大広間はある特別な学校の施設の一部、そして彼らは教師と生徒という関係で、潤羽るしあは子どもたちの中に独りだった。
「…………では始めます。…潤羽さん、前へ」
「は、はい」
名前を呼ばれて子どもたちの集団から離れるように歩き出す。緊張しているのか、冷や汗が滲み出てくる。
既定の場所まで進むと、次の指示が下される。
「さっそく霊魂の召喚を実践してください。目の前の死体が器になります」
「……はい」
暗い大広間には、教師と生徒以外に数体の死体が綺麗に並べられていた。彼らはもちろん死体だと認知しているが、ほとんどの者は怯えることなく平然とした顔をしている。
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状態の良い死体を前にして、目を瞑り精神を集中させる。るしあは何やら異質な呪文を口にして、死体に向けて両手を翳して…
「………………あ……………ああ゛っあ…………」
喋ることのない死体が呻く。動くことのない死体がのたうつ。るしあはその光景を見届けると、翳した手を下ろして深く息を吐く。安心して、肩の力が抜ける。
「さすがですね。…潤羽さんは優秀なネクロマンサーになれるでしょう」
ペンで書類に記録を書き込みながら、先生はそう言ってくる。少しの期待と喜びが込められた声色に嬉しくなってしまう。
「あ…ありがとうございます!」
「……では次の方。えーと……」
次の順番が回ってきた子どもがと同じことをしているのを横目に、るしあは先ほどの死体を眺めていた。軽く落ち着いてきたが、まだ蠢いては小さく喚いて……苦しそうに見えた。
「あ…あの、初めまして。えっと、潤羽るしあなのです」
『……ぅ……ここは……?」
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「あなたは冥界から現世に召喚されたのです。そして呼び寄せたのはるしあなのです。その…ごめんなさい」
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