母の付き添いで泌尿器科に行った時のお話。
母が診察中、ひとりのおじさんがやって来た。午後のちょうど空いた時間だった。おじさんは60半ば位だろうか、つかつかと受付へ行き、周りを気にしながら一言。「バイアグラ20個」若い看護師の女の子が暫く宙を仰ぐ。するとおじさん「ジュリーやったか?ジェリーやったかな?安い奴?」隣にいたメガネの看護師がすかさず「ジェネリックですか?ありますよ」「一度買ったけん知っとったい」何故かおじさん、食い気味に返す。「しばらくお待ち下さい」おじさんは私から離れた席に座った。恥ずかしいのか落ち着かない様子で何か独り言を呟いている。私もジロジロ見る訳にもいかず、看護師達も黙って薬を用意している。「◯◯さん、お待たせしました」妙な時間が終わる。
「21,600円です」一回1,080円…「3万からいいかいな?」「ではお薬です」袋に入った箱を渡す。それを受け取るとすぐに帰ろうとする。「お釣りです!」おじさん、引返し「忘れとったぁ、すまんすまん」小走りに帰るおじさんに2人の看護師が声を揃えて 「お大事に‼︎」