「こんにちわッ、テディちゃでス!
はるのいろとォいえばァ、それはァ~…」
「がるる!ぐるがーるる!」(←訳:虎です!断然ピーンク!)
こんにちは、ネーさです。
春を告げる色――
それはやはり、日本に於いては《桜色》でしょうか。
それとも、梅の花の《薄紅色》でしょうか。
さあ、本日の読書タイムは、
色をテーマとするこちらの御本を、どうぞ~♪
―― 色の物語 ピンク ――
著者はヘイリー・エドワーズ=デュジャルダンさん、
原著は2021年に、日本語版は2024年3月に発行されました。
仏語原題は『ROSE DE BOTTCELLI À CHRISTO』、
『ボッティチェリからクリストまで』と日本語副題が付されています。
先日は『色の物語 赤 ROUGE』をご紹介しましたが、
こちらは『ピンク』……というよりも、
仏語原題の『ローズ』、
つまり『薔薇色』と呼ぶ方が感覚的に近い、かもしれません。
「はなのォ、おうさまッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:それが薔薇!)
姿よし、香りよし、
ローズウォーターや精油など
美容にも効果が高く、
実は乾燥させてお茶に、と
『薔薇』は古代から人類にとって
最高の有用植物でした。
であれば、
麗しいあの『薔薇色』を、
身近に置きたい、身に纏(まと)いたいと思うのも
無理からぬところです。
この御本に収録されている古今の名画には、
女神ヴィーナスの衣、
聖ヨハネのマント、
貴族の礼装、
貴婦人のドレス等々、
『薔薇色』が効果的に使われています。
「めだつゥ~!」
「がるぐるがるぅる!」(←訳:つい注目しちゃう!)
画家さんの側からすれば、
『薔薇色』の衣服を描くのは不可能ではありません。
基本は、白と赤、それに少々の青の絵の具。
それだけあったら、『薔薇色』は作れる。
むしろ問題なのは、『薔薇色』の布地です。
帝政時代のローマや、平安時代の日本――
古代でも、布地を『薔薇色』に染め上げることは出来ました。
ただし、
染め上げた『薔薇色』を
美しい発色のまま維持できるか、となると、
容易なことではなくて。
「いろあせェ、しちゃうゥのでス!」
「ぐるがるるるるるる……」(←訳:褪色するんだよねえ……)
日光を浴びても、洗濯しても、
時間が経っても色褪せしない、
鮮やかな『薔薇色』。
この御本には載っていませんが、
劣化しない『薔薇色/ピンク』を作ろう!と奮闘した
或る学者さんがいました。
その人の名は、ジャン=アンリ・ファーブルさん。
「ふんころがしィのッ?」
「ぐるがるるるる?」(←訳:昆虫学者さんの?)
ええ、『昆虫記』で知られる、
あのファーブルさんです。
昆虫学者であるファーブルさん、
実は化学の教師であり、
植物学の研究もしていて、
アカネの根から粉末染料を作成する実験に
成功していたんです。
現在『マゼンダピンク』と呼ばれている
紫がかった濃いピンク色は、
19世紀の当時、
それまで存在しなかった全く新しい色、でした。
もしも新色の染料を完成させたら、
大ヒット間違いなし!
我が家の経済状態もきっと好転する!
ファーブルさんはそう信じ、
研究に邁進したのですけれど。
ドイツの会社が開発した化学染料の前に、
ファーブルさんの天然染料は、敗退。
「あうゥ………」
「がるる~…!」(←訳:悔しい~…!)
ファーブルさんが夢見た『薔薇色』の幻。
本国フランスでは
忘れ去られてしまったというファーブルさん。
この御本でも
ファーブルさんの挑戦に関する記述はありませんが、
せめて私たちは、少しでも、
功績の一端でも憶えていられたら。
ああ、お喋りが長くなってしまいました。
歴史好き方々、
アート好きな活字マニアさんは、
(ひそかなファーブルさんの思い出とともに)
どうか、ぜひ、一読を♪