がこの間出されたのか。
A:校則の改定は、ここ何年かの間で、特に中学校は校則の改定が少しずつ進んでいる。この間の取組は、特段生徒指導提要の見直しではなく、子どもの人権を大切にすることは、本市が従来から特に人権教育等で力を入れてきた影響と、自主的な生徒指導、特に特別活動の取組と、影響により、少しずつ校則の見直し、特に生徒会等と連携した見直しが進んできている。特に通知はない。
Q:学校によっては令和3年度にツーブロックの禁止が令和4年には改訂されていた。校則には書かれていないけども、運用は実際にはツーブロックは禁止だということはないのか。
A:昨年度にツーブロック禁止の文言があった中学校もある。統一されてないが、ツーブロックでも清潔であればオーケーとする中学校もある。今は運用面でツーブロックは実際駄目という中学校からの報告はない。
Q:性的マイノリティの生徒に対する配慮は、どうなっているのか?
A:中学校では制服を今まで男子生徒はブレザーとズボン、女子はブレザーとスカートと統一をされいたが、ここ数年は例えば女子でもブレザーにズボンという選択を自由にしている。また、校則の上でも男子制服、女子制服と分けた明示が、男女分けずに制服と名称にし配慮をしている。
(板東)令和4年の校則は、全体的に世間で指摘されているようなブラック校則はなかった。ただ、まだワンポイントのソックスがいいだの悪いだのと、細かなことが書かれていることは私が中学校時代から変わってない。
気になる校則2点だけ指摘だけさせていただく。
1つは、学校へ不要なものを持ち込んだときに、場合により没収するというもの。子どもと家でも同意、納得がない中で物を没収する行為は、財産権の侵害ではないのか。
また、2つには、友達の家への宿泊は禁止するというもの。家庭内の教育に口を突っ込んでいるように思う。条文ができるに当たっては、様々な事情があったと思うが少し行き過ぎではないか。
Q:法的に問題がある校則は検討が必要ではないか。
A:今回の生徒指導提要の改訂も、校則の見直しで、社会情勢、校則が何のためにあるのか、校則の制定された背景をしっかりと説明することが必要と記載されている。生徒指導提要が出たら周知、理解も含めて検討したい。
(板東)生徒指導提要がまだ案で、発布されていないことは理解している。先進的な教育委員会は、既に(検討委員会で)議論がなされる中で、どのように変化しているかを注視しながら教育委員会がそれに対応した形で改定も行なわれている。
また、今回の改定は、熊本県などの先進的なところでは、教育長が率先して校則って何で必要なのということから、自分たちで見直す、生徒児童にとってそれが苦痛になるものであってはいけないということで改定をし、それが、全国的に広がった。そういう態度で三木市も臨んでいただきたい。
それで、生徒児童の意見表明権について、今児童の権利に関する条約の第12条の中で、児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見はその児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。また、子ども基本法の第3条3号については、すべての子どもについて、その年齢及び程度に応じて自己に直接関係するすべての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が保障されることとなっている。
この中で、文面はすばらしいが、成熟度に従って相応に考慮される、あるいは年齢及び発達に応じてと書かれているところは、読み方によってはなかなか理解するのが難しいと思う。生徒児童がまだ未熟だから、ここまでしなくてもいいんだと読み取ることもできてしまう。
そのあたりを三木市としてはぜひ今回の見直しの提要の内容に沿った形で、あくまでも子どもが第一に考える。その中での未熟であったりする部分を差し引くという考え方に立つことが大事。未熟であることを前提に考えられるとまた、全然この解釈の仕方が違ってくる。十分留意していただきたい。
(板東)全国的な傾向として、みんなの前で校則違反を叱責する等、生徒を萎縮させる指導が多くある。
Q:生徒は指導のされ方に対して意見を言うということも今回ではできるのか。
A:指導は、校則違反にかかわらず、教員には懲戒権がある。生徒の発達、成長にいい影響がないなということであれば指導をする。その場合に、生徒が威圧的だと言えないことはない。やはり生徒と教員との根底にある信頼関係が一番大事と考える。
(板東)生徒と教師の信頼関係は当然と思う。ただ、実際現場の中で、怒られるときはあくまでも上と下の関係であって、信頼関係だけではない。言いたくても物が言えないことも多い。そこに配慮が必要。
教育委員会であったり、教師、生徒、保護者、また、地域住民というのが今回の生徒指導提要、あくまでも教師向けの内容ですが、非常にすばらしい内容となっている。皆さんに理解していただいて、みんなで連携して子どもたちのよりよい成長のために努力をしていただきたい。