116:
私はインエクセスのクルーたちの制止を振り切り、MSデッキへ走っ
た。コクピットに滑り込み、カタパルトも使わず緊急発進する。
「ユカ…ユカは、オマエを許すかも知れん。が、オマエは私の大切な同
志を殺し過ぎた。ユカは許しても、私にはオマエを倒す十分な理由があ
る。私がこの手で引導を渡してやるのが、せめてもの情けだ!」
だがその時、ノクチュルヌの前方で白い光が広がった。
『お願い…ユマを、許してあげて…』
『ユカ、止めるな。君の妹であることを差し引いても、私には到底、彼
女を許せないのだ』
『判るわ。ユマは貴方の大切な人を殺した。でも…』
ユカの思念がノクチュルヌのコクピットに入り込んで行く。ノクチュ
ルヌのハッチが跳ね上がり、ユマがシートで頭を抱えているのが見えた。
『オマエは一体、何者だ…何故、私の邪魔をする!?』
『貴女は戦う意志など持っていない。悪いのは、貴女を戦いに利用した
人達なのよ』
『バカな!私は利用されてなどいない!』
『貴女は、ユマ=カザァマ。私の妹…』
『違う!私はオマエなど知らん!』
ユマは耳を押さえた。
『大佐の所へ行きなさい。大佐はきっと、貴女を許してくれる…』
140:
『不愉快なヤツどもっ!』
ユマは絶叫し、ノクチュルヌのハッチを閉ざした。
『オマエを殺せば、耳障りな亡霊も消える!』
「未だ目を覚まさないのかッ!」
私は絶望的な気分になった。
HMX-000 ノクチュルヌ
・敵を撃破した:235
・白兵戦に移行する:049
・撃破された:059
235:
半壊状態のコクピットが開いた。ユマは膝を抱え、子供のように丸く
なっている。
『ユマ…大佐の所へ行くのよ。大佐は優しいわ。きっと、貴女を受け止
めてくれる…』
ユカの声に、ユマは虚ろな目を開いた。
最早、私の心からユマに対する憎悪は消え去っていた。そうなのだ。
この娘も、偏屈な物の見方しか出来ぬ人間共の玩具にされた犠牲者なの
だ。それに、ユカは自分を殺した相手に向かい、一生懸命に手を差し伸
べている。彼女の想いを、私は受け止めてやる義務があるとは思わんか?
「おいで…ユマ。ユカが呼んでいる…」
ハッチを開け、私は手を差し伸べた。
061:
「姉さん…いいのね?大佐の所へ行って?」
ユマは半覚醒状態で立ち上がった。
宇宙にユマの身体が躍った。今、彼女は総てのモノから自由だった。
400:
だが、私は細いユマの身を抱き締めた時、彼女の精神に変動が生じた
ことを知った。ユカによって総ての呪縛から解き放たれた瞬間、緊張の
極みにあった精神は、一気に弛緩してしまったのだ。彼女の顔は幸せそ
うだったが、崩壊した自我は当分、元に戻れないだろう。
微笑を浮かべて寄りかかって来るユマの身体をコクピット内に引っ張
り込もうとした時、半壊状態のザクⅢが流れて来た。
「ダンジダン…貴公もインエクセスに帰りたいのか」
私は呟き、MSのハッチを閉じた。ザクⅢのハッチを開けると、ダン
ジダンも満足気な表情を浮かべ、安らかな死顔で横たわっていた。その
顔を見て、膝の上で無邪気な目をしているユマを見ている内に、私の心
中に理不尽な怒りが込み上げて来た。
「…何故、何故この者たちが不幸にならねばいけないのだ。総ては偏狭
な人間、重力に魂を引かれた者たちの勝手な論理の生贄にされただけで
はないか。その様な腐った者共のため、地球が汚されるなど言語道断だ。
私が粛清を行ってやるっ!」
コクピットの中で、私は拳を固めてコンソールパネルを叩いた。
で、エピローグに続きます。
ユカが精神病棟にいることと、叛乱の準備について語られます。
ちゅーこって、やってきましたがゲームブックも手持ちが尽きました。
ので、火曜日はこれ以降は何をしようか思案中です。
なので、リクエストがありましたらコメント欄にお願いします。
もしかしたら、このリソースを更新に充てる方がよいかも。
