テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 400年の、タイムトリップ ~

2016-08-04 22:06:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 さゆうゥ、かくにんッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!上下も確認!)

 こんにちは、ネーさです。
 左右や上下はもちろん、前後や足元までにまで安全確認して……
 ふぅ~、いませんね、アシナガバチは。
 さあでは、ホッとしたところで、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



          ―― シェイクスピア ――



 著者は河合祥一郎(かわい・しょういちろう)さん、2016年6月に発行されました。
 『人生劇場の達人』と副題が付されています。

「あはァ! いまがァしーずんッ、なのでスゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:夏だもんね!)

 ええ、そうですね。
 欧米のシェイクスピア好きな方々にとって、
 夏といえば
 『夏の夜の夢』が野外劇場で上演されるシーズン!
 であると申せましょうか。

 とはいえ、
 シェイクスピアさんの研究家として名高い著者・河合さんは、
 この御本では
 『夏の夜の夢』だけにフォーカスすることなく、
 シェイクスピアさんの全体像を
 追ってゆきます。

「しぇいくすぴあァおじさんッ、なぞがァおおいィのでス!」
「がるるる!」(←訳:謎だらけ!)

 この御本では、前半部分の殆どが
 シェイクスピアさんの“伝記”に充てられています。
 
 現在判明している限りの、
 シェイクスピアさんの人生を占めているのは、
 とてもたくさんの

 《?》。

 劇作家を志した理由は?
 青年時代の空白期には、どこで何をしていた?
 引退の本当の理由は……?

「せかいじゅうのォけんきゅうしゃさんがァ、さがしてまスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:謎の答えを!)

 御本の後半では、
 シェイクスピアさんの作品中に登場する様々なキャラクターたち、
 悲劇と喜劇それぞれの特徴や傾向、
 全作品を貫く理念に関する“評論”が中心となっています。

 私ネーさ、読んでいて、
 なぁるほど、と感心させられたのは、
 イプセンさんの『人形の家』冒頭と、
 グローブ座の舞台を比較した部分でした。

 背景の調度品や小道具まで、
 イプセンさん自身が細かく指定している『人形の家』。

 他方、シェイクスピアさんの作品が上演された
 ロンドンのグローブ座は、
 凝った背景を組み立てにくい、
 解放された空間になっている……

 これを、同じ《戯曲》のジャンルに入れていいのかしら?
 なんだか、まるで別の種類の“アート”を見せられているような、
 不思議な心地になってきました。

「しぇいくすぴあァおじさんはァ~」
「がっるるぐる!」(←訳:やっぱり特別!)

 初演時の『夏の夜の夢』も、
 400年前の観客さんに、
 不思議なお芝居だなぁこれ!
 と首を傾げさせたり、
 でも面白いや!
 と笑わせたりしたのでしょうか。
 
 女王さまや、貴族さんたちは、
 シェイクスピアさんのことを、
 変人と思っていたのか、
 それとも真の才人と考えていたのか――

「てんさいィさんでス!」
「ぐるるる!」(←訳:本物のね!)

 好奇心と想像力がみしみしっと刺激される
 シェイクスピアさん研究入門書は、
 演劇ファンの方々に、
 そして歴史好きな活字マニアさんにおすすめです。
 エアコンの効いた涼しいお部屋から
 400年前のロンドンへのタイムトリップを、
 皆さまも、ぜひ♪
 
 
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