10月の天気のよい日、浦安の町を旧江戸川沿いにブラブラ歩いてみました。
浦安と言えばディズニーランドですが、今も『青べか物語』の町、掘割の町の雰囲気を窺うことができました。
(上の写真は、蒸気河岸(水運が盛んだった頃の定期船発着所)跡辺り。もちろん、べか舟が並んでいるはずもなく、近代的な釣り船、屋形船が係留されています。上に架かるのは東西線の鉄橋。)
猫実(ねこざね)と堀江を分ける境川沿いの風景は、『青べか物語』を彷彿とさせます。昔は水もきれいだったとか。
猫実の庚申様。狭いながらも、なぜかホッとする空間です。庚申塔(中央奥)は市指定有形文化財。
清瀧神社境内にある堀江水準標石は、明治時代のお雇い外国人でオランダ人技師のイザーク・アンネ・リンド(1848-1941)が測量の結果、江戸川河口の水位ゼロ点(Yedogawa Peil=YP)として定めたもの。(土木学会選奨土木遺産)
(上)境川西水門脇にあるリンドの顕彰碑。なかなかアートしています。
(下左)清瀧神社の狛犬は安産、子育ての神社らしく子犬も。
(下右)清瀧神社の富士塚。 清瀧神社ホームページ https://seiryuujinja.com/
(左)旧江戸川の中州の妙見島(画面中央)。コンクリートで護岸された島には、工場が立ち並んで「軍艦島」のようです。その脇を工業用の大型船が下っていきます。
(右)船圦緑道(船圦川跡)
昭和40年代後半までは船圦川が流れていましたが、埋め立てられて緑道となり、船に代わって自動車が往来しています。川は役目を終えたのか、新しい役目を得たと言うべきなのか。
浦安町役場跡
浦安町役場は、明治44年(1911)に境川に面して建設。瓦葺平屋建てで和洋折衷のモダンさであったようです。
昭和6年写生の松井天山による「千葉縣浦安町鳥瞰」にも建物の側にあった、漁師町のシンボル大松(おおまつ)とともに描かれています。
宝城院の庚申塔は1736年に建立。千葉県指定有形文化財。
サバを右手に持つ鯖大師(善福寺)
不漁が続いた時に弘法大師に祈願するとサバが大漁となったので、感謝してこの像を建立したと言われています。
山本周五郎が下宿した船宿「吉野家」
『青べか物語』の文字が目を惹きます。作家が見た広大で茫洋とした風景が偲ばれます。
初めて駅を降りた浦安は、埋め立てなどにより大きく姿を変えていました。
『青べか物語』には「浦粕町」として登場する浦安ですが、その世界は遠くなりました。それでも、そこには水のある、なぜか心休まる風景がありました。∎
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