私はインエクセスのクルーたちの制止を振り切り、MSデッキへ走っ
た。コクピットに滑り込み、カタパルトも使わず緊急発進する。
「ユカ…ユカは、オマエを許すかも知れん。が、オマエは私の大切な同
志を殺し過ぎた。ユカは許しても、私にはオマエを倒す十分な理由があ
る。私がこの手で引導を渡してやるのが、せめてもの情けだ!」
だがその時、ノクチュルヌの前方で白い光が広がった。
『お願い…ユマを、許してあげて…』
『ユカ、止めるな。君の妹であることを差し引いても、私には到底、彼
女を許せないのだ』
『判るわ。ユマは貴方の大切な人を殺した。でも…』
ユカの思念がノクチュルヌのコクピットに入り込んで行く。ノクチュ
ルヌのハッチが跳ね上がり、ユマがシートで頭を抱えているのが見えた。
『オマエは一体、何者だ…何故、私の邪魔をする!?』
『貴女は戦う意志など持っていない。悪いのは、貴女を戦いに利用した
人達なのよ』
『バカな!私は利用されてなどいない!』
『貴女は、ユマ=カザァマ。私の妹…』
『違う!私はオマエなど知らん!』
ユマは耳を押さえた。
『大佐の所へ行きなさい。大佐はきっと、貴女を許してくれる…』
140:
『不愉快なヤツどもっ!』
ユマは絶叫し、ノクチュルヌのハッチを閉ざした。
『オマエを殺せば、耳障りな亡霊も消える!』
「未だ目を覚まさないのかッ!」
私は絶望的な気分になった。
HMX-000 ノクチュルヌ
・敵を撃破した:235
・白兵戦に移行する:049
・撃破された:059
235:
半壊状態のコクピットが開いた。ユマは膝を抱え、子供のように丸く
なっている。
『ユマ…大佐の所へ行くのよ。大佐は優しいわ。きっと、貴女を受け止
めてくれる…』
ユカの声に、ユマは虚ろな目を開いた。
最早、私の心からユマに対する憎悪は消え去っていた。そうなのだ。
この娘も、偏屈な物の見方しか出来ぬ人間共の玩具にされた犠牲者なの
だ。それに、ユカは自分を殺した相手に向かい、一生懸命に手を差し伸
べている。彼女の想いを、私は受け止めてやる義務があるとは思わんか?
「おいで…ユマ。ユカが呼んでいる…」
ハッチを開け、私は手を差し伸べた。
061:
「姉さん…いいのね?大佐の所へ行って?」
ユマは半覚醒状態で立ち上がった。
宇宙にユマの身体が躍った。今、彼女は総てのモノから自由だった。
400:
だが、私は細いユマの身を抱き締めた時、彼女の精神に変動が生じた
ことを知った。ユカによって総ての呪縛から解き放たれた瞬間、緊張の
極みにあった精神は、一気に弛緩してしまったのだ。彼女の顔は幸せそ
うだったが、崩壊した自我は当分、元に戻れないだろう。
微笑を浮かべて寄りかかって来るユマの身体をコクピット内に引っ張
り込もうとした時、半壊状態のザクⅢが流れて来た。
「ダンジダン…貴公もインエクセスに帰りたいのか」
私は呟き、MSのハッチを閉じた。ザクⅢのハッチを開けると、ダン
ジダンも満足気な表情を浮かべ、安らかな死顔で横たわっていた。その
顔を見て、膝の上で無邪気な目をしているユマを見ている内に、私の心
中に理不尽な怒りが込み上げて来た。
「…何故、何故この者たちが不幸にならねばいけないのだ。総ては偏狭
な人間、重力に魂を引かれた者たちの勝手な論理の生贄にされただけで
はないか。その様な腐った者共のため、地球が汚されるなど言語道断だ。
私が粛清を行ってやるっ!」
コクピットの中で、私は拳を固めてコンソールパネルを叩いた。
で、エピローグに続きます。
ユカが精神病棟にいることと、叛乱の準備について語られます。
ちゅーこって、やってきましたがゲームブックも手持ちが尽きました。
ので、火曜日はこれ以降は何をしようか思案中です。
なので、リクエストがありましたらコメント欄にお願いします。
もしかしたら、このリソースを更新に充てる方がよいかも